4/20 C大阪戦 MATCH PREVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2025.4.19

4/20 C大阪戦 MATCH PREVIEW & INTERVIEW

<前節・柏レイソル戦のレビュー>

国立競技場で苦しい流れを変えるべく、立ち上がりから青赤の選手たちが果敢に相手ゴールへ襲いかかった。開始直後には1トップに入った佐藤恵允選手が仕掛け、前半16分にはセンターバックの岡哲平選手が力強い持ち上がりから強烈な左足ミドル。同20分には俵積田晃太選手がこぼれ球を狙ってシュートを放っていく。守っても前線からの積極的なプレスで相手のミスを誘い、チーム全体で連動したディフェンスを見せる。


改装以来、ホームゲームでは無敗の国立。前半35分には左からカットインしてきた俵積田選手がシュート性のボールを供給すると、これが相手にあたってこぼれたところをファーサイドの仲川輝人選手が押し込み、リーグ戦7試合ぶりとなる先制点を獲得。続く前半41分には安斎颯馬選手の直接フリーキックがバーに弾かれるなど惜しいシーンも作り出し、1点のリードで前半を折り返す。

柏レイソルがボールをつないで攻めるシーンが増えた後半、少しずつ押し込まれる時間帯が長くなっていく。それでも何とか耐えて第3節以来の勝利を手にできるかと思われた後半アディショナルタイム。残り約1分という状況で前半から何度も狙われていた3バックの脇を崩されて痛恨の失点を喫し、1-1のスコアで試合終了のホイッスルを聞くことに。

最後の最後で勝利を逃す結果を受け、松橋力蔵監督は「非常に悔しい。僕も含めた自分たちの甘さが出てしまった。もう一度目線を合わせて、次に向けた準備をしていきたい」と厳しくも熱い口調で前を向いた。


<今節のプレビュー>

ミッドウィークに繰り広げた気迫の一戦が流れを変えるか。

リーグ戦で7戦未勝利という難しい状況にある青赤。前節の柏レイソル戦は勝利目前のタイミングに痛恨の同点弾を許し、またも白星を手にすることができなかった。この悔しい一戦から中3日で行われた2025 JリーグYBCルヴァンカップ1stラウンド第2回戦、アウェイでRB大宮アルディージャと対戦したチームは強烈な勝利への意欲を前面に押し出して戦い、延長戦を含めた120分間の激闘を制して見事に第3回戦への進出を決めた。


勝利の立役者となったのは、ここまで公式戦ノーゴールと悔しさを溜め込んでいたマルセロ ヒアン選手だ。昨シーズン、サガン鳥栖でリーグ戦14得点をマークしていた背番号19が、開幕からの鬱憤を晴らすかのようにハットトリックを達成。今シーズンは最前線の選手に求められる攻撃のポイントとなる役割や周囲との連携意識を強くするあまりに本来の怖さを出し切れていなかったが、抜群のスピードと圧倒的な決定力で一気に三つのゴールをゲット。敬礼ポーズのパフォーマンスを東京で初披露し、アウェイゴール裏に詰めかけた青赤の仲間たちと喜びを分かち合った。

チームとしても1点目を演出したパスワークは鮮やかだった。東慶悟選手の巧みな浮き球パスからニアゾーンのポケットに抜け出した小泉慶選手が胸で落とし、三人目の動きを狙って走り出していた長友佑都選手が折り返してアシスト。見事なインナーラップで先制点を導いた長友選手は「ボランチの二人が絡んだ得点。非常にチームとしても連動性が出せた。結果はもちろん大きいし、本当にみんなで戦って勝てた内容は自信になる」と力強く語った。

松橋力蔵監督も「(リーグ戦の前節で)最後に勝点3が目の前からこぼれ落ちたゲームをしたあと、苦しい状況をしっかりと跳ね返した。これは彼らの強い気持ちに他ならない」と選手たちのリバウンドメンタリティを高く評価する。


だが、勝ってカブトの緒を締めよ。久々の勝利で喜びの表情を見せた選手たちだが、試合後に浮かれる様子は全くなかった。それもそのはず。先制点を奪いながら後半37分に同点弾を許し、延長戦の末に手にした勝利。90分間のゲームであれば、悔しい想いをした柏戦と同じような展開だったからだ。

最後の最後まで走り切った安斎颯馬選手が「90分間のゲームなら柏戦と同じ展開で勝点を落とす結果になっていた。もう一度引き締めて守備の共通認識をしっかり持ってやらないと」と言えば、高宇洋選手も「しっかり90分間で終わらせなければいけなかった」と冷静に分析する。

だが、勝てない期間になかなか見ることができかった選手個々の持ち味を組み合わせたサッカーを披露できた点は大きなポジティブ材料だ。各選手が球際のバトルでも強さを発揮し、チームとして勝利を引き寄せるために必要なものを思い出したかのようにも思える。そして点を決めることができていなかったヒアン選手は持ち前の得点感覚を取り戻し、ノーゴールという鎖から解き放たれたかのようにネットを揺らし続けた。それならばチーム全体も──。

試合後のロッカールーム、選手たちは「次の試合に向かおう」と全員で話し合い、今節のセレッソ大阪戦にすぐさま気持ちを切り替えたという。高選手も「本当に次の試合が大事になる。しっかり勝利できるようにしたい」と、第3節以来となるリーグ戦での白星に目を向けた。


水曜日に120分間の激闘を戦い抜いた疲労からの回復は一つのポイントになるだろう。誰が出ても遜色ないサッカーを展開できるのは、今シーズンの“力蔵トーキョー”の大きな強みだ。アウェイでのセレッソ大阪戦に臨む今節、細部にこだわり、お互いの持ち味を引き出し合い、戦術でも個々のバトルでも上回っていくことで、これまでの流れを変える白星を手にしたい。青赤一丸。それぞれの場所で、勝利に想いを。


[松橋力蔵監督 インタビュー]


Q、RB大宮アルディージャ戦は120分を戦い、中3日でのセレッソ大阪との試合になります。
A、疲労がないわけではないので、疲労を少しでも取り除くための3日間でした。

Q、RB大宮戦では同点になった後にまた試合の流れを握り返しました。しっかりと試合のなかで修正できていたと思います。
A、どんな試合でも難しい時間はあります。そこで、動じることなく次のことをやっていく“ゲームリーディング(試合の流れを読む)”は大事だと思います。試合のなかで何が必要なのか、流れを読みながら、選手の良さを引き出していくことをしっかりと体現できたことは大きいと思います。必ず課題はあるので、そこはしっかりと目線を合わせることで次の試合の準備をしながら潰していけると思っています。

Q、120分間走り切った安斎颯馬選手をどのように評価していますか。
A、まだまだ走ってもらおうと思っています(笑)。彼は、ポジションも試合中に二つ三つ変わってプレーしていました。そういうなかで、試合終盤、前線に入った時もシュートを打っていました。最後の時間帯でそこに行ける走力は本当に計り知れないものがあると思います。そこでシュート決めることができればさらに上にいけると思います。ただ、そこで僕らもOKを出していてはダメだと思います。もっともっと上をめざせる選手です。

Q、RB大宮戦ではマルセロ ヒアン選手の背後への飛び出しから得点が生まれていました。C大阪では、パスをつなぐところと背後へのパスはどのようなバランスで得点を狙いますか。
A、ボールを動かすことで相手の配置が変わるので、そこでできたスペースを攻略していくことが重要です。なので、しっかりとボールを動かしていくことが大切です。ボールを持っている時も持っていない時も焦れないことが大事です。持っていない時は、我慢、我慢、我慢となります。守備のところでは、スペースやズレを生まないようにしなければなりません。ボールを持っている時も、逆に慌ててパスを入れることでカウンターのきっかけを作ってしまうこともあります。シンプルにボールを動かすなかで、相手が隙を作った際に一気にギアチェンジしてそこに入って行くことが、RB大宮戦での得点になっています。

Q、C大阪は前線の選手の勢いがあります。どのように試合に臨みますか。
A、勢いに飲まれないようにしていきたいです。自分たちもRB大宮戦での勝利をこの試合でどう活かせるかという考えもあります。良いゲームをして勝点3をとりたいです。難しい時間帯もあると思いますが、そこでもしっかりと抑えることができる自信はあります。


[選手インタビュー]

<白井康介選手>


Q、RB大宮アルディージャ戦の勝利が今後のリーグ戦の勝利につながる良いキッカケになったのではないですか。
A、一発勝負の緊張感ある大会でチームとして勝てたことはプラスに働くと思います。あとは、マルセロ ヒアン選手にゴールも生まれ、結果としてはハットトリックという大量得点で勝利につなげられたことはポジティブな一戦になったと思います。チームとして、どうにかこの状況を変えたい、勝ち切りたいという想いは当然強いです。細部の詰めのこだわりと活気を次の試合も意識したいです。

Q、RB大宮戦では長友佑都選手の活躍、ハードワークもありました。同じポジションを争う選手の活躍は刺激になりますか。
A、競争がまた激しくなってきた感覚ですし、久しぶりのスタメン出場で早速結果を残す長友選手は“さすがだな”と思うところもあります。僕自身、開幕戦のゴールからしばらく得点に直結するプレーを見せることができていません。ポジション争いは負けられないですし、良いプレッシャーを自分自身にかけることで、良い緊張感をプレーに還元できればと思っています。

Q、今節のセレッソ大阪戦を迎えるなかで、あらためて松橋力蔵監督やチームメイトと共有をした部分があれば教えてください。
A、RB大宮戦から中3日でC大阪戦を迎えるにあたって、細かく時間をかけてアジャストする時間は少なかったですが、試合の運び方やピッチ内での進め方を選手が率先して話し合いの場を設けたり、コミュニケーションを図ることができています。RB大宮戦もそうでしたが、ピッチ内の選手たちでうまくすり合わせをして、プレーに反映することができています。ピッチ内外のコミュニケーションがチームを良い方向に進めてくれると思っています。

Q、セレッソ大阪の印象を教えてください。
A、ワイドの位置に攻撃力の高い選手が揃っていますし、縦への推進力を活かしたサイド攻撃をしっかりとケアしたいです。セットプレーの得点も多いですし、集中した守備が求められると思っています。個人としては、北海道コンサドーレ札幌時代にともにプレーをした進藤選手、田中選手、ルーカス フェルナンデス選手との対戦も楽しみですし、攻守における要注意選手だと思っています。


<マルセロ ヒアン選手>


Q、まずはRB大宮アルディージャ戦の加入後初ゴールとハットトリック達成おめでとうございます。
A、とても嬉しいですし、正直、気持ちも少し落ち着きました。チームの勝利のために一日も早く得点を決めたい一心でしたし、ゴールを決めるために、日々のトレーニングに励んでいました。ここからさらに良くなっていくと思っています。

Q、マルセロ ヒアン選手以上にチームメイトをはじめ、ファン・サポーターのみなさんが自分のことのように喜んでいた印象でした。
A、私のゴールが勝利につながり、RB大宮戦は全員で喜びを分かち合えたと思っています。みなさんの応援と喜びの声、チームメイトの励ましは本当に力になります。次はセレッソ大阪とのリーグ戦です。リーグ戦の久しぶりの勝利のために、また全員で力を合わせて戦います。

Q、RB大宮戦の2、3点目はヒアン選手の得意な形が見られました。
A、横浜FC、サガン鳥栖に在籍していた時もあのように駆け引きから裏に抜けて得点を重ねてきましたし、得意とする形です。中盤の選手とは、ボールをどのように供給してほしいか、練習のなかでコミュニケーションをとれています。2点目は高宇洋選手のスルーパス、3点目は橋本拳人選手のパスからうまく抜け出すことができました。あのように、良いコンビネーションが試合ごとに増えてきている実感があります。次はリーグ戦のゴールに期待してください。