6/7 富士大学戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2022.6.08

6/7 富士大学戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

<マッチレビュー>
代表活動期間に突入してリーグ戦が中断期間に入り、東京は天皇杯2回戦で岩手県代表の富士大学と対戦した。

リーグ戦での出場時間が長い選手たちを中心にメンバーを構成した。ゴールキーパーには波多野豪選手。ディフェンスラインは右から中村帆高選手、木本恭生選手、森重真人選手、小川諒也選手。アンカーにはリーグ戦の清水エスパルス戦でも起用された東慶悟選手を置いた。インサイドハーフは渡邊凌磨選手と安部柊斗選手のコンビ。前線は山下敬大選手がセンターフォワードで起用され、右ウイングに永井謙佑選手、左ウイングにはアダイウトン選手が入った。

試合は、東京がボールを保持し、富士大学が守備ブロックを固めてカウンターを狙う展開で進む。序盤からサイドを起点にして相手を押し込むと、山下選手のポストプレーからシュートまで持ち込むシーンを作るが、枠を捉えることができない。リーグ戦に比べると球際での余裕がある東京だが、ボールサイドへのスライドが速い相手に対して、センターバックを経由しながらサイドを変えて攻撃のタイミングをうかがう。

前半24分には小川選手のフリーキックをゴール前で木本選手が頭で合わせるが、シュートはポストに直撃した。前半26分にはアダイウトン選手が強靭なフィジカルを生かしてドリブルで相手選手を一人、二人と剥がしていくと、ペナルティエリア内でシュートを放つがブロックされてしまう。ボールを保持するものの、なかなか相手陣内の深いエリアまで入り込めないでいたが、前半36分にアダイウトン選手の突破からチャンスメイク。左サイドで仕掛けてペナルティエリア内に入ったアダイウトン選手は、ゴールライン際でマイナス方向にパス。ゴール正面に詰めていた中村選手が身体を入れてボールを残すと、渡邊選手がゴールカバーに入った選手の位置を見ながら冷静に流し込んで先制点を決めた。


前半43分には、右サイドからのサイドチェンジをペナルティエリアの左端で受けたアダイウトン選手が、ボールを浮かしてマークをかわそうとしたところを倒されてPKを得る。これをアダイウトン選手自身がしっかりと決めて前半終了間際にリードを広げた。


ハーフタイムには永井選手に代えて梶浦勇輝選手を投入。渡邊選手を右ウイングへ動かした。後半10分にはロングボールでスペースを使われると、カウンター気味にゴールに迫られたが、左サイドからカットインして放たれたシュートは枠から逸れた。後半13分にはディフェンスラインのギャップに入った山下選手がゴール方向を向いてパスを受けたが、ワンタッチで合わせたシュートは相手ゴールキーパーの正面へ。後半14分にはアダイウトン選手が抜け出して相手ゴールキーパーとディフェンダーの間にパスを通すが、飛び込んできた山下選手にはわずかに合わず。逆サイドに流れたボールを渡邊選手が拾ってループ気味にシュートを狙ったが、これもわずかにゴールの左へと逸れた。

後半17分には山下選手に代えて紺野和也選手を、小川選手に代えてバングーナガンデ佳史扶選手を投入する。後半18分には佳史扶選手が左サイドで仕掛けてマーカーを完全に振り切ってクロス。ゴール正面の位置でアダイウトン選手がワントラップで相手選手のマークを外したが、反転しながらのシュートはゴールの左へと外れた。後半35分には渡邊選手に代えて安田虎士朗選手をピッチへ送り込む。後半43分にアダイウトン選手がゴール正面の位置から強烈なシュートを放つなど、試合終盤にかけて相手ゴールに迫るシーンは何度も作り出した。しかし、富士大学の粘り強い守備の前にゴールネットを揺らせず。追加点を取れなかったが、前半のリードを維持して3回戦進出を決めた。

3回戦は6月22日(水)に長崎に乗り込んでV・ファーレン長崎と対戦する。


[アルベル監督インタビュー]

Q、試合を振り返ってください。
A、我々にとっては、成長し続けるために重要な試合でした。しっかりと試合を支配しながら、多くの決定的なチャンスを作ることをめざしてプレーしました。そして試合全体を通じて多数のチャンスを作れていましたし、さらに90分間、試合を支配することができていました。
改善点として残されたのは、決定的なチャンスをこれだけ多く作りながらも、2得点のみに終わったことです。チャンスを作りながらも決定力がなければ、そこでもし相手が得点した場合には試合がさらに難しくなり得る危険がありました。
ただし、ポジティブな部分も多々ありました。(東)慶悟は素晴らしいプレーを90分間継続して表現してくれました。バングーナガンデ佳史扶も彼の長所を十分に表現できている部分がありました。
みなさんは疑うかもしれませんが、我々にとっては、今シーズンの中でもっとも難しい試合のひとつだったと思います。そういう意味でも相手チームを称えたいと思います。試合後に相手の選手にも直接伝えましたが、若い選手としてやるべきことを大胆に、そして勇敢にプレーで表現していました。その点でも彼らの今日のプレーを称えたいと思います。彼らが大胆な素晴らしいプレーをしていたからこそ、我々のファン・サポーターも彼らに熱い拍手を送ったのだと思います。

Q、主力選手を中心に臨んだ意義やこの試合の位置づけについて教えてください。
A、相手チームに関係なく、我々は成長し続けなければいけません。そういう意味でも、我々が成長するためにとても重要な試合だと思っていましたし、選手たちにも伝えていました。(このスタイルを続けて)数年経ってチームが成長した状態であれば、「大学生を相手にリラックスするな」というメッセージを選手たちに伝えなければいけないと思います。しかし我々は成熟した状態ではなく、まだまだ成長しなければいけないチームです。だからこそ、今日の試合も成長につなげようというメッセージを選手たちに伝えました。

Q、富士大学との試合が今シーズンの中でも難しい試合のひとつだということでしたが、具体的にどの部分が難しかったのでしょうか。
A、今日の試合は難しい試合のひとつでした。相手チームは何も失うことがない状態でした。私は、相手をチーム上回るためには、同等のインテンシティでプレーしなければいけないと考えています。大学生というのは失うものはありませんし、インテンシティが高いプレーをしてくることは当然予想していました。そうした相手を前にして、我々はチャンスを作れていましたが、なかなかゴールネットを揺らせないという展開も十分に考えられます。点が入らない状態が長く続いてしまうと、ナーバスな展開になります。そういう意味でも難しい試合だったと思います。ただ、そのような難しい試合を前にして、我々の選手は集中して、この試合の難しさを正しく理解してプレーしていました。選手たちのプレーを評価したいと思います。
今日の試合でも今まで以上に良い連携が攻撃面で見えていました。今日の試合を通じて、チームはさらに成長したと考えています。今日、ゴールマウスを守った(波多野)豪も素晴らしいプレーをしていました。将来、このクラブを、この国を背負う可能性が高い、多くの可能性を秘めた若手のひとりだと思います。彼はまだ若い選手ですが、ピッチに立つごとに成熟した選手に育っていることを自分自身で証明してくれています。(東)慶悟は、まるでブスケツの兄弟のようなプレーをしてくれていました。


[選手インタビュー
<渡邊凌磨選手>

Q、今日のポジションはインサイドハーフだったと思います。ワイドの時とどのような違いがありましたか。
A、守備面です。前からボールを取りに行くときの立ち位置だったり、プレスのかけ方だったりがワイドのポジションの時とは全く違うのでそこを意識して臨みました。また、相手の背後を狙うプレーを意識しました。

Q、前半はなかなかチーム全体としてかみ合っていなかったように見えました。試合への入りの難しさだったり、原因はどこにあると思いますか。
A、(試合直後の)今の段階でどこがかみ合っていなかったというのは、まだ整理できていませんが、全体的に距離感が遠くて、後ろでボールを回しているときもサイドバックでボールが詰まることがあったのは、自分のポジショニングが悪かったか、永井選手との距離感が遠かったのか、どこを優先してプレーを選択すればよかったのか、という反省はあります。

Q、そのような試合展開の中でも持ち直して、初戦を勝ち抜けたことに対してはいかがですか。
A、試合前から、この試合は難しい試合になるとは全員わかっていたので、気持ちの持ち方や、もし点が取れなくても焦らず、5点、6点といった大量点が取れなくても、大事なのはこの試合勝つことだという共通認識を持って臨めたので、そこが良い点でした。

Q、ゴールシーンを振り返ってください。
A、ファーストタッチをミスしてしまい、自分の思ったようなタイミングでシュートが打てなかったのですが、あのような泥臭いゴールが増えていけば、得点も増えていくのかなと感じていますので、またゴールを狙っていきたいです。


<バングーナガンデ佳史扶選手>

Q、天皇杯の初戦は難しいと思いますが、どのように準備してきましたか。
A、昨シーズンの天皇杯では、初戦で順天堂大学に負けてしまったので、勝つことを意識してこの1週間やってきたので、まずは結果につながって良かったです。(小川)諒也君にとって最後の味スタでの試合でした。僕が怪我から復帰してから、離脱したりチームに合流したりを繰り返していましたが、諒也君の最後の試合だということと昨シーズンに順天堂大学に負けていたこともあったので、同じ大学生が相手ということでどうしても出たい試合でした。1週間前にまた膝を痛めて少し休んでいたのですが、諒也君と途中交代という形で出場することができて良かったです。アシストするチャンスもありましたし、最後のところで得点つなげられなかった部分はすごく悔しいです。ここから突き詰めていきたいです。

Q、怪我などもある中で、トレーニングの中では何を意識していますか。
A、アルベル監督からは、ミスしてもいいからチャレンジをしなさいと言われています。普段の練習から「自分の武器を出せ」と要求されますし、自分の特徴は攻撃だと思っているので、サイドバックではありますが攻撃の部分で他の選手との違いを作れないと自分が出ている意味がありません。そういうところで、僕は失うものがないので、どんどんチャレンジしようと思って試合に入りました。

Q、昨シーズンの天皇杯での戦いとの違いはどこにありましたか。
A、昨シーズンの試合もチャンスはあったのですが、決め切れずにズルズルいってしまい、失点して延長戦に持ち込まれた印象でした。今シーズンは、最初から前にガンガンいけていて、もっとゴールを決められれば良かったんですが、決定力というところはリーグ戦も含めて徐々に上がってきていて、合わせるようにチームの調子も上がってきています。その決定力が、昨シーズンと違うポイントだったと思います。

Q、自分の特徴は攻撃面ということでしたが、今日もクロスに可能性を感じました。ゴール前の入ってくる選手とどのように合わせていきたいですか。
A、普段のトレーニングから、自分が積極的にクロスをあげていると、チームメイトも「こういうボールが来るだろうな」という立ち位置をとってくれます。今日も僕が顔を上げた時にアダイウトン選手と目が合いました。それは日頃のトレーニングで自分がチャレンジしたり、みんなが合わせてくれている成果だと思います。今日はコーナーキックも蹴りましたが、セットプレーも含めてクロスボールを味方に合わせられるように、日頃のトレーニングから突き詰めていけば、実戦でもアシストにつながると思います。


<梶浦勇輝選手>

Q、大学生相手でしたが振り返ってみていかがでしたか。
A、試合に出場してすぐに、東選手からのパスでうまくターンをして山下選手にスルーパスを出すシーンが何度かできました。ただ、その後にミスが多かったので改善していきたいです。自分としては最初のプレーを続けたかったので個人としては悔しい試合になりました。

Q、後半からの出場でしたがどんな狙いを持って試合に入りましたか。
A、インサイドハーフでの出場だったので、しっかり役割を果たすことと相手の背後にも飛び出す動きを意識して試合に入りました。ですが強度が足りなかったことが今日の試合で痛いほどわかったので、そこはもっとやっていかなければいけないと思います。

Q、相手もボールを繋いでくるようなチームでしたがいかがでしたか。
A、プレスのかけ方を周りの選手と話しながらコントロールする必要があったと思います。安部選手と松木選手のプレーをもっと見て自分がどの強度まで上げなければいけないかをもう一回再認識し、練習から取り組んでいきたいです。

Q、チームとしては確実にチャンスをゴールに結びつけていたと思います。
A、ゴールを確実に決めることは大事なことですし、色んなポジションからもっとゴールを奪えるようにしていきたいです。

Q、ボールに積極的に絡めていたと思います。
A、ミスを何回か繰り返してしまいました。それもボールを受けにいって簡単なミスでしたし、ミスは無くしていかなければいけないポジションだと思うのでそこは改善していきたいです。

Q、次の試合に向けてどんな準備をしていきたいですか。
A、長い間外から見ていて、今回試合に出場しプレーすると全然まだまだだなと感じることができました。リーグ戦に出られるレベルに成長するようにもっと練習から強度あげていつ試合に出ても良いようにしていきたいです。