7/30 広島戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2022.7.30

7/30 広島戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

<マッチレビュー>
J1リーグが2週間ぶりに再開し、東京はアウェイゲームをサンフレッチェ広島と戦った。お互いに今シーズンから新監督を迎え、勝点3差で順位もひとつ違いのチーム同士の対決。広島のアグレッシブなプレスを東京がどれだけかいくぐれるか、どれだけ自分たちのボールを保持して攻撃を組み立てられるかが見どころの一戦となった。

東京は波多野豪選手がリーグ戦初出場となり、インサイドハーフでの起用が多かった三田啓貴選手がウイングでスタメン起用。新加入のルイス フェリッピ選手、塚川孝輝選手、木村誠二選手の3選手が試合メンバーに入った。

1st HALF-チャンスを多く作るも先制を許す
ファーストチャンスは東京。前半5分にバイタルエリアで三田選手がボールを受けて前を向いたところで倒されてフリーキックを得る。そのフリーキックを三田選手が直接シュートで狙うが、ボールはわずかにゴール右上へと逸れた。序盤、広島は前線から連動してプレスをかけてくるが、東京が絶妙な立ち位置と距離感でボールを動かして、プレスをはがしながら広島陣内に入っていく。ウイングの選手もビルドアップに参加し、中盤のエリアで相手のプレスをいなした。

なかなかフィニッシュにつながる場面を作れないでいたが、前半21分に相手を崩し切る。松木玖生選手がペナルティエリア手前のスペースに抜けて起点となると、三田選手が高い位置にポジションをとったバングーナガンデ佳史扶選手とのワンタッチのワンツーでペナルティエリアのゴール左手前のエリアに侵入する。相手ゴールキーパーを引き寄せた三田選手はクロスを選んでゴールを横切るパスを送り、ファーサイドに飛び込んできた安部柊斗選手が合わせたが、ミートできずにシュートはゴールの上へと外れた。

前半34分にはビルドアップのミスからピンチを迎える。ボールを奪った後のパスを奪われショートカウンターを受けると、ゴール前に詰められるが、波多野選手がベン カリファ選手の至近距離のシュートをセーブ。こぼれ球に相手選手が詰めてくるが、これも波多野選手が体を張ってボールにタッチしてゴールを守った。

前半39分には三田選手のコーナーキックを森重真人選手が折り返し、ディエゴ オリヴェイラ選手がゴールキーパーの前でポストワーク。落とされたボールを狙ったが、ゴールキーパーに防がれた。

東京がリズムをつかんで試合を進めてきたが、一瞬の隙を突かれる。前半40分、自陣でボールをつないでビルドアップしようとしたところでボールを失うと、中盤のスペースで森島選手にフリーでボールを持たれる。ゴール方向を向いた森島選手に寄せていこうとしたが、ミドルレンジから豪快なシュートをゴール右隅に流し込まれた。

東京がボールを保持してチャンスも多く作りながらも、広島にワンチャンスをモノにされた。

2nd HALF-後半の2得点で逆転での連勝を掴み取る
反撃に出たい東京だが、後半3分に広島のコーナーキックをクリアし切れず、こぼれ球を拾われてゴール前で川村選手にヘディングシュートを許したが、わずかにゴール上へと逸れた。後半7分にも同サイドからのコーナーキックの守備の場面で、ニアサイドでのヘディングシュートがゴール左隅へ飛んだが、今度は波多野選手が鋭い反応で腕を伸ばしてファインセーブで凌いだ。

流れを変えたい東京は後半15分に動く。三田選手に代えてJリーグデビューとなるフェリッピ選手を、紺野和也選手に代えてアダイウトン選手を投入した。

なかなかシュートシーンを作れなかった東京だが、好機が訪れる。後半22分、自陣で相手のパスを奪うと、ディエゴ選手が前線のスペースにアダイウトン選手を走らせる。アダイウトン選手は勢いに乗って広島のペナルティエリアまで侵入。シュートはディフェンダーにブロックされたが、こぼれ球を拾った松木選手がマイナス方向へボールを戻す。ペナルティエリアの外でボールを受けたディエゴ選手が左足でコントロールシュートをゴール左隅に叩き込み、豪快なゴールで東京が同点に追いついた。


アダイウトン選手の躍動はその後も東京にチャンスをもたらす。後半28分には左サイドでボールを持って仕掛けると、そのままペナルティエリアまで運んでディフェンダーをかわしてシュート。わずかにゴール右へと外れたが、交代選手の躍動が東京の攻撃を活性化する。

東京はその後、新加入の塚川選手と木村選手も投入して膠着した試合展開の打開を狙う。塚川選手はボール奪取とシンプルにボールを動かしてリズムを作った。そして、試合はアディショナルタイムへ。後半45+2分、塚川選手が体を張ってサントス選手の突破を止めると、左サイドに開いて待っていたアダイウトン選手にボールを渡す。縦へと仕掛けたアダイウトン選手はペナルティエリア付近でゴール前に向けたクロスを上げたが、これがループシュートとなってゴール右隅へと直接流れ込み、東京が終盤に入って逆転に成功した。


交代で入った選手たちの好プレーで流れをつかんだ東京は、前節のジュビロ磐田戦に続いて連勝を果たした。次節からはホームゲームが2試合続く。ボールを保持しながら戦うスタイルの進化を止めず、この勢いを継続してホームでも歓喜を掴み取る。

MATCH DETAILS

<FC東京>
STARTING Ⅺ
GK波多野豪
DF長友佑都/木本恭生/森重真人/バングーナガンデ佳史扶
MF松木玖生/東慶悟(後半42分:木村誠二)/安部柊斗(後半27分:塚川孝輝)
FW三田啓貴(後半15分:ルイス フェリッピ)/ディエゴ オリヴェイラ(後半27分:山下敬大)/紺野和也(後半15分:アダイウトン)

SUBS
GK児玉剛
DF鈴木準弥

GOAL
後半22分:ディエゴ オリヴェイラ/後半45+2分:アダイウトン

<サンフレッチェ広島>
STARTING Ⅺ
GK大迫敬介
DF塩谷司/荒木隼人/佐々木翔
MF藤井智也/松本泰志/川村拓夢(後半40分:今津佑太)/東俊希(後半40分:茶島雄介)/森島司(後半32分:柴﨑晃誠)/満田誠(後半32分:エゼキエウ)
FWナッシム ベン カリファ(後半23分:ジュニオール サントス)

SUBS
GK川浪吾郎
MF浅野雄也

GOAL
前半40分:森島


[アルベル監督インタビュー]

Q、試合を振り返ってください。
A、まず前半ですが、我々がチームとして成長を遂げている、良い方向に進んでいることが証明されました。ボールを保持したいという気持ちが十分に伝わったと思います。特に広島は激しいプレスをかけてくる良いチームです。彼らを相手にボールを保持するのは、決して簡単なことではありません。
そして前半、ふたつの明確な決定的なチャンスがありました。ただ、ボールを持っていない時の守備では苦しんでしまったことも前半の展開でした。なかなか良い形で守備ができていないところで、相手の素晴らしいロングシュートで先制点を決められてしまいました。
そして後半の立ち上がりは苦しい時間帯が続きました。ボールを失った時に苦しんでいたように思います。ただしベンチには試合の流れを変えられる選手が複数人控えていました。選手交代で彼らを投入したことで試合の流れが大きく変わったと思います。そこから逆転劇がスタートしました。

ボールを保持するだけでなく、ゴールを決めるという決定力の部分を、チームは投入された選手とともに表現できていました。それが相手の選手を怯えさせる要因になりました。塚川、(山下)敬大を投入した時には、彼らもチームに良い流れをもたらしてくれました。複数の決定的なチャンスを作れていました。一方で相手にも決定的なチャンスをいくつか作らせてしまったのは課題として残っています。
サッカーというのは、決定的なチャンスの数を競うスポーツではありません。ゴールを競うスポーツですし、今日、我々は相手よりも多くのゴールを決める幸運に恵まれました。今日の試合結果以上に、選手たちは後ろからしっかりとつないで前進しようという意図を90分間に渡って常に持ち続けてくれたことが、私の心に残りました。グアルディオラ(マンチェスターシティ監督)のチームのように、ただちに素晴らしいプレーができるかというとそうではありません。我々にはまだまだ成長のプロセスが残っています。ですが、選手たちが常にボールを保持しよう、ボールとともに前進しようという意図を持ってプレーしてくれたことは、私の誇りです。

今日デビューした新加入の3選手を称えたいと思います。合流してたったの5日間でしたが、チームに上手く適応してくれました。新型コロナウイルス感染症の影響で重要な選手の離脱がある中、彼らは素晴らしいものを提供してくれました。波多野豪のことも称えたいと思います。チームはさらに成長しなければいけませんが、成長のプロセスを進むには勝利という追い風があった方が、進みやすいということもあります。最後に、今日の対戦相手の広島を称えたいと思います。新監督とともに良いスタイルで良いプレーをしています。彼らと戦うことは光栄でした。

Q、波多野選手の前向きに評価できる部分について、具体的に教えてください。
A、ここ数年間、東京を追いかけてくれているメディアの皆さんであれば、十分に理解できると思います。今までの豪は、不安定な部分があったと思います。1試合の中でも素晴らしいプレーをする時間帯もあれば、不安定なプレーをする時間帯もありました。ゴールキーパーというのは、チームに安定感を与えることが重要だと思います。彼には、シーズン頭から強調して伝え続けてきました。そして今日、集中して素晴らしいプレーを続けていましたし、足元のプレーも素晴らしかったです。私がゴールキーパーに求めるのは、足元での攻撃での貢献と止めるべきものを止める部分です。素晴らしいセーブをしてくれることも嬉しいのですが、私が重要視しているのは、止めるべきものを止めることです。豪は、次の成長のフェーズに進んでいると思います。


[選手インタビュー
<アダイウトン選手>

Q、試合を振り返ってください。
A. 非常に難しい試合でしたがしっかり最後に逆転して勝てたことは良かったと思います。

Q、出場する前はチームのプレーをどう感じていましたか。
A、外から見ていて悪くないと思っていましたし、良いリズムで自分たちがボールを持てていました。ただ、失点してしまったので悪く見えたのが正直なところです。ボールを保持しながらプレーを続けて得点を奪うことを意識していました。

Q、ゴールのシーンはイメージ通りでしたか。
A、中を見たら3人選手がいたのでクロスを意識して蹴りましたが、それがちょうどゴールに向かったというのが正直なところです。

Q、途中から出場してチームの流れを変えるプレーが多く出せていたと思います。
A、自分だけでなく、出場している選手一人ひとりが自分たちの持ち味を出して勝利に貢献したい気持ちでプレーしていましたし、その点に関しては自分が入ったからというよりは、チーム全体で意識していました。


<波多野豪選手>

Q、リーグ戦初出場となりました。
A、数日前から、このチャンスが来るということは感じていましたし、しっかり準備して臨みました。この試合にかける想いが強かったので、失点はしましたが、勝ててよかったです。

Q、いい準備ができたということですが、ここまでどのような思いでとりくんでいましたか。
A、自分もまだ若いので、腐らず、試合に出るチャンスを伺いながら、常に練習してきましたし、クバ(スウォビィク)選手のプレーも参考にしながら取り組んできました。最近は林選手も怪我から復帰してきて、林選手とは自分がプロ一年目から一緒に取り組んできたので、様々な面を学ばせていただきました。そのようなプレーを出せたのではないかなと思います。

Q、今日は安定したプレーが見せられたと思います。どのような面を改善されてきましたか。
A、2021シーズンは試合に出させていただいてたので、自分のプレーに集中し自分が何とかしなきゃいけないというマインドでしたが、今年はいい意味で雰囲気を明るくする役割を担おうと取り組んでいました。その結果、硬くなりすぎず、リラックスしてテンポよく今日も試合に臨めましたし、次がどのような立場であっても、チャンスがあればよいプレーが出せるように取り組んでいきたいです。


<塚川孝輝選手>

Q、東京での初出場を振り返ってください。
A、仲間に感謝ですね。最高の初試合にしてくれたので、僕もここからもっとチームに恩返しできるように頑張りたいです。

Q、積極的にボールを受ける意識が高かったと思います。
A、やはり監督が求めるサッカーがそういうプレーですし、きつい時間帯こそ途中から入った選手が顔を出してボールを受けてあげることでチームは助かると思います。そこは意識してプレーしました。もっと攻撃に絡んでいくプレーなど、やることは他にもあったと思うので、もっと突き詰めていきたいです。

Q、チームの連携などで上手くいった部分は何ですか。
A、僕自身、まだまだ合わせる部分が多いですし、もっとこのタイミングで欲しい、と思うような場面もありました。そこは自分から要求していく部分と、みんなのほうももっと要求したいことがあると思うので、お互いすり合わせていければと思います。

Q、次はホーム味の素スタジアムでの試合です。
A、まだみなさんの信頼を得られていないと思うので、もっと結果を出してチームに貢献したいと思います。味の素スタジアムで一緒に戦えることを楽しみにしています。


<森重真人選手>

Q、苦しいゲームでしたが、勝利できた価値はどうですか。
A、最後は個の能力のところですが、チームとしてやりたい姿というのは垣間見えたかなと思います。あとはそれを継続して、ゴールにつなげることができれば、もっと良いと思います。

Q、後半立ち上がりのところで苦しんでいたと思いますが、どう守ろうという意図でしたか。
A、理想はずっとボールを持っていることですが、それができない時は失点しないでしっかり耐えるということができれば、また自分たちの時間がきます。苦しい時間帯で我慢強く戦うというのが、今日は結果につながりました。

Q、今日は久しぶりに波多野選手とプレーしましたが、彼の成長ぶりはどうでしたか。
A、ボールの扱いは上手かったですし、豪のところで焦らないで時間を作りながら、相手を食いつかせるということができていました。そこは彼の長所を出してくれたなと思います。

Q、こうして勝ちながらチームが成長していくことが理想だと思います。勝って次のホームゲームにつなげる意気込みを聞かせてください。
A、どちらに転んでもおかしくない試合を、こうして勝利していけるようにやっていきたいです。その差がなんなのかはまだよく分からないですが、自分たちがやるべきことに集中して、割り切るところは割り切って、ということを続けていくしかないと思います。


<松木玖生選手>

Q、難しい試合に勝利しました。振り返っていかがですか。
A、こういう難しい試合で、しかもアウェイゲームという難しい環境で、勝点3を持ち帰ることができるので非常に良い試合にできました。

Q、前半の立ち上がりから狙いのプレーができていたと思いますが、その中で先制される展開は難しかったのではないですか。
A、立ち上がりから相手に握られていた部分もあるので、そこは修正しないといけないポイントですし、失点のところも、あそこでセンターバックが出てくるのは難しいので、自分がスライドできたら防げた失点だと思います。

Q、後半に入ると、違うチームになったように立ち上がりは押される展開でした。
A、交代選手が良い活躍をしてくれて、その中で勝ち切ることができたのは重要なことだと思います。

Q、リーグ戦再開後の初戦で勝てたことは大きいのではないですか。
A、中断期間が空けてから最初の試合で勝てたことは大きいですし、さらに勢いに乗るために次はホームなのでこのまま継続していきたいです。

Q、清水には前半戦で勝利していますが、良いイメージがありますか。
A、どこのチームとの試合でも変わりません。まずは自分たちのペースをぶらさないようにチームの勝利に貢献したいと思います。