GAME RESULT試合結果

2003/12/14(日)
観衆 8,429人 
天候 晴、弱風 気温 12.0度 湿度 % 
主審:野田祐樹 副審:中原美智雄/東城穣 四審:

天皇杯 3回戦

味の素スタジアム

FC東京

2-2

試合終了

前半1-1

後半1-1

延長前半0-0

延長後半0-0

Honda FC

FC東京 Honda FC
55分:ケリー
4分:近藤 祐介
得点者 68分:安部 裕之
20分:古橋 達弥
45分 アマラオ
65分 呉 章銀
75分 阿部 吉朗
選手交代 59分 吉村 和紘
80分 柴田 潤一郎
72分 鈴木 滋
28 シュート 9
15 GK 15
11 CK 5
25 直接FK 16
2 間接FK 6
1 オフサイド 5
0 PK 0
警告 61 安部 裕之
86 前田 仁崇
3 前田 仁崇
110 田坂 祐治
退場
FC東京先発
GK 1 土肥 洋一
DF 17 金沢 浄
DF 8 藤山 竜仁
DF 2 茂庭 照幸
DF 20 加地 亮
MF 10 三浦 文丈
FW 11 アマラオ
MF 19 ケリー
MF 18 石川 直宏
MF 16 宮沢 正史
MF 13 戸田 光洋
FC東京控え
MF 33 呉 章銀
FW 25 近藤 祐介
FW 14 阿部 吉朗
GK 22 小沢 英明
DF 4 迫井 深也
Honda FC先発
GK 12 中村 元
DF 7 増田 勝文
DF 2 川崎 和貴
DF 6 向島 満
DF 4 安部 裕之
MF 19 宇留野 純
DF 15 吉村 和紘
MF 18 田坂 祐治
MF 5 川島 啓吾
MF 24 柴田 潤一郎
MF 14 前田 仁崇
Honda FC控え
FW 10 古橋 達弥
FW 9 新田 純也
FW 11 鈴木 滋
GK 1 川口 剛史
FW 20 五味 裕司

【選手・監督コメント】

シーズン最後のタイトル獲得に向けて、天皇杯がスタート


 すでに1、2回戦が行われている天皇杯。今日の3回戦からJ1チームが参戦、東京にとってシーズン最後の大会が始まる。J1に昇格してからの過去3年間、この天皇杯では、いずれも緒戦で甲府、横浜FC、湘南のJ2チームに敗れているだけに、同じ過ちを繰り返すことはできない。

 対するはJFLシードのHonda FC。東京ガスとしてJFLに所属した時代には何度も対戦、好勝負を繰りひろげてきた相手だ。現在もJFLで常に優勝争いに絡み、アマチュア最高峰の実力を擁する。あなどれない相手だが、プロとしてトップリーグで戦う東京は、力の差を見せつけなければいけない。タイトル獲得に向け、簡単に躓くわけにはいかないのだ。アマラオはベンチスタート。ジャーンがケガのため、センターバックには藤山が、トップは近藤祐の先発で試合はスタートした。

開始4分、近藤祐のゴールで早くも先制するが…


 キックオフのボールをつないで近藤祐が左エリアに突破を図り、CKを奪う。4分には宮沢が前線右のスペースにパス。石川には渡らなかったものの、相手DFにあたりエンドラインを割る。これで得た右CKを宮沢がショートで石川につなぎ、右からクロス。ボールはゴール中央の戸田の頭を越したが、落ち際に近藤祐が合わせ、左足で押し込むとゴールイン! 東京は早くも先制点をうばった。

 この先制でリズムをつかむと思われたが、Hondaも気落ちすることなくチャンスをうかがう。12分には、右FKからファーでフリーになったDF安部が合わせるが、シュートはゴールの上。20分には、速攻からMF前田がゴール前に抜け出す古橋にスルーパス。藤山が体を寄せてシュートは打たせなかった。だが、その直後のことだった。相手陣内でスローインを受けた石川がバックパス。これをHondaのMF川島がカット、ダイレクトでFW古橋に送る。古橋はドリブルで前進、プレスがないと見るやミドルからゴールを狙った。このボールがゴール右上隅に吸い込まれるようにイン。JFL得点王でもある古橋のクリーンシュートで、同点に追いつかれてしまった。

 東京は26分、27分に加地、石川がクロス。29分には、右サイドでケリーがDF2人に囲まれながらヒールパスで前線に抜け出し、クロスに戸田が合わせたが、GKがキャッチ。40分には立て続けに4本のCKを奪うが、最後の近藤祐のシュートはゴールの上に。今ひとつ波に乗れず、1対1のまま、後半へと折り返した。

突き放しにかかる東京、諦めず追うHonda


 後半、三浦に代えてアマラオを投入。宮沢のワンボランチにして勝負をかける東京。だがテンポアップする東京に対し、Hondaも合わせるようにペースを上げる。47分、Honda古橋に右エリアで粘られクロスを許したが、ゴール前フリーの新田に渡る寸前に、土肥がかろうじて抑えた。51分には宮沢→加地のパスをカットされて速攻を仕掛けられ、東京DFのクリアを川島がシュート。54分には新田のポストからMF宇留野にエリア内に攻め込まれる。

 だが、迎えた55分。相手DFのクリアを拾った近藤祐が、左サイドをスピードに乗ったドリブルで駆け上がると、ゴール前をよく見てクロス。これをファーサイドで待ち構えたケリーが、コースを狙い澄ましたヘディングでゴール! 後半も早い時間帯に追加点を奪った。しかし62分、右MFに交代で入ったHonda DF吉村の攻め上がりを許し、クロスに前田が飛び込む決定的な場面を作られる。63分の近藤祐のシュートは相手GKがキャッチ。

 65分には戸田に代えて呉(=チャン)をボランチに投入。チャンの運動量、縦への攻め上がりを活かし、Hondaを突き放しにかかろうとした矢先のことだった。68分、HondaのCKをアマラオがクリア。これを吉村に拾われ、エリア内へのドリブル突破を許すと、ゴール前にクロスが入る。東京DFがクリアしたが、こぼれ球をDF向島、前田が立て続けにシュート。混戦の最後に、ゴール前にこぼれたボールを安部に蹴りこまれてしまった。

 再び同点に追いつかれた東京。75分には近藤祐に代えて阿部を投入。再び決定的なチャンスをつくるようになる。80分には加地が前線に出したパスに阿部がDFと競りながら追いつき、マイナスのパス。これに石川がトップスピードで走りこむが、一歩間に合わず。85分にはHondaの速攻をインターセプトした阿部が、スピードに乗ってドリブルシュート。続いて左CKからチャンがヘディングシュート。そして86分、Honda前田が2度目の警告を受け、退場に。10人になったHondaを相手に、87分にはチャンのロングスローをアマラオがつなぎ、ゴール右からケリーが決定的なシュートを放つが、カバーに入った相手DFがクリア。直後にケリーがゴール正面から放ったボレーシュートも相手GK中村のファインセーブに阻まれる。石川のFK、金沢のシュート、ロスタイムにアマラオの落としからケリーが放ったシュートも、Hondaの集中した守備の前にゴールを割れず。試合はVゴール方式の延長戦に入った。

120分では決着つかず、PK戦で辛くも勝利をあげる


 数的有利を活かしたい東京だったが、最初にチャンスをつくったのはHonda。延長前半3分に右CKのこぼれを拾った吉村が決定的なシュート。だが東京DFが渾身の力でクリアした。7分には宮沢の縦パスを受けた阿部がシュート。10分の金沢のロングシュートはGKがキャッチ。Hondaも隙をついて反撃を見せるが、土肥を中心にした守備でシュートは打たせず。後半に入るとほぼ東京陣内で試合は進むが、どうしてもゴールが割れない。延長後半3分にはチャンとアマラオが速攻を仕掛け、ケリーがシュートするもGKに。9分には加地のアーリークロスをアマラオが落とし、阿部がゴール右至近距離からシュートを放つが、GKがファインセーブ。10分、11分にも波状攻撃を仕掛けるも、結局120分での決着がつかず、PK戦に突入することとなった。

 PK戦の先攻はHonda。古橋、向島、安部、増田、吉村が決め、東京もアマラオ、ケリー、阿部、金沢、石川が確実に決め譲らず。だがサドンデスに入り、Honda6人目のキッカーであるGK中村の蹴ったボールを土肥がセーブ。対する東京は宮沢がゴール右上隅にきっちり蹴りこみ、長い戦いにようやくピリオドを打った。辛勝ながらも3回戦を突破し、12月20日丸亀において行われる4回戦vsヴィッセル神戸戦に駒を進めた。

【選手コメント】《近藤祐》「先制点のシーンは、戸田さんが競ったあとのボールに足を出したら当たったという感じ。ケリーのゴールのアシストについては、誰かが合わせてくれるだろうと思ってファーに上げた。体力的にはキツかったが、最近は練習試合でも点が取れていて、コンディションも良かった。次も頑張りたい」 《土肥》「相手のペースになってしまい、すごく疲れたというのが正直な感想。もっと簡単に、たとえば外からの展開で攻撃できれば良かったが。Hondaの気持ちの方が優っていたし、PKも皆うまいと思った。1本止めた後は、もうこれ以上止められないような気がして、次のキッカー(宮沢)には絶対決めてもらいたいと思っていた」

【原監督の会見要旨】「PK戦で勝って良かったというだけの内容。シーズンを通してみても、いちばん悪かった。雰囲気がいつもと違っていた。他のカードの結果を見てもわかるように、緒戦ということもあり、この大会への入りにくさがあった。Hondaはまとまりがあってすばらしいチームだと思っていたが、やはり1人少なくなっても足がつってもみんなががんばっていた。それに対して東京はうまくやろうとか、ラクにやろうとしていたのではないか。先制して、このままいけるかと思ったが、同点にされるとおかしくなり、後半勝ち越したのに、そこからまたラクをしてしまった。過去には今日のHondaのような立場で戦い、勝てていたが、J1で3年連続緒戦で負けているということは、リーグ戦のあとにホッとするような気持ちになってしまっているからだ。今日の試合を支えてくれたのも、近藤祐、藤山、呉という、今まであまり出場機会のなかった選手だった。反対に、代表から帰ってきた茂庭、石川、加地、またケリーはコンディションも良くなく、気持ちを含め、そこにこういうゲームになってしまった原因がある。天皇杯の難しさを感じた。ただ、負けてもおかしく展開だったが、PK戦で勝ててツキもあると思う。神様がくれたチャンスだと思って、次は必ずいい試合をしなければならない。戦えない選手は代表であろうが、外人選手であろうが外して臨む」

【Honda・安間監督の会見要旨】「今年当初から、Jリーグチームを撃破するという目標を立ててきた。惜しいといわれても、壁を倒せなかったことが悔しい。力を振り絞った選手には感謝したい。10人になったが、FWを減らしてしまうと守り一辺倒になるので、延長前半はポジションをスライドして守り、延長後半から2トップに戻した。もう1枚交代のカードを切れなかったことが残念だ。FC東京は、東京ガスとして自分が現役時代から戦ってきたチームで、敬意をもって臨んだ。守から攻への切り替えは、経験したことがない速さがあるので、タテへスライドして守ること、またケリーを抑えること。ポイントを少なくして、この2つに絞った。引いて90分守り切れるとは思わなかったので、遅攻に持ち込ませ、自分たちはアグレッシブなサッカーで勝ちたかった。2つのポイントについてはよくやれたと思う。しかし、抑えたとはいえ勝てなかった。やはりアマラオ選手はやはり偉大で、後半これからいくぞという時に、スタジアムの雰囲気が変わった。藤山選手をはじめとする堅いDFをあと一歩崩せなかったことが悔しい。だがJチームとの対戦は貴重な経験でありすべてが目標になる。能力をアップさせてチームのレベルをさらにアップしていきたい」