3/1 鹿島戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2025.3.01

3/1 鹿島戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

<マッチレビュー>
アウェイの地に乗り込んだ東京。ここまで2勝1敗と白星を先行させているだけに、ここでしっかりと勝利をつかんでスタートダッシュに勢いをつけたいところだ。

東京は前節からスターティングイレブンを7選手変更。センターバックには木本恭生選手が今シーズン初めてスタメンに名を連ね、橋本拳人選手が復帰後初となるスタメン入りを果たした。また、前節に続いてベンチ入りしたFC東京U−18所属の北原槙選手がJ1リーグ最年少出場記録を更新できるかにも注目が集まる。

一方、試合前のメンバー紹介では昨シーズン一緒に戦った鹿島アントラーズの荒木遼太郎選手に青赤のゴール裏から大きな拍手が送られていた。

1stHALF—カウンターから再三チャンスを作るも決め切れず

試合は前半2分、いきなり東京がチャンスを作る。俵積田晃太選手の縦パスから、マルセロ ヒアン選手が抜け出して独走。これはフィニッシュ寸前でブロックされてしまったが、前節3ゴールを奪ったカウンターで怖さを見せる。

シンプルな判断をしながらボールをつないだ攻撃を仕掛けようとしていく東京。なかなかシュートの形を作ることができないなか、前半17分には左サイドでボールを受けた俵積田選手が中央へのカットインから右足シュートを放つなど、相手を自陣に引き込んだ状態からの速攻で好機を見出していく。

前半25分には右サイドのスローインを起点にマルセロ ヒアン選手のフリックから俵積田選手が抜け出すと、この折り返しをファーサイドから走り込んだ長友佑都選手が強烈なシュート。これは懸命に戻った相手ディフェンダーにブロックされた。

対角線へのパスが有効となるなか、前半35分にはふたたび大きな左サイド前方への展開から中央へとつなぎ、ペナルティアーク付近でボールを受けた仲川輝人選手が俵積田選手とのワンツーから左足シュート。バイタルエリアを崩して決定機を作ったが、これは惜しくもバーをかすめてゴールの上へ外れ、ネットを揺らすことはできなかった。


前半はこのままスコアレスで終了。ビルドアップの乱れから危ないシーンになりかけたこともあったが、守備時の集中したディフェンスで得点は許さず。選手個々の奮闘が印象的な45分間となった。

2ndHALF—複数の絶好機を逃してリーグ戦連勝ならず

メンバー交代なく後半に臨んだ東京。ここでも開始早々にチャンスを作っていく。最終ラインの岡哲平選手が前方へフィード。巧みなトラップで受けた俵積田選手が左サイドからカットインして右足を振り抜いたが、これは相手のブロックに阻まれた。

立ち上がりから東京が得意の形で敵陣に襲いかかる。

続く後半5分にもビッグチャンス。ボールをつないで相手を押し込んだところから橋本選手が右へ展開。ここから安斎選手が縦へ突破してクロスを入れ、中央のマルセロ ヒアン選手がドンピシャのヘディング。これは惜しくも左ポストを直撃し、またも先制点を奪うには至らない。

後半9分には中盤で木本選手がカットしたところから仲川選手がカウンターを発動。フェイントで相手選手を翻弄しながらペナルティエリア付近まで持ち込んで右足シュートを放ったが、これはゴール上。さらに後半11分には相手のビルドアップにマルセロ ヒアン選手が猛然とプレスを仕掛けて相手ゴールキーパーのタッチミスを誘い、このこぼれ球を俵積田選手が左サイドからワンタッチで無人のゴールを狙ったが、わずかに右に逸れて絶好機を逃してしまう。

組織力で押し込み、個の力で打開していく東京。後半18分には俵積田選手が相手のマークを引き剥がしながら力強くドリブルで左サイドを独走。この折り返しを中央のマルセロ ヒアン選手が右足で狙ったが、これは惜しくもゴールキーパーの正面へ。


後半22分には相手コーナーキックの流れからミドルシュートを打たれたが、これは野澤大志ブランドン選手が逆を突かれながら右腕を伸ばして懸命にセーブ。さらに相手コーナーキックから一度はヘディングで押し込まれたかと思われたが、これはVARのサポートが入りオフサイドの判定となり難を逃れた。

勢い付く鹿島に押される時間帯が続き、後半27分にはペナルティエリア内でのファウルでペナルティキックを与え、これを鈴木選手に決められて先制を許してしまう。

序盤から多くのチャンスを作るなかで1点のビハインドを背負うことになってしまった東京。ここで松橋力蔵監督が動く。後半38分、北原選手と野澤零温選手を投入。15歳7か月22日のJ1リーグ最年少出場となる若武者と、今シーズン全試合にベンチ入りしながら初出場となった背番号28に劣勢挽回を託した。

高宇洋選手に代わってボランチに送り込まれた北原選手のファーストタッチは後半43分、左からの横パスにワンフェイクを入れながら相手を翻弄して前を向き、そのまま持ち上がってスルーパス。これは相手ディフェンダーの網に掛かってしまったが、いきなり大きな可能性を感じさせるプレーを披露した。

一気に反撃に出たい東京だったが、後半アディショナルタイムに入った直後の90+1分、セットプレーから追加点を奪われて悔しい2点目を失ってしまう。

ビルドアップと速攻を織り交ぜながら多くのチャンスを作り、新しいスタイルに手応えを感じさせたゲームとなったが、決定力を欠いてアウェイで悔しい敗戦。これで今シーズンのリーグ戦は2勝2敗で五分の成績となった。

MATCH DETAILS
<FC東京>
STARTING Ⅺ
GK野澤大志ブランドン
DF森重真人/木本恭生/長友佑都(後半38分:野澤零温)/岡哲平
MF安斎颯馬/高宇洋(後半38分:北原槙)/橋本拳人(後半18分:小泉慶)/俵積田晃太
FWマルセロ ヒアン(後半24分:山下敬大)/仲川輝人(後半24分:佐藤恵允)

SUBS
GK波多野豪
DF土肥幹太/エンリケ トレヴィザン/白井康介


MANAGER
松橋力蔵

GOAL
-

<鹿島アントラーズ>
STARTING Ⅺ
GK早川友基
DF濃野公人(後半45+6分:キム テヒョン)/植田直通/関川郁万/安西幸輝
MF樋口雄太/舩橋佑(後半13分:徳田誉)/小池龍太/松村優太(後半1分:師岡柊生)
FWレオ セアラ(後半13分:知念慶)/鈴木優磨(後半34分:チャヴリッチ)


SUBS
GK梶川裕嗣
DF津久井佳祐
MF柴崎岳/荒木遼太郎

MANAGER
鬼木達

GOAL
後半29分:鈴木優磨
後半45+1分:師岡柊生


[松橋力蔵監督インタビュー]


Q、試合を振り返ってください。
A、非常に悔しいゲームでした。前半はお互い決め手に欠く内容でしたが、いくつか決定機がありながら、そこを決め切れませんでした。後半のスタートは、我々がゲームをコントロールしていました。何度かあった決定的なチャンスを一つでも決めることができていればと思いますが、その流れを断ち切ってゴールを決めてくる部分で、最後は鹿島アントラーズのゲームだったと思います。非常に悔しいです。

Q、北原槙選手が最年少でのJ1リーグ初出場となりました。
A、彼の良さであるギリギリでの判断の良さや相手の急所を突くようなフィードと見通す目を感じられるようなプレーがいくつかあったと思います。課題はありましたが、今後の自信につなげてもらいたいです。

Q、どのような指示を与えましたか。
A、どんどんボールに絡んでいくことと相手の嫌がるところへ差し込むパスを狙うように伝えました。普段から見ている彼と比べると緊張もしていたと思います。

Q、ビハインドを背負う展開、あの時間帯で他の選手ではなく北原選手を起用したのはどういった意図でしたか。
A、あの状況も想定した上でメンバーを選考しています。負けているという状況に限らず、リードしている状況だったとしても得点を奪いにいくためのピースだと思っているので起用しました。


[選手インタビュー]
<橋本拳人選手>


Q、出場した時間のなかで存在感を発揮していたと思います。
A、良さを出せたシーンもありましたし、まだまだ改善が必要な部分もありました。
ビルドアップで味方の逃げ道になるような立ち位置をとることや、前線にスムーズにボールを送るための立ち位置、周りとの連携や連動もまだまだこれからだと思っています。もっと良くしていきたいです。


Q、橋本拳人選手が中盤に入ったことで、ボールがスムーズに動くシーンが多くみられました。
A、全然足りないと思います。松橋力蔵監督が求めるサッカーも完全には表現できていません。ですが、今日の前半では攻撃で何度か良い場面もチームとして生み出せていました。まずは攻撃の回数を増やしていきたいです。攻撃に繋げるプレーが僕自身の持ち味でもあるので、もっとボールに関わるプレーを今後増やしていきたいです。

Q、ボールを握るだけではなく、時には縦に速い攻撃など、うまくバランスがとれていたように見えました。
A、その点については、僕らの強みだと思います。縦に素早い攻撃を仕掛ける時もあれば、ボールをコントロールして試合の主導権を握る時もあること、うまく使い分けることで相手にとっても脅威になると思います。


<北原槙選手>


Q、Jリーグデビューとなりましたが、感想を聞かせてください。
A、先輩方に、「楽しんでこいよ」や「いつもの自分のプレーをしてこいよ」という言葉をもらって、少し緊張もほぐれました。自分のプレーがすべて出せたというわけではありませんでしたが、素直に楽しかったということが一番の感想です。

Q、史上最年少記録となりましたが、その点についてはどう感じていますか。
A、あまり記録というものは意識していませんでしたが、先輩方や友達に言われて光栄なことだと思っています。ただ、これで満足してはいけないと思っていますし、ここから頑張っていきたいです。

Q、ビハインドの状況での出場となりましたが、どういう気持ちで試合に入りましたか。
A、試合の流れを変えるという役割で投入されたと思いますが、もう少し自分の特長を出せたかなという想いもありますし、結局自分が入ってからもう1失点してしまっているので、やはり足りなかったなと思っています。

Q、自身としてはどんなプレーをしたかったですか。
A、相手の逆を突くプレーは自分の特長なので、もっと出していきたいと思っていますし、チームとして負けている状態だったので、自分が得点に絡むことができていたらもっと良かったです。

Q、プロの舞台に立ちましたが、これからどんなキャリアを歩んでいきたいですか。
A、今日は少ししか出場ができなかったので、もっと長い時間プレーしたいという想いはありますし、スタメンで出たいという想いもあります。今日Jリーグデビューはできましたが、これで満足をせず、もっと高いところをめざしていきたいと思います。