GAME RESULT試合結果

第7節 2001/9/29(土)
観衆 27,103人 
天候 晴、弱 気温 18.0度 湿度 62% 
主審:柏原 丈二 副審:青木 隆/阿部 正基 四審:五十川 和也

J1 2nd 第7節

東京

HOME

FC東京

3-2

試合終了

前半2-2

後半1-0

AWAY

浦和レッズ

FC東京 浦和レッズ
21' 佐藤 由紀彦
29' ケリー
72' アマラオ
得点者 17' 鈴木 啓太
44' エメルソン
58' 浅利 悟 → 喜名 哲裕
68' 福田 健二 → 加賀見 健介
89' 佐藤 由紀彦 → 戸田 光洋
選手交代 81' 城定 信次 → アドリアーノ
11 シュート 13
0 CK 7
21 FK 25
38' サンドロ
39' アマラオ
63' 三浦 文丈
67' 福田 健二
89' 小峯 隆幸
警告 84' トゥット
85' エメルソン
退場
FC東京先発
GK 1 土肥 洋一
DF 15 伊藤 哲也
DF 6 小峯 隆幸
DF 3 サンドロ
DF 8 藤山 竜仁
MF 7 浅利 悟
MF 10 三浦 文丈
MF 14 佐藤 由紀彦
MF 19 ケリー
MF 9 福田 健二
FW 11 アマラオ
FC東京控え
GK 22 小沢 英明
DF 12 梅山 修
MF 23 喜名 哲裕
MF 29 戸田 光洋
MF 13 加賀見 健介
浦和レッズ先発
GK 16 西部 洋平
DF 3 井原 正巳
DF 33 路木 龍次
DF 6 石井 俊也
MF 2 山田 暢久
MF 22 城定 信次
MF 13 鈴木 啓太
MF 20 阿部 敏之
MF 18 永井 雄一郎
FW 36 エメルソン
FW 11 トゥット
浦和レッズ控え
GK 1 安藤 智安
DF 27 池田 学
MF 17 河合 竜二
MF 14 福永 泰
MF 10 アドリアーノ

【選手・監督コメント】

優勝戦線に絡むためのキー・ゲーム


 FC東京の現在の順位は4位(第6節終了時点)。今季「何か一つタイトルを取ること」を目標に掲げているFC東京にとって、この2ndステージにおける現在の状況は、その「目標達成」への大きなチャンスとなっている。試合前には3位の名古屋グランパスエイトの敗戦の報が入っており、この日のレッズ戦に勝てば3位以上が確実なため、優勝戦線に留まりたい東京にとってはどうしても勝ちたい一戦となった。

 一方のレッズは現在3連敗中で15位と低迷しているものの、前節は首位アントラーズに延長までもつれ込む接戦を演じており、チームは上り調子にある。連敗をストップするためにも、またFC東京に1stステージのリベンジを果たすためにも負けられない一戦である。

 会場の東京スタジアムは、レッズサポーターがアウェー側ゴール裏を真っ赤に埋め尽くし、キックオフ前より東京のサポーターと激しい応援合戦を繰り広げた。その異様とも言える熱狂的な雰囲気は「本場のサッカー場」を思い描かせるほど熱く、エキサイティングな香(かおり)に満ちており、試合もスタンドの熱気同様、白熱した好ゲームになることが予想された。

「圧巻」ゴールで先制許す苦しい序盤戦


 試合はスタンドの熱気に後押しされて、予想通りの激しいものとなった。開始直後には三浦が倒され、そこへレッズの選手がボールを当てたことでもみ合いとなり、試合は早くも一発触発の雰囲気に。その後も両チーム闘志剥き出しの厳しいプレーで白熱したゲームが展開された。

 序盤、先にペースを掴んだのはレッズだった。レッズはトップのエメルソンが前線で驚異的なスピードを生かして東京DFラインの裏を突き、或いはサイドに流れて中央にスペースを作り、そこへトゥットや永井が壁パスとドリブルで突進することでチャンスを作った。昨年、東京に在籍していたトゥットも間違い無く「快速」だったが、レッズが前エース・小野を放出(蘭/フェイエノールト)したことで獲得した秘密兵器エメルソンは、そのトゥットのスピードを色褪せるものにしてしまうほど強烈、且つ驚異的なスピードを見せつけた。東京は、このエメルソンのスピードを警戒しすぎるためにDFラインが下がり、両サイドのMFも引き気味になってしまったことで高い位置でボールを奪うことができず、押し込まれる時間が長くなった。

 13分には縦パスからエメルソンが抜け出し、ループシュートを放ったがバーの上へ。続く15分には、エメルソンがサイドに流れて中央に作ったスペースに縦パスが入り、これにDFの山田が走り込んで完全にフリーになったが、これは東京の福田がゴール前まで戻って間一髪クリア。危ない場面が続く中、迎えた17分、左CKからアマラオがクリアしたボールをレッズMFの鈴木に約30mの豪快なミドルシュートを決められ、東京はついに先制ゴールを許してしまった。

由紀彦、ケリーのゴールで逆転に成功するが...


 この悪い流れで大崩しないところが、今の東京だった。東京の反撃はすぐに始まった。レッズの強烈な先制パンチで目が覚めた東京は、直後の21分、中盤でアマラオがヘディングで競り勝つと、ボールは混戦を経由して前線中央の由紀彦の前へ。由紀彦はバウンドして転がってきたボールをトラップせず、そのまま右足で鋭くシュートを放つと、ボールはレッズに先制された時と同じように約30m先のゴールに綺麗な弧を描いて吸い込まれていった。由紀彦の豪快な同点ゴールですぐに試合を振り出しに戻した東京は、続く24分にもDF小峯のインターセプトからチャンスを作り、右の由紀彦から中央のアマラオへ絶妙のスルーパスが通ったが、これは一瞬早くレッズDFにクリアされてしまう。

 東京は同点には追いついたものの、依然、レッズのスピードある攻撃に手を焼き全体的にラインが下がったままだったため、カウンターからチャンスをうかがっていた。迎えた29分、アマラオが右サイドで厳しいチェイシングでトゥットからボールを奪取すると、すかさずサポートにきたケリーにパス。ケリーはドリブルで加速し一気にゴール前へ切り込んでいくと、レッズDF陣を十分引付けてから、左サイドでフリーになった福田に絶妙のパスを通す。福田はこれを得意の切り返しでシュートを放つと、レッズGKが一旦防いだが、その跳ね返りを狙って詰めていたケリーが押し込んで逆転に成功。押され気味ではあるが、カウンターから確実に決めるという効率的なサッカーで浦和を突き放した。

 一方、レッズも黙ってはいなかった。レッズはキープ力のある阿部が中盤の底で起点となり、前線のトゥット、永井が豊富な運動量でボールに絡み、ワントップ気味のエメルソンが驚異的なスピードで裏を狙ってくるため、東京のDF陣は一瞬たりとも気の抜けない時間が続いていた。特にエメルソンの突進を止めることは困難になってきており、ペナルティエリア近くでFKを与える場面が増えていった。40分には、そのエメルソンが作ったFKを阿部が精度の高い左足でゴール左下すみに素晴らしいシュートを放ったが、GK土肥がこれをスーパーセーブ! ピンチはさらに続き、43分にはトゥットとエメルソンの鋭い壁パスからトゥットが抜け出し、ゴール正面から右足でカーブをかけたシュートを放ったが、ボールはゴールポストの僅か右へ...。終盤ピンチが続く中、ロスタイムに入り何とか1点リードのまま前半を折り返せると思ったその矢先、トゥットがゴール前でドリブルして右サイドで一瞬フリーになったエメルソンへパスを送ると、エメルソンはこれを右足で豪快に振りぬき、シュートは土肥の懸命なセーブを嘲笑うかのようにゴール左すみへ吸い込まれていった。結局前半は土壇場で再び振り出しに戻り、勝負は後半へ持ち越された。

アマラオの値千金決勝弾でレッズに競り勝つ!


 前半終了間際に同点に追いつかれた東京は、ハーフタイムに、エメルソン・トゥットの突進を恐れて両サイドのMFまでが引いてきてしまっていることを修正し、恐れずもっと高い位置でケリー、アマラオのサポートをするように指示、前半より攻撃の枚数を増やして後半に臨んだ。

 後半4分、レッズにゴール前で細かくつながれ、最後は左サイドのペナルティエリア角に開いたエメルソンからカーブをかけた絶妙のシュートを打たれたが、ボールはバーに当たりゴールならず...。一瞬肝を冷やしたが、その後は東京が落ち着きを取り戻し、三浦の攻守にわたる効果的な動きでチャンスを作り始めた。

 試合は一進一退の激しい攻防を見せていたが、両者決定的な仕事ができないまま時間は経過していった。そんな中、先に勝負に出たのは東京だった。既に東京の「決まり手」になってきた感があるが、後半13分、まずは浅利に代えて喜名を投入。さらにその10分後、福田に代えて好調を維持している加賀見を投入。特に加賀見は左サイドでボールを自在にキープし、ピッチに入った直後にいきなり左サイドから絶妙のクロスを入れるなど、早速期待を持たせる動きを披露した。

 クライマックスは後半27分だった。藤山が左サイドから中へドリブルしてゴール前に張っていた加賀見へパスを当てると、加賀見は一旦横へドリブルしてから相手DFの裏を狙っていた由紀彦へ絶妙のスルーパス。オフサイドラインぎりぎりに飛び出した由紀彦はそのボールに鋭く反応し、前へ出てきた相手GKをかわして右のゴールラインぎりぎりから中央へ折り返すと、レッズDF井原が懸命にクリア。しかしクリアが小さく、詰めていたケリーがシュートを放つとボールはゴール正面のアマラオの前に飛び、アマラオはそのボールを冷静にボレーシュートで叩き込んだ。喜名、加賀見の加入でリズムを変えた東京は、またしても加賀見の決定的な仕事からアマラオが3試合連続ゴールとなる値千金弾を決め、ついに勝ち越しに成功した。

 この決定的な得点で意気消沈するかに見えたレッズであったが、その後も最後まで熱い応援を繰り返すサポーターをバックに、選手も最後まで激しい闘志を剥き出してきた。しかし、東京も同じく熱いサポーターの大声援をバックに全員が体を張ったディフェンスで対抗。30分には、前所属チームに恩を返さんとばかりにトゥットが左サイドを強引に突破して、速いグラウンダーのクロスを入れると、土肥が微かに触ってボールはゴール前を横切り、その裏から詰めていたレッズ選手に打たれる直前に加賀見と藤山が体を張ってクリア。その後も最後まで激しい攻防を見せた両チームであったが、結局試合はこのまま終了。FC東京は、優勝戦線に残るために必ず勝たなければならなかった大事な一戦を見事勝利で飾り、単独3位に浮上。チームは束の間の休息でリフレッシュした後、天王山とも呼べる次節・名古屋戦、その次のジュビロ戦に向けて再始動する。

【大熊監督コメント】前節の鹿島戦で自信を深めたレッズのモチベーションは高く、今日の試合は内容を含め、このような厳しい展開になると思っていた。サッカーは11人だけで勝てるものではなく、控えの選手がポイントで、その意味では最近ウチは控えの選手が結果を出しているので、勝てていると思う。今後も29人全員で戦う気持ちでやっていきたい。この後は少し期間が開くので、またいい状態で次の試合に臨めるよう、頑張っていきたい。