<マッチレビュー>
代表活動期間が空けてリーグ戦が再開して以降、なかなか勝利できていなかった東京だが、前節、北海道コンサドーレ札幌との一戦に3-0とリーグ戦4試合ぶりの勝利を挙げ、内容面でも手応えをつかんだ。中3日で戦う連戦の3戦目は、アウェイゲームで浦和レッズと対戦。前半戦の対戦ではお互いに決め手を欠いて0-0で終わっており、連勝をつかみたい一戦になった。
前節は途中出場だったディエゴ オリヴェイラ選手はスタメンで起用され、右ウイングには渡邊凌磨選手を、左ウイングにはレアンドロ選手を置いた。また、梶浦勇輝選手が前節のリーグデビューに続いて2試合連続でスタメン入り。松木玖生選手と梶浦選手の若いインサイドハーフコンビを、アンカーの東慶悟選手がサポートする態勢をとった。
1st HALF-松木選手の強烈FKはポスト直撃
立ち上がりは、浦和がボールを保持する時間が長く、東京はマイボールになってからは攻守の切り替えを速くして、速攻で浦和ゴールへと迫る。ディエゴ選手の前線からのチェイスも効果があり、前半3分と8分には高い位置でボールを奪ってショートカウンターを仕掛けたが、フィニッシュまで持ち込むことができない。前半11分にはバックパスがミスになり、カウンターを受けてゴール右斜め前の位置から伊藤敦樹選手に強烈なシュートを打たれるが、ヤクブ スウォビィク選手が鋭い反応でボールをはじき出した。
時間が経過していくにつれて、展開がより明確になっていく。浦和がボールを保持してビルドアップで東京陣内に入っていき、東京は一旦陣形を整えて守備を構築し、ボールを奪ってからは手数をかけずにディエゴ選手やレアンドロ選手を使って速攻を仕掛けていく。
試合展開に大きな動きはなかったが、前半31分に思わぬ形でスコアが動く。木本恭生選手と梶浦選手との縦関係でビルドアップする際に連係が合わず、松尾佑介選手にボールを奪われてペナルティエリアに侵入される。ゴールライン際でゴール前にグラウンダーのクロスボールを入れられると、ファーサイドでフリーになっていたダヴィド モーベルグ選手に詰められて先制を許した。
流れの中でなかなかチャンスを作れずにいた東京だが、セットプレーでチャンスを作る。前半40分、レアンドロ選手がファウルを受けてゴール正面約25メートルの位置でフリーキックを得る。レアンドロ選手のキックフェイントの後、松木選手が左足のアウトサイドにかけて、大きく左に曲がるシュートを放つ。相手ゴールキーパーも動けない強烈な一撃だったが、左ポストに直撃してネットを揺らすことができなかった。
2nd HALF-反撃実らず2失点
ハーフタイムに交代カードを切った東京。梶浦選手に代えて紺野和也選手を投入し、渡邊選手をインサイドハーフに移した。
流れを変えたい東京だが、後半の立ち上がりから浦和にボールを持たれて、プレスをいなされて自陣に押し込まれる。後半5分には、一度陣形を押し下げられたところでマイナス方向にボールを運ばれるとプレッシャーをかけるのが遅れ、伊藤選手にミドルシュートをゴール左隅に流し込まれてビハインドが広がる。
後半9分にはアクシデント。スペースへのパスを追ったディエゴ選手が芝に足をとられて転倒し、起き上がれずに山下敬大選手と交代した。後半20分には、その山下選手がポストプレーで前線にボールを残すと、レアンドロ選手が強烈なミドルシュートを放ったが、相手ゴールキーパーの攻守に阻まれた。
ボールを持つ時間も増えていき、反撃はここから、というタイミングで守備が崩される。後半25分、左サイドの背後のスペースをモーベルグ選手に抜け出されると、ペナルティエリア内でサポートに入ってきた江坂任選手を使われる。江坂選手はシュートではなくパスを選択し、ニアサイドで大久保智明選手が合わせて浦和に3点目を奪われた。前がかりに反撃に出る分、後半の終盤には背後のスペースを狙われて決定機を作られる。後半40分には江坂選手のミドルレンジのパスに馬渡和彰選手が反応してスウォビィク選手との1対1のシーンを作られるが、シュートはゴール左へと逸れて事なきを得た。
反撃をあきらめない東京は、アディショナルタイムに突入したあとも、レアンドロ選手のミドルシュートや紺野選手のカットインシュートでゴールを目指したが、どちらも相手ゴールキーパーに阻まれノーゴール。オープンな展開になった試合終盤に浦和ゴール前まで迫る場面はあったが、相手を崩し切るところまでは至らず、ノーゴールで試合を終えた。
MATCH DETAILS
<FC東京>
STARTING Ⅺ
GKヤクブ スウォビィク
DF長友佑都(後半21分:鈴木準弥)/木本恭生/森重真人/バングーナガンデ佳史扶(後半40分:岡崎慎)
MF松木玖生/東慶悟(後半21分:品田愛斗)/梶浦勇輝(後半0分:紺野和也)
FW渡邊凌磨/ディエゴ オリヴェイラ(後半11分:山下敬大)/レアンドロ
SUBS
GK波多野豪
MF安田虎士朗
GOAL
―
<浦和レッズ>
STARTING Ⅺ
GK西川周作
DF酒井宏樹/岩波拓也(後半32分:知念哲矢)/アレクサンダー ショルツ/大畑歩夢(後半21分:馬渡和彰)
MFダヴィド モーベルグ/岩尾憲/伊藤敦樹/大久保智明(後半40分:関根貴大)
FW小泉佳穂(後半21分:江坂任)/松尾佑介(後半21分:明本考浩)
SUBS
GK鈴木彩艶
MF平野佑一
GOAL
前半31分:モーベルグ/後半5分:伊藤/後半25分:大久保
[アルベル監督インタビュー]
Q、試合を振り返ってください。
A、今、チームには怪我人が多くいることもあり、難しい状況です。そのような状態で今日の試合を迎えました。前半に関しては、試合をコントロール下におさめている時間が長かったと思います。そして起用してチャンスを与えた若手選手のなかでミスがありました。若手にミスがあることは当然だと思いますが、我々のミスから失点してしまったことを非常に残念に思います。
先制点を許してしまったことが、その後の試合展開に大きく影響を及ぼしたと思います。後半からはより勇気をもって、大胆なプレーで相手ゴールに積極的に向かうことをめざしてスタートしました。ただ、浦和にクオリティが高い選手が揃っていることはご存じのとおりです。今日、残念ながら試合には敗れてしまいましたが、選手たちは全力を出し尽くしてくれていたと思います。そういう意味でも、若手選手たちを誇りに思っています。
試合に負けている状態でも勝利をめざして戦った選手たちの姿勢を高く評価していますし、それを選手たちにも伝えました。怪我人も増えていますし、チームの状況は期待どおりではないなかでも、選手たちはしっかりと戦ってくれました。来週、ホームゲームがあります。今後もホームゲームで勝点を重ねていくことは重要になってくると思います。
Q、浦和が前線に4人を並べて、東京のパス回しが制限されていたと思います。そこをどのように打開しようと指示を出しましたか。
A、私は、決して良いプレスをかけられていたとは捉えていません。状況によってはより難しいプレスをかけられたところもあったかもしれませんが、それ以上に我々のミスからボールを失ってしまいました。とてもシンプルなミスを自分たちで冒してしまったと思います。
Q、前半、4-4-2で試合に入ったと思うのですが、松木選手を左サイドハーフに置くような形になったのは、対面に酒井宏樹選手がいることへの対策だったのでしょうか。また中3日でシステムを変えるのは難しかったと思うのですが、準備をしてきた対策だったのでしょうか。
A、酒井選手を意識してこのような立ち位置をとったのではありません。現在プレーできる選手を踏まえてあのような立ち位置をとることで、チームがより良いパフォーマンスを引き出せると思ったので、あのような立ち位置をとらせました。守備の時には4-4-1-1のような立ち位置を想定して試合をスタートしました。私は相手の特定の選手を意識してゲームプランをたてることは決してしません。
今日であれば、高校を卒業して間もない(松木)玖生が、クオリティの高い選手たちを相手に素晴らしいパフォーマンスを表現したことを私は大変誇りに思っています。
[選手インタビュー]
<山下敬大選手>
Q、アクシデントがあっての出場となりましたが、試合を振り返ってください。
A、アウェイですが勝ちたかった試合でした。点差は離されてしまいましたが、個人的にも得点が取りたかったです。
Q、なかなかチャンスも少ない展開だったと思います。
A、試合によってそこは変わってくると思います。今日みたいな苦しい展開のなか、少ないチャンスでも決めなければいけないと常に思っています。
Q、鈴木選手のアーリークロスからチャンスがありましたが、あれは狙っていましたか。
A、鈴木選手とは日ごろから一緒に残ってトレーニングをしていますし、今日の試合前にも一緒に出場した時のイメージを擦り合わせていました。チームコンセプトのなかで進めながらも、それだけではうまくいかなくなった時に、ああいう場面を作ることができればチームとして攻撃の幅が出てくると思います。
Q、久々の出場となりましたが、コンディションは良かったように感じました。
A、先発だろうが途中出場だろうが、結果を出さなければいけないと思います。特に今日のように途中出場の場合は、自分たちが目をギラギラさせてチームを変えていかなければいけないと思います。
Q、次節のホーム磐田戦に向けて意気込みをお願いします。
A、チームとしてなかなか結果が出ない時期ですが、勝つために良い準備をしたいと思います。
<鈴木準弥選手>
Q、ビハインドを追う中で途中出場という難しい形でしたが、いかがでしたか。
A、守備のところで前から行って、意図的にボールを奪ってから攻撃にいくということが、なかったわけではないですが、もっと出せたらいつものようにショートカウンターのような形でチャンスを作れたと思います。なかなかそこがはまらなくて、誰が悪いという話ではなくて、一つひとつのズレだと思います。
途中から出て、自分が入った時間帯は東京の流れでもあったし、その中でひとつでもゴールが奪えていれば流れが変わったところもあったと思います。守備のところで言ったら、一人ひとりはサボってはいませんでしたが、チームとしてどうやってボールを奪うのかというところと、最後の質のところは個人の部分でラストパスやシュートを決めるという質を上げていかないといけないです。
Q、チームとしてつなぎながら崩していくというスタイルもありますが、鈴木選手のアーリークロスから山下選手のヘディングシュートにつながったように、シンプルな形も攻撃の選択肢となれたと思います。
A、自分の強みとしてもキックやクロスがあるので、今日の試合は特に負けていたので、どこかでまずは1点をとらないといけないと思っていたので、中には山下選手もいましたし、クロスには強いので、積極的に入れていこうと思っていました。あれがひとつつながっていれば良かったと思うので、質を上げていくことと中央に合わせていくことを続けていきたいです。
Q、次節はホームに戻ります。
A、今日も多くのファン・サポーターが駆けつけてくれた中で勝てなかったので、自分たち以上にファン・サポーターの皆さんも勝ちたい気持ちが溜まっていると思うので、そのパワーをもらって、自分たちもそのパワーを出して味スタで勝利の喜びを分かち合えるように頑張っていきたいです。