GAME RESULT試合結果

第5節 2001/4/14(土)
観衆 19,967人 
天候 曇、中 気温 17.6度 湿度 46% 
主審:長田 和久 副審:蒲澤 淳一/今村 亮一 四審:岡野 尚士

J1 1st 第5節

駒場

HOME

浦和レッズ

1-3

試合終了

前半1-0

後半0-3

AWAY

FC東京

浦和レッズ FC東京
44' アドリアーノ
得点者 47' 呂比須 ワグナー
52' ケリー
87' 戸田 光洋
78' 阿部 敏之 → 福田 正博
78' 小野 伸二 → 福永 泰
選手交代 45' 増田 忠俊 → 喜名 哲裕
71' 鏑木 享 → 戸田 光洋
89' 内藤 就行 → 伊藤 哲也
9 シュート 5
4 CK 2
27 FK 21
26' アドリアーノ
29' トゥット
32' ドニゼッチ
44' アドリアーノ
63' 小野 伸二
警告 69' 喜名 哲裕
44' アドリアーノ
退場
浦和レッズ先発
GK 16 西部 洋平
DF 19 内舘 秀樹
DF 2 山田 暢久
DF 12 西野 努
DF 33 路木 龍次
MF 5 ドニゼッチ
MF 6 石井 俊也
MF 20 阿部 敏之
MF 8 小野 伸二
FW 10 アドリアーノ
FW 11 トゥット
浦和レッズ控え
GK 1 安藤 智安
DF 27 池田 学
MF 4 土橋 正樹
FW 14 福永 泰
FW 9 福田 正博
FC東京先発
GK 1 土肥 洋一
DF 2 内藤 就行
DF 6 小峯 隆幸
DF 3 サンドロ
DF 8 藤山 竜仁
MF 7 浅利 悟
MF 10 三浦 文丈
MF 19 ケリー
MF 18 増田 忠俊
FW 17 鏑木 享
FW 9 呂比須 ワグナー
FC東京控え
GK 22 小沢 英明
DF 15 伊藤 哲也
MF 23 喜名 哲裕
MF 24 小林 成光
FW 29 戸田 光洋

【選手・監督コメント】

必勝あるのみ!


3試合連続完封負け...。前節の名古屋戦を見てもけして内容は悪くない。選手も完全には自信を失っておらず、勝利へ向かって、勝利を信じて戦ってきた。しかし、この序盤戦で、もし4連敗を喫するようなことになれば、選手がモティベーションを維持することは困難になり、チーム内に不協和音が出るなど、厳しい状況に直面することになる。そのためにも、この日の試合は「必勝!」しか有り得ず、負けるわけにはいかなかった。

また、この日は、昨年東京の「救世主」となったトゥットが移籍したチーム・浦和レッズとの「初戦」。移籍した選手にやられて負けるほど悲しく、悔しいことはない。場所は、現在日本で最もアウェーを体感できるレッズのホーム・駒場スタジアムで、けして条件は良くないが、とにかくどんなことをしても勝たなければならなかった。この日がJリーグ「200試合出場」になり必勝を期す三浦、日本代表候補に選ばれ気合の入る呂比須、今季初出場で「トゥット殺し」という大役を命じられた小峯など、胸に熱いものを秘めた男達が、ピッチに向かった。

もう一つの熱い闘い


駒場スタジアムの雰囲気は噂以上だった。スタンドは、アウェー用に用意されたゴール裏席(約600席)を除き、完璧に「赤」一色。大合唱もさることながら、横断幕、ビッグフラッグの数は半端ではない。スタンドがまるで生き物であるかのような雰囲気は圧巻で、それが容赦無くアウェーチームに襲いかかる。通常であればアウェーチームはこの雰囲気に飲み込まれるところであるが、東京のゴール裏が指をくわえて黙っているわけがない。案の定、「離れ小島」のような東京のゴール裏も、そのセンスとウィットに富んだ応援で「反撃」を開始した。数的不利をものともしないその勇気ある姿を、選手は心強く思ったに違いない。「熱い闘い」は、ピッチ上のみならず、スタンドでも既にヒートアップしていた。

トゥットvs小峯


試合が始まると、先に仕掛けてきたのはレッズだった。前節、マリノスに勝ち意気上がるレッズは、予想通りトゥットを中心に前線から激しいプレスをかけてきて、ボールを奪うと一気にゴールへ向かってきた。レッズはドニゼッチを起点に、小野、アドリアーノを経由し、トップのトゥットへ配給するのが攻撃パターン。強力なブラジリアントリオに小野が加わった攻撃はスピーディー且つ正確で、前半の序盤戦はレッズがボールを支配した。

しかし時間が経つにつれ、レッズの攻撃にもう一つ迫力が出てこないことに気が付くことになる。理由は今やレッズのスーパーエースとなったトゥットを小峯が完璧に封じ込めているからだった。この日の大熊監督のテーマは「トゥット対策」にあった。そして、彼の怖さを最も知る監督の取った秘策は「トゥットvs小峯」。開幕前に行われた柏レイソルとの練習試合で左足首を捻挫し、長く戦列を離れていた男をこの大一番で「今季初出場」させ、大役に抜擢した形だ。ただ大熊監督にとって、これは「賭け」ではなく、データに基づいた戦略でもあった。99年のJ2時代、当時川崎フロンタ-レに所属していたトゥットに小峯をマークに付け、全4試合で1点も与えないという実績があったからだ。小峯は今季初出場ながら堂々とプレーし、その「業務命令」をほぼ完璧に遂行した。

またしても先制を許す苦しい展開に


試合はスタンドの熱気に押されるように、激しいプレーの応酬でイエローカードが何枚も出る展開に。両チームとも中盤のプレスが強く、なかなか攻撃の形を作れなかったが、小野が24分にパスミスをカットしてシュート、35分にもボレーシュートで東京のゴールを脅かすなど、試合は浦和ペースで展開された。東京も33分、41分にケリーが抜け出し、ゴールに詰め寄るが、あと一歩足りない。呂比須、鏑木享などFWの選手の元気が無く、前線に基点ができないのが苦しい展開の要因になった。

迎えた前半44分、東京のゴール前ペナルティエリア角でボールを持ったトゥットが「お得意の」ゴール前で横に流れるような鋭いドリブルで右サイドに移動しシュートを放つと、ボールはGK土肥の手をかすめ左ゴールポストに当たり、跳ね返ったところをアドリアーノにプッシュされ、先制ゴールを許してしまった。一瞬、小峯から内藤へのマークの受渡しが遅れ、最もケアしていたトゥットに決定機を作らせてしまった。

が、この直後信じられないことに、ゴールを決めたアドリアーノが喜びのあまり看板を飛び越えてしまい、この日2枚目のイエローカードをもらい退場。後半へ望みをつないだ。

後半爆発!ケリーの来日初ゴール、戸田のJ初ゴールで逆転勝利!


ハーフタイムで大熊監督より呂比須、鏑木享に「もっと体を張って前線の基点になるように」指示が出たのが影響したのか、後半が始まると東京が動き出した。後半2分、レッズDF裏スペースへケリーが絶妙の浮き球パスを送ると、これに反応した呂比須がゴール右角度のないところから右足でダイレクトのボレーシュートを決め同点。その5分後の後半7分、今度はケリーが自分で右サイドから中へドリブルで突進、一人をかわして左足で強烈なシュートを放ち、一旦はGKが弾いたボールを再びケリーが冷静に決めて逆転に成功。前節の名古屋戦で2度もゴールポストにゴールを阻まれたケリーは、ついに日本での初ゴールを決めて喜びを爆発させた。

その後も数的優位に立つ東京は、ケリーを起点に中央からの鋭いワンツーや、藤山、内藤の積極的な攻撃参加からのサイド攻撃でレッズを翻弄。ケリーのサイドへ出た時の抜群のキープ力、中央からの変幻自在のパスは自身の得点でさらに輝きを増した。後半40分にも、中央を高速ドリブルで突進したケリーが「ここしかない」という絶妙のスルーパスをゴール前へ送り、呂比須が反応して抜け出したが惜しくもオフサイド。ゴールにはならなかったが、非常にハイレベルな攻撃であった。一人少ないレッズも小野が気合の入ったプレーで鋭いカウンター攻撃からチャンスを作るが、頼みのトゥットが相変わらず小峯のパワフルなディフェンスの前に消沈し、決定的なチャンスは作れなかった。

フィナーレは終了間際の後半42分に訪れた。左サイドでボールキープしたケリーから喜名へ。喜名は素早くゴール前にピンポイントクロスを送ると、ゴール正面で途中出場の戸田がジャンプ一番、ヘッドで合わせてゴール右隅に駄目押しの3点目を決めた。これは戸田の嬉しいJ初ゴール。結局、3-1のまま試合終了。東京は3月10日の開幕戦以来、久しぶりの勝利で連敗脱出に成功した。

そして勝利と同じ位嬉しいのがケリー、戸田の「初ゴール」。ともに能力の高さはこれまで証明済みであったが、何か一つ足りないものがゴールだった。チームに必要不可欠な選手になるためのきっかけ...。そのきっかけとなるゴールを決めたことで、この後の2人の存在感は揺るぎないものになり、チームはもう一段ステップアップする。

【大熊監督コメント】

これまで、いい内容、いい形を作りながらも試合には勝てなかったので、今日は何としても、どんな形でも勝ちたかった。選手も自信を失いかけていたので、今日、このように勝てたことは嬉しいし、選手達も自信になったと思う。

また、戸田や鏑木享などチャンスを与えている若手がこれまでもう一つ活躍してくれなかったので、今日の戸田のゴールは嬉しかった。この勝利で勢いをつけ、次節に向けてまた頑張っていきたい。