5/21 柏戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2022.5.21

5/21 柏戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

<マッチレビュー>
週の半ばにルヴァンカップのアビスパ福岡戦を挟み、中2日でJ1リーグ14節を迎えた。過密日程が続き、今日から中3日で3試合戦う。リーグ戦で3試合勝利から遠ざかっている東京にとっては、シーズンの折り返しが近いこのタイミングで流れを変え、サッカースタイルの成長に対する自信と勝点3の両方を掴みたい一戦となった。

相手の柏レイソルは4位と好調な相手。ここ3試合で順位を落とした東京としては、勝点3を積み上げて上位陣に食らいついていきたいところ。負傷離脱していた森重真人キャプテンがチームに戻り、守備の安定とともに勢いのある若手が多い柏を迎え撃った。

立ち上がり、いきなりチャンスを迎えたのは東京だった。前半3分、左ウイングのアダイウトン選手に鋭いパスが入ると、ワンタッチでディフェンダー間に落とされたボールに安部柊斗選手が飛び込み、ギャップを突いてゴール前へ。ゴールキーパーとの1対1でシュートブロックされたが、緩急をつけた展開でアタッキングゾーンを打開する方向性を見せた。しかし、ここから柏が球際の強度を上げて寄せてくると、なかかなかビルドアップすることができず、押し込まれる時間が増えていく。前半20分にはディフェンスラインの背後を狙われるが、ヤクブ スウォビィク選手がタイミング良く間合いを詰めて身体を張ってブロック。前半25分には右サイドの深くまで侵入を許すと、ゴール前に鋭いボールを入れられるが、これもスウォビィク選手がセーブして難を逃れた。前半の終盤には丁寧にボールを動かす場面が増えていき、相手を押し込む時間帯が多くなったが、相手の帰陣の早さの前に立ち上がりのようなテンポの速い崩しができない。一方の守備では、縦に速い相手の攻撃に対して東京も好守の切り替えを速く対応し、決定的な場面を作らせずに試合を折り返した。

後半に入ると、縦方向の推進力を強めてきた相手に対して、陣形を押し下げられてなかなか反撃の勢いが出せない。後半15分にはペナルティエリア外の位置でフリーキックを与えると、マテウス サヴィオ選手が直接シュートを狙うが、これはクロスバーに当たる。攻撃時にテンポが上がらない東京だが、後半22分には右サイドから中村帆高選手がクロスボールを入れると、ニアサイドで相手ディフェンダーに当たったボールがゴール前にこぼれ、詰めていた渡邊凌磨選手がワンタッチで合わせたが、これは枠の外へと外れた。前半28分には小川諒也選手が相手のディフェンスラインが高いとみるや、その背後にボールを送り込む。途中出場の永井謙佑選手が抜け出してゴール前へ、ゴール左手前の角度のないところからシュートを狙ったが、ゴール隅を突いたシュートは相手ゴールキーパーの好守に阻まれた。
後半32分には左サイドに開いてボールを受けたアダイウトン選手がカットインから豪快に右足を振り抜いたが、相手ゴールキーパーが延ばした腕を越えたボールはクロスバーに直撃した。

ゴールへの圧力が高まってきてネットを揺らす期待が高まってきた後半44分、左からのコーナーキックをゴール前の混戦で詰められてゴールを割られたが、これはVARのサポートによりハンドの判定で取り消しに。残されたアディショナルタイムで反撃に出たが、ゴールを割ることはできず0-0でタイムアップを迎えた。


[アルベル監督インタビュー]

Q、試合を振り返ってください。
A、キックオフの直後に決定的なチャンスがありました。そのチャンスを決めていれば違う試合展開になっていたと思います。今シーズン、J1リーグはとても拮抗しています。そういった最後のところを決めるか決めないかで試合の流れが大きく影響されます。
その後、ボールを上手く動かして試合を支配する時間が長かったと思いますが、足元のパスが多くなりすぎてしまって、スペースへの飛び出しを生かすプレーが少なかったと思います。
チームは押し込んでいる時間帯が長くなっています。そのなかで我々はボールを失った後のカウンターアタックを警戒するという改善に取り組んでいます。そして今日、その改善は見受けられましたが、さらに改善する必要がありますし、同時にボールを失う回数を減らさなければいけません。後半は15分ほど良い時間帯が続きました。そこで作り上げたチャンスを決めて試合を優位に進めたかったですができませんでした。
後半も拮抗した展開が続きました。柏にもチャンスがあり、そこで決められて負ける可能性もありました。試合終盤に相手のコーナーキックから決められ、それはVARのサポートによりゴールが取り消されましたが、あれが決まって負けることもありえるような拮抗した試合展開でした。
ここ数試合、試合をコントロールする時間帯が長くなり、チームが良い方向に成長していることを表現できていると思います。ただ、失ってはいけないボールを容易に失ってしまう場面もいくつかあります。そこから相手のチャンスが生まれるという流れがあるので、もう少し改善して、無駄にボールを失わないようにしなければいけません。
このプレースタイルとともにプレーしてきた月日はまだ長くありません。足元のプレーが多過ぎたり、スペースへのプレーが多過ぎたり、まだアンバランスな部分があります。足元のプレーとスペースのプレーの良いバランスをとれるように成長しなければいけません。選手たちにとって、今までやってきたサッカーとは明確に違うプレーを求めているので、選手たちにとっては難しいと思います。しかし、我々が今めざしているプレースタイルは、選手一人ひとりの成長につながると信じて疑いません。チームは良い方向に歩んでいます。
後半にレアンドロを投入できていたら、チームに多くのことをもたらしてくれたでしょうし、(山下)敬大を後半に投入できていたとしたら同じようにチームにプラスになったと思います。ただ、このふたりは違和感があったのでトレーニングから離れてしまっています。また、今日の試合の中でも、ディエゴと長友も違和感を覚えていたので早めに交代しました。

Q、長友選手が違和感ということでしたが、可能な範囲で教えてください。
A、シーズンの当初から選手たちには、少しでも違和感を感じたらプレーを止めろと伝えています。無理にプレーすると大きな怪我につながってしまいます。リスクが大きくならないように、すぐに言うように伝えています。
長友は、少し違和感があったので、(中村)帆高を投入しました。帆高は長友の不在を良い形でカバーしていたと思います。長友は怪我と表現するほどには至っていません。違和感を抱えていたところがあり、治り切っていたと思っていたのですが、そうではなかったのかもしれません。念のために大事をとって交代しました。心配には至らないと思います。

Q、相手の中盤の守備がしっかりしていて、中盤の3人が抑えられていた印象です。その準備はいかがでしたか。
A、イエスとも答えられます。それ以上に私が常に選手に求めているのは、状況に応じて適切な判断をして打開しろ、ということです。当然ゲームプランとして事前に相手の出方を予測して準備はできます。しかし、予想した通りの試合展開ばかりではありません。ピッチに立っている選手が試合で何が起きているのかをしっかり認知して、都度問題を解決するということを選手に求めています。例えば、後半に(渡邊)凌磨を右ウイングとして起用しました。それはサイドから中に入ってきて中央でのプレーを期待していたからです。それは意図を持った打開策のひとつだったと思います。
選手一人ひとりに試合の中で予想される問題とその打開策をすべて伝えるというのはやはり不可能です。それよりも自分で問題に気付き、それをどう打開するかという賢いプレーを身に付けることのほうが的を射ていると思います。例えば今日、ディエゴが良い形で背後に飛び出しているプレーが何度もありましたが、ボール保持者がそのプレーに気付かずに上手く活かせませんでした。それは我々の改善点のひとつです。

開幕当初は中央でのプレーをなるべく避ける形でビルドアップすることを狙っていました。相手はそれを当然対策してきますし、我々もチームとしての完成度も高まってくるので、徐々に中央を使うようになっています。良いプレーが中央でできている部分もあります。ただ、我々が期待しないミスでボールを失って、そこから相手の攻撃が生まれるという流れがあるので、改善しなければいけないポイントだと思っています。

約4シーズンに渡って違うプレースタイルを続けてきた選手たちに明確に違うプレースタイルを求めています。それに上手く適応するのはとても難しいことだと思います。選手たち自身に問題を解決するように求めています。それは選手たちにとって難易度の高いことだと思います。ただ、これを続けることで、選手たち一人ひとりが自分で問題に気付いてそれを打開できるようになれば、チームとしての完成度は飛躍的に高まると思います。


[選手インタビュー
<永井謙佑選手>

Q、ピッチに入るまで、ベンチから攻撃の部分をどのように見ていましたか。
A、なかなか相手の背後に抜け出す選手がいなかったので、自分が裏で受けることで、相手を間延びさせられればと思って見ていました。

Q、実際にピッチに入って、その点は改善された感覚はありましたか。
A、チャンスは2回ほどありましたし、そこで決められなかったのは自分の責任だと感じています。そこで決められたら展開も変わっていたと思います。ゴール前の回数を前半から増やすことにチャレンジしていかないといけないと感じています。

Q、アルベル監督は、ボールは握れるようになってきており、その次の段階だと言っていますが、前線の選手として手ごたえと課題はどのように感じていますか。
A、相手もだんだんと研究をしてきていると感じますので、我々も工夫をして、これまでにプラスアルファをしていかないと得点は増えていかないと感じています。押し込んだ後のクロスの精度だったり、誰がどこで入っていくのか、競っていくかなどを突き詰めていきたいです。

Q、途中交代で入って、すぐにチャンスを作りました。その後はボールがなかなか出てこない時間もありました。
A、味方との関係もありますし、試合後も選手同士で改善点の話をしています。徐々にチャンスは増えてくると思いますし、要求し続けて今後もやっていきたいです。


<木本恭生選手>

Q、今日の試合を振り返るとボールをしっかり持てたという印象か、それとも持てたけどそのあと上手くいかなかった印象かのどちらでしょうか。
A、今日の試合に限らず、結果が出ていない数試合は支配率では上回っていても、相手にとって怖くない、どちらかというと持たされている印象が強いです。相手にとってどれだけ嫌なボール回しや攻撃が出来るかが、今後流れを変えていく重要なポイントだと思います。

Q、柏は中央を締めてきた中で、チームとしてどのように打開していこうと考えていましたか。
A、やろうとしているサッカーが少しずつ出来ている中でも、いきなり100%出来るようになる訳ではなく、試合中に相手の嫌なところを突いていく力がついてこないとなかなか得点には結びつかないと思うので、もっと選手の中で意見を言い合って改善していきたいと思います。

Q、勝つことはできませんでしたが、連敗が止まったことについてはどのように捉えていますか。
A、ホームで勝ちたい気持ちはありましたが、最後にVARに助けられたところもありました。ここ数試合は試合の終わり方に課題があるので、最後まで集中して試合を終えられるようにしたいと思います。

Q、理想とするサッカーがある程度浸透してきているのか、それとも浸透はしていきているが相手の対策もあり、もう一歩上に行けていない状況でしょうか。
A、監督が求めているサッカーが少しずつ出来ている感覚はありますが、昨年までのスタイルとギャップがある中でも少しずつ出来ている感覚はあります。


<渡邊凌磨選手>

Q、後半途中からの出場でしたがいかがでしたか。
A、前線の3枚が同じ動きをしていたので、自分が出場したら真ん中でボールを受けることが必要になると思っていましたし、監督もそういう意図を持って試合に出してくれたと思います。(中村)帆高がサイドに張り、自分が中に入る動きをしたことでうまくいった場面が何回かつくれました。もちろんゴールを決められたシーンが自分自身あって、決めなければいけなかったですが、試合のなかで変化を加えられたのは良かったと思います。 

Q、ボールを保持する時間帯があるなかでどんな狙いを持ってゴールをめざしましたか。
A、ボールを保持しているだけでは意味がないので、いかに縦パスを入れて相手の守備を崩せるかだと思っていました。相手の守備が5枚であれば中盤にスペースができるのでそこをうまくつくことをイメージしていました。後半の終わりのような時間帯がもう少し続けばゴールが入っていた可能性もあったと思います。

Q、相手はボールを奪ってからのカウンターを狙っていたと思いますがいかがでしたか。
A、カウンターに対しては後ろの選手たちがしっかりリスク管理できていたので、自分が出場したときは後ろの選手に任せながら、自分がやるべきことをプレーしようと思っていました。得点を取ることしか考えていなかったです。

Q、チームとしての連携はいかがでしたか。
A、現状は誰が試合に出場するかによってサッカーが変わってきてしまっています。そこをいかにアルベル監督の求めるサッカーに合わせていけるか、もちろん選手一人一人の特徴に合わせてプレーすることは大事ですが、そのなかでもベースは必要になります。そこができないと苦しい展開になってしまうのでみんなで伝え合いながらつくりあげることができれば成長していくと思います。 

Q、サイドを有効に使いながらクロスを上げるシーンも多く見られました。
A、サイドで攻撃をしていれば中央が空いてきますし、逆に中央で攻撃をすればサイドが空いてくるのでその使い分けを選手たちが共通理解をもつことが大事だと思います。それが試合終盤でできて、ゴールに迫ることができていたと思います。あとは得点を決めることが一番大事なところですし、そのために取り組んでいることなのでもっと突き詰めていかないといけないと思います。