10/18 神戸戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2024.10.18

10/18 神戸戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

<マッチレビュー>

アウェイの地、神戸に乗り込んで迎えた2024明治安田J1リーグ第34節。インターナショナルマッチウィーク明けの試合は、クラブ記録のリーグ戦6連勝中で首位のサンフレッチェ広島に勝点1差としているヴィッセル神戸との一戦。

前節サガン鳥栖戦の引き分けで連勝は3試合で止まってしまった東京だが、良い守備から良い攻撃への転換という持ち味は発揮できており、決してチーム状態は悪くない。ここで神戸を相手に実力を発揮したいところだ。

スターティングメンバーは最終ラインの並びを変更。木本恭生選手の出場停止を受けて、左サイドバックに入っていた岡哲平選手をセンターバックで起用。長友佑都選手を左サイドバックに移し、右サイドバックには中村帆高選手を配した。

また、当初先発に名を連ねていた俵積田晃太選手に試合前のウォーミングアップでアクシデントが発生。左ウイングを急きょ遠藤渓太選手に変更し、代わって東廉太選手が今シーズン初めてサブメンバーに入った。

1stHALF—スクランブル出場の渓太弾で先制に成功

序盤から両チームが球際で激しく、強度の高い局面が目立つ試合に。ハイプレスとロングボールを中心に押し込んでくる神戸に対し、東京も前線からの追い込みで互角の時間帯が続く。

ロングボール、サイド攻撃でパワー系の攻撃を仕掛けてくる神戸に対し、東京は前線からのプレスと的確なブロックで対応。奪ってからも落ち着いたパスワークで相手のプレスを回避し、しっかりと流れを引き寄せるべくトライしていく。

最初にビッグチャンスを作ったのは神戸だった。前半15分、左サイドから対角に入れたロングフィードに前線で武藤選手がヘディングで競り、最終ラインの裏でボールを受けた大迫選手に強烈なシュートを打たれるが、これを野澤大志ブランドン選手が鋭い反応でセーブ。野澤大志選手は続く16分にも宮代選手の左足シュートを横っ飛びで弾き出し、堅守でチームを引き立てる。

良い守備から良い攻撃へ──。結果を出すために必要な取り組みを続けてきた青赤イレブンの踏ん張りが実ったのは、前半24分のことだった。

両ボランチが左サイドに流れてパスを交換しながら攻撃のスイッチを探っていくと、タッチライン際で東慶悟選手がペナルティエリア内へ柔らかな浮き球パスを供給。これを荒木遼太郎選手が体をひねりながら胸で落とすと、後方から走り込んだ遠藤選手がワンバウンドしたボールを巧みに左足アウトで合わせて逆サイドネットに流し込み先制。急きょピッチに立つことになった背番号22が鮮やかなダイレクトプレーからのファーストシュートを決め、東京がリードを奪うことに成功した。


ボールポゼッションこそ相手に譲る展開になっているが、守備では前線からのプレス、ロングボールへの対応の双方で持ち味を発揮。セカンドボールを拾うこともできているものの、選手間の距離が遠いこともあって奪ってからパスがなかなかつながらず、ピッチ上は一進一退の状況に。

8分間のアディショナルタイム、相手のロングスローからロングカウンターを発動させ、高宇洋選手の持ち上がりから右サイドの荒木選手がアーリークロス気味にゴール前へ正確なボールを供給。ここに鋭く安斎颯馬選手が飛び込んだが、滑り込みながら右足で合わせたボールは惜しくもわずかにゴール右へ外れてしまう。

お互いに各所で強度の高いプレーが続いた前半、守備で良さを発揮しながら鋭くゴールに襲いかかった東京がワンチャンスを確実に決め、1点をリードしてハーフタイムを迎えた。

2ndHALF—前半終盤の決定機逸を挽回するアンザイゴールで追加点

神戸は後半開始から佐々木選手に代えて汰木選手を投入。東京は前半と同じメンバーで後半に臨んだ。

後半立ち上がり、荒木選手のエレガントなプレーがピッチで踊る。後半7分、ペナルティエリア内で相手選手を背負いながら振り向きざまにループシュート。これは相手ゴールキーパーがギリギリでかき出したが、ほぼゴールが見えない位置から抜群の空間把握能力で青赤の司令塔が一瞬で決定機を生み出す。

青赤のタロウが見せた得意の右足キック。これが東京に再び歓喜の瞬間をもたらすことになる。

直後の後半9分、右サイドで得たセットプレーから荒木選手が右足で正確なキックをゴール前へ送る。相手ディフェンダーとゴールキーパーの間でワンバウンドする絶妙なボールに、ファーサイドから走り込んでヘディングで押し込んだのは安斎選手。後半開始早々の良い時間帯に追加点を奪い、東京がリードを2点に広げた。


後半14分、前線で身体を張ったポストプレーを見せていたディエゴ オリヴェイラ選手に代えて、1トップにエヴェルトン ガウディーノ選手をピッチへ送り込む。

ここで守護神にまさかのアクシデント。後半17分に相手のクロスをキャッチしたところで左足を傷めてしまう。いったんは試合に戻ったものの、次のプレーで痛みが再発。タンカでピッチを後にすることになり、代わって波多野豪選手がスクランブル出場することになった。

思わぬ形で交代機会を使ってしまった東京は後半27分、一気に3選手を入れ替える。東慶悟選手、遠藤選手、荒木選手に代えて、ボランチに土肥幹太選手、左ウイングに野澤零温選手、フォワードに山下敬大選手を投入。システムを2トップに変更し、前線からのプレスを強めながら追加点を模索していく形にシフトしていく。

守備で素晴らしい集中力を見せる東京。後半34分には波多野選手が立て続けにスーパーセーブでチームを救う。後方から飛び出してきた酒井選手のシュートを左手の指先で弾き出すと、そのコーナーキックを武藤選手に合わせられながら足下を狙われた難しいボールを超絶的な反応でストップ。突然の出場機会にもかかわらず、青赤のムードメーカーがプレーでチームに勢いをもたらしていく。

高さのある選手を投入してパワープレー気味に押し込んでくる神戸。だが、東京もしっかりとロングキックの出どころにアプローチしつつ、ボールの落ち際で厳しく競り合い、セカンドボールも回収して相手に自由を与えない。終了間際までペナルティエリア内で身体を張ったディフェンスを見せ続けていく。

9分と表示された後半アディショナルタイム、サイドから後方からボールを放り込み、がむしゃらにゴールに襲いかかってくる神戸に対して、東京は集中した守備で耐え続ける。

選手たちの白い2ndユニフォームが芝生や土の色に染まる。彼らがどれだけ身体を張って戦ってきたかを証明していた。

アクシデントを乗り越えて最後まで全員で守り抜き、リーグ戦6連勝中、公式戦12戦無敗の神戸を相手に勝利。堅守をベースにした戦いで優勝争いを繰り広げる相手に会心の勝利を挙げて、これでリーグ戦5戦無敗。ノエスタに勝利の凱歌『眠らない街』が響き渡り、アウェイの地で青赤の誇りを見せつける結果となった。

MATCH DETAILS
<FC東京>
STARTING Ⅺ
GK野澤大志ブランドン(後半21分:波多野豪)
DF中村帆高/森重真人/岡哲平/長友佑都
MF高宇洋/東慶悟(後半27分:土肥幹太)/荒木遼太郎(後半27分:山下敬太)
FWディエゴ オリヴェイラ(後半14分:エヴェルトン ガウディーノ)/遠藤渓太(後半27分:野澤零温)/安斎颯馬

SUBS
DF東廉太
MF原川力

GOAL
前半24分:遠藤渓太 / 後半10分:安斎颯馬

<ヴィッセル神戸>
STARTING Ⅺ
GK前川黛也
DF酒井高徳/山川哲史(後半35分:菊池流帆)/マテウス トゥーレル/初瀬亮(後半27分:本多勇喜)
MF扇原貴宏/武藤嘉紀/井手口陽介(後半27分:広瀬陸斗)/佐々木大樹(後半0分:汰木康也)
FW宮代大聖(後半17分:ジェアン パトリッキ)/大迫勇也

SUBS
GK新井章太
MF 鍬先祐弥

GOAL


[ピーター クラモフスキー監督インタビュー]


Q、試合の総括をお願いします。
A、予期したとおりの戦いになりました。相手のことはディフェンディングチャンピオンチームとしてリスペクトしていますし、個の能力が非常に高い選手がいるチームだということも分かっていました。さらに直近の12試合で負けていないということもありましたので、タフな試合になると思っていました。そのなかで自分たちがチームとしてのパフォーマンスを強く出すことができましたし、自分たちの素晴らしい個性を出し、勝点3に値する戦いができました。ヴィッセル神戸の攻撃はダイレクトにゴールに迫ってくる、長いボールが入って空中戦で競ってボックス内に入ってくるというものでしたので、自分たちのロングボールに対するケア、ボックス内での守備の対応という決まりごとをしっかりと遂行できたと思います。

勝ったからこそ自分たちの戦い方をもっと学んでいける良い機会だと思っています。試合のなかで、攻撃の部分でもっと改善できる部分もありましたので、そういったところを成長させていきたいと思います。自分たちの狙いとするスペースを使いながらチャンスを作ることができましたが、ボールを持った時にもっと落ち着いてプレーをし、もっとしっかりとボールをコントロールすることができれば、使いたいスペースをより良い形で使うこともできたと思います。そうすれば、そこからもっと得点につながっていたかもしれません。

ただ、本当に選手たちを誇りに思いますし、良く戦ってくれたと思っています。ウォーミングアップで俵積田晃太選手が怪我をしてしまいましたが、どの選手が出たとしてもしっかりとプレーできることを示してくれたと思います。遠藤渓太選手がインパクトを出して素晴らしいゴールを決めてくれました。あまり多くボールに触る機会はありませんでしたが、途中から出場したゴールキーパーの波多野豪選手も無失点に貢献してくれました。これらは、クラブハウスで全員がしっかりと努力を続けてきているからこその成果です。彼らはこういった機会がきた時のために、しっかりと準備をしています。

今日も遠方まで来てくれたファン・サポーターのみなさんに勝点3を届けること、喜びを分かち合えたことをとてもうれしく思いますし、彼らに笑顔をもたらすことができて良かったと思っています。

Q、前節の失点を受けて、入念な守備のトレーニングをしていましたがその成果は出ていたでしょうか。
A、守備の局面で、チームとして非常に良く戦えていたと思います。シャープにやらなければならない部分、より強くやらなければならない部分ともに今日はしっかりとできていたと思います。どのクラブと対戦する時にも、毎回のように自分たちの良さを出せるようにしていきたいです。今日の試合では、ディフェンディングチャンピオンの神戸に対してクリーンシートで抑えることができたことは、選手たちの日頃の取り組みやチームパフォーマンスにおいて規律をもって戦ってくれたおかげです。

試合を分析してパフォーマンスを振り返ってみると、攻撃のシーンで自分たちがボールを保持した時に、もっと相手ゴールを脅かせる場面ができたと思っていますし、チームとしてそうなっていかなければいけません。本当に選手たちのメンタリティを誇りに思っていますし、チームとしてのスピリットや団結力を持って戦ってくれました。自分たちが勝利から学び、改善していけることはとてもポジティブです。


[選手インタビュー]
<遠藤渓太選手>


Q、俵積田晃太選手の負傷により、急遽出場となりました。
A、これまでのサッカー人生でこのようなことはなかったですが、監督からは「いつも通りやってこい」ということと、「お前のもっているメンタリティを示してみろ」と言われていました。そのメッセージに対して、一つ結果で示せたと思います。

Q、次の試合にもつながる勝利になりました。
A、チームとしてとても良いサッカーができていたと思いますし、難しい相手でしたがタフに粘り強く頑張って守ることができて、勝つことができて良かったです。個人としても次につながる試合になりました。

Q、荒木遼太郎選手からのボールをゴール隅に流し込みました。得点シーンを振り返ってください。
A、東慶悟選手があの場所でボール持った時にはアイディアのあるパスを出してくれると思っていました。パスの先に荒木選手がいて、彼であればしっかりと落としてくれると思い、ポジションをとりました。東慶悟選手と荒木選手を信じて自分は待っていました。シュートは良いところに飛んでくれてよかったです。

Q、10月16日が誕生日だったピーター クラモフスキー監督に勝点3という素晴らしい誕生日プレゼントを送れました。
A、僕だけの功績ではありません。チームとして勝てたことが良かったです。良い誕生日プレゼントになったと思います。


<安斎颯馬選手>


Q、試合と得点シーンを振り返ってください。
A、自分自身、得点がとれない時期が続きましたし、前半も荒木遼太郎選手から良いボールがきて決定機になったのですが、外してしまいました。それでもあのポジションは1年間狙い続けてきた場所ですし、継続した結果があのゴールだったと思います。時間帯としても良いタイミングで決めることができました。

Q、最後までペースを落とさずにハードワークし続けていました。
A、前節、3連勝していたチームのなかでメンバーが代わったのは僕だけで、その試合で勝てなかったので責任を感じていました。もう一度強い想いを持って、この試合でプレーする準備をしてきましたし、最後まで気持ちのこもったプレーができました。

Q、試合の入りは守備がうまく機能しましたが、一方で攻撃へのつながりが難しかったのではないですか。
A、苦しい時間も長かったですが、そこで全員で守って失点をゼロで耐えることによって、1点が取れれば勢いがつきます。あそこで苦しい時間帯を無失点で凌げたことが90分を通して戦って勝つためには大事なことでした。試合の入りの時間帯は多少押し込まれましたが、チームとして耐えられたことは一つの大きな収穫です

Q、攻撃力のあるヴィッセル神戸に対してクリーンシートで終えられたという結果を、どのように次の試合につなげていきたいですか。
A、やることは変えずに戦いたいです。次はホームですし、味の素スタジアムであまり勝てていないので、湘南ベルマーレを相手にして多少は戦い方が変わる部分もあると思いますが、自分たちのこのベースをどの相手に対してもやり続ければしっかりと戦えると思います。相手のサッカーに惑わされずに、しっかりと自分たちのスタイルを出して戦いたいです。


<中村帆高選手>


Q、試合の入りがすごく良かったと思いますが、ディフェンスラインではどのようなコミュニケーションをとっていましたか。
A、相手が得意な形というのは、ミーティングなどで共有していました。いかに相手のやりたいことを潰すのか、基本的な部分ですが、最後は球際で負けないという部分になってきます。今日はコミュニケーションをとり合い、どちらもうまくできていました。結果として相手の良さを消し続けることができたと思います。今日は戦うという面もしっかり最後までできたので、その点が勝利につながりました。ディフェンスの選手としては、やろうと思っていたことができた試合でした。クリーンシートで試合を終えることができたことは良かったので、次の試合もクリーンシートで勝ちたいと思います。

Q、最後は押し込まれる時間が続いていましたが、耐え切りましたね。
A、最後まで集中を切らさずに我慢強く戦うことができていました。ディフェンスラインを細かく上げたり下げたりコントロールすることはすごく重要です。そのラインを上げた数メートル、数センチで試合結果が変わっていたかもしれません。チーム全体としても細かいところまでこだわってやっていたので、結果につながって良かったです。

Q、久々のスターティングメンバーでフル出場でした。
A、スタメンでの出場は1か月半ぶりぐらいでした。きつくなることは覚悟していました。個人的には前半の最初の時間帯で試合の流れに入り切るまでが一番きつかったです。自分の持ち味を出していくにつれて、リズムに乗っていきました。自分の良さを出せたことで、最後まで戦い続けることができたと思います。