GAME RESULT試合結果
第13節 2001/11/10(土)
観衆 18,105人
天候 雨、中 気温 15.6度 湿度 66%
主審:キム ヨンジュ 副審:石山 昇/河合 英治 四審:片桐 正広
J1 2nd 第13節
カシマ
3-1
試合終了
前半1-1
後半2-0
鹿島アントラーズ | FC東京 | |
---|---|---|
29' 柳沢 敦 82' 本山 雅志 88' 柳沢 敦 |
得点者 |
01' 小林 成光 |
74' 鈴木 隆行 → 本山 雅志 |
選手交代 |
45' 山尾 光則 → 伊藤 哲也 53' 小林 成光 → ケリー 72' 下平 隆宏 → 喜名 哲裕 |
23 | シュート | 3 |
3 | CK | 2 |
24 | FK | 17 |
48' 柳沢 敦 |
警告 |
13' 山尾 光則 |
退場 |
GK | 21 | 曽ヶ端 準 |
DF | 2 | 名良橋 晃 |
DF | 3 | 秋田 豊 |
DF | 4 | ファビアーノ |
DF | 33 | アウグスト |
MF | 18 | 熊谷 浩二 |
MF | 5 | 中田 浩二 |
MF | 8 | 小笠原 満男 |
MF | 10 | ビスマルク |
FW | 30 | 鈴木 隆行 |
FW | 13 | 柳沢 敦 |
GK | 1 | 高桑 大二朗 |
DF | 7 | 相馬 直樹 |
MF | 6 | 本田 泰人 |
MF | 16 | 本山 雅志 |
FW | 9 | 平瀬 智行 |
GK | 1 | 土肥 洋一 |
DF | 6 | 小峯 隆幸 |
DF | 4 | 山尾 光則 |
DF | 3 | サンドロ |
DF | 8 | 藤山 竜仁 |
MF | 5 | 下平 隆宏 |
MF | 10 | 三浦 文丈 |
MF | 14 | 佐藤 由紀彦 |
MF | 29 | 戸田 光洋 |
MF | 24 | 小林 成光 |
FW | 11 | アマラオ |
GK | 22 | 小沢 英明 |
DF | 15 | 伊藤 哲也 |
MF | 23 | 喜名 哲裕 |
MF | 19 | ケリー |
FW | 9 | 福田 健二 |
【選手・監督コメント】
首位・アントラーズとの大一番!
現在、2ndステージで単独首位を快走する鹿島アントラーズ。スターティングメンバーには、先日(11/7)のイタリア戦で歴史的なゴールを決め、今や日本のエースに成長したFW柳沢や、そのイタリア戦で代表デビューを飾ったGK曽ヶ端、また代表にすっかり定着したMF中田やFW鈴木など、日本代表メンバーがズラリと顔を揃える。MF本山やFW平瀬を控えにまわせる程アントラーズの選手層は充実しているが、今日は完璧なベストメンバーで臨んできた。
対するFC東京も、完調には程遠いものの3試合ぶりに怪我から復帰したMFケリーや喜名、DF伊藤哲也が控えに入り、前節のC大阪で大勝した勢いも乗じて着実にチーム力を高めている。1stステージの対戦(7/7)では、満員のホーム・東京スタジアムでケリーの2ゴールで完封勝ちしており、アントラーズに対する苦手意識や恐怖感はない。この試合に勝てば3位に浮上する可能性もあるだけにモチベーションは極めて高い。一方のアントラーズも、この試合に勝てば優勝に向けて大きく前進するためモチベーションは当然高く、試合は白熱した好ゲームになることが予想された。東京からはクラブ史上最高となるバス6台、270人の大応援団がカシマサッカースタジアムに駆けつけ、地元アントラーズサポーターに負けない熱い応援でスタンドの熱気もヒートアップ。両チームにとっての『大一番』は、冷たい雨の降るカシマサッカースタジアムで午後2時3分、キックオフの笛が高らかに鳴った。
開始1分、小林の先制弾炸裂!
試合は開始直後からスタジアムを騒然とさせる展開となった。1分、FWアマラオが左サイドでボールをキープして、中央をスルリと上がったDF藤山へループパスを通すと、藤山はボールコントロールしてからアントラーズDF陣の裏へスルーパス。これに反応して抜け出したMF三浦がゴールライン際から中へ折り返し、ニアサイドに詰めていたMF小林成が左足で豪快に蹴り込んで先制。大きな期待がプレッシャーになったのか、どこか動きの硬いアントラーズとは対照的に、開始直後から思いきりのいいプレーを見せていた東京が試合が始まって僅か1分という今季最も早いゴールを決め、スタジアムはアントラーズサポーターの溜め息と、東京サポーターの大歓声が交錯する騒然とした雰囲気に包まれた。
アントラーズの分厚い攻撃と東京の鋭利なカウンター
開始直後の強烈な先制パンチで目が覚めたアントラーズは、空かさず反撃に転じる。アントラーズは中盤でMF中田、小笠原、ビスマルクが抜群のキープ力とパスワークでボールを回し、FW柳沢、鈴木の日本代表ツートップにボールを当ててリズムを掴もうとするが、序盤は2人のコンビネーションが悪く、単純に入れてくる縦パスに対してもDF山尾やサンドロが厳しいチャージでことごとくクリア。しかし、徐々に2人がポスト役とスペースへ飛び出す役を交互に演じるようになると、マークが微妙にズレ始め、対応が遅れることでファールで止めるシーンが目立つようになり、東京のゴール近くでフリーキックを与える場面が増えていった。また2ndステージのアントラーズ快進撃の象徴でもあるDFアウグストの強引なまでの攻撃参加も驚異で、左サイドを駆け上がって勝負するだけでなく、中へ切り込んで左サイドにスペースを作ると、そのスペースに小笠原が張って基点となるなど、分厚い中盤にアウグストが絡む攻撃は多彩で東京DF陣を混乱させた。13分には山尾がそのアウグストに裏を取られてペナルティエリア近くで倒してしまいイエローカード。東京のディフェンス陣は高い集中力と体を張ったプレーで決定的な場面は作らせなかったが、アントラーズの分厚い攻撃に耐える時間が続いた。
一方、守勢に回る機会の多かった東京も鋭いカウンターで確実にチャンスを作っていった。東京はこの日も「堅守速攻」が健在で、前線からアマラオが激しいチェイシングで追い込み、中盤で下平を中心とした厳しいプレスでボールを奪うと、アウグストが上がってスペースのできた右サイドに由紀彦と戸田が交互に飛び出して基点となり、そこから中央に正確なクロスを供給。何本もゴール前にラストパスを送ったが、アマラオには厳しいマークが付き、ゴール前に入ってくる枚数も少なかったため、シュートまで持ち込めなかった。
エース柳沢の“技ありゴール”で同点に追いつかれる
1点だけで勝てる相手ではないことはわかっていたが、エースの一発で呆気なく同点に追いつかれてしまった。東京にとっては「予定通りの展開」で良い流れだったが、迎えた前半29分、アントラーズは中盤でビスマルクがキープしトップの鈴木に当てると、鈴木が落としたボールを中田がスピードに乗ったドリブルで前進し、前線の柳沢にスルーパス。柳沢は絶妙のコース取りで東京DF山尾とサンドロの間をトップスピードで抜け、GK土肥の飛び出しより一瞬早くシュートを放ち東京のゴールネットを揺らした。中田のパスも素晴らしかったが、それを完璧なプレーでフィニッシュまで持ち込んだ柳沢の「国際レベル」のプレーに脱帽するしかなかった。
同点に追いつかれた東京だったが気後れすることなく、その後も攻守にわたり積極的なプレーでアントラーズを苦しめた。33分にはアマラオのチェイシングから相手のバックパスミスを誘い、アマラオがアントラーズゴール前へ突進すると、GK曽ヶ端がペナルティエリアの外まで飛び出してクリア。が、このクリアが小さく、アマラオの後ろからフォローした三浦の足元へ飛ぶと、三浦は無人のゴールに向かってダイレクトでシュート。しかし、ボールは惜しくもゴール左へ外れてしまう。さらに36分、右サイドで下平がインターセプトしたボールをアマラオ、下平、由紀彦で細かくつなぎ、そのスキにゴール前に飛び出した三浦へスルーパス。三浦はペナルティエリア内で突破しようとして倒されたが、ノーファール。アントラーズも鈴木が強引なプレーで前線で基点となり、38分、44分と左足で強烈なシュートを放ったがノーゴール。結局両チームとも追加点を奪えず1-1のままで、勝負は後半に持ち越された。
ケリー,喜名の投入で勝負に出るも,ラスト8分の2失点で万事休す
後半に入ると、最初に攻勢に出たのは東京だった。2分には由紀彦が右サイドを突進してグラウンダーの鋭いクロスをGKとDFの間に入れると、GK曽ヶ端がファンブル。しかし詰めが甘く、押し込めない。9分には、怪我から復帰して3試合ぶりにピッチに戻ったケリーを投入。ケリーは痛めている右肘を固めての強行出場だったが、ピッチ上では早速存在感を現した。11分にはペナルティエリアの外でボールを受けると、三浦との細かいワンツーで狭いスペースを突破し左足でシュート。シュートはGKの正面でゴールにならなかったが、続く13分にも戸田からのスルーパスに右サイドで抜け出し、角度のないところからシュート性のボールで折り返したが、これもGKにキャッチされる。ケリーが入ったことでアマラオに集中していた前線の基点がもう一つでき、安心してパスの出せる基点が増えたことでチーム全体の攻撃のリズムが俄然良くなった。ケリーはボールを受けては素早く前にボールを運び、左右のサイドへボールを散らしてゴール前に走り込んだ。22分には、右の由紀彦からのクロスにヘッドで飛び込んだが僅かに届かない。一方のアントラーズも、アウグストがDFというよりMF、あるいはFWと思える程攻撃的なプレーを見せ、東京ゴールに襲いかかる。23分には、ゴール前のフリーキックを得意の左足でカーブをかけて狙ったが、僅かに外れた。
一進一退の攻守が目まぐるしく入れ替わる激しい攻防の中、先に勝負に出たのは東京だった。大熊監督は試合前、「相手は控えの本山を入れてくる時が勝負どころ」と言っていたが、東京の勝負に出るタイミングは喜名の投入であり、アントラーズより先に勝負にでた。そして、その喜名の投入の2分後にアントラーズは本山をピッチに送り込んだ。
この本山の加入でアントラーズの攻撃はより厚みを増し、本山は切れのある鋭いドリブルを武器に東京のゴール前で基点となった。何としても90分で勝負をつけたいアントラーズは、左のアウグストだけでなく、右サイドの名良橋も積極的に攻撃参加をするなど怒涛の総攻撃を見せるようになったが、東京も堅い守りで応戦。31分には、混戦から東京のゴール前にボールが出て柳沢が1対1の決定的な場面でシュートしたが、鋭く飛び出したGK土肥がスーパーセーブでキャッチ。しかし、迎えた後半37分、右サイドから名良橋が強烈なミドルシュートを放ち、GK土肥が辛うじてパンチで弾いたところをゴール正面で待ち構えた本山が右足のボレーで合わせると、ボールはバウンドして東京のゴール右に吸い込まれていった。押し込まれながらも、高い集中力と東京らしいサッカーで追加点のチャンスをうかがっていただけに、この時間帯での失点は痛かった。東京は逆転された後も「最後まで諦めないサッカー」でゴールを目指したが、終了間際の44分に左サイドをアウグストと本山のワンツーで突破され、本山が狙い済まして折り返したラストパスをゴール正面からフリーで柳沢に駄目押し弾を決められ万事休す。首位アントラーズに敵地で先制し、ラスト8分まで高い集中力で東京の持ち味を存分に発揮した戦いを展開していただけに、最後の2失点が悔やまれる無念の敗戦となってしまった。この時間帯での失点は、ジュビロ戦でも見られたものだが、勝ちに行っての積極的な失点であり、ポジティブに考えたい。現時点で日本のトップ2と考えられる両チームに、勝ちに行ける状況を作り、そして果敢に勝ちに行ったことは必ず次に繋がるチャレンジになったはず。選手の経験も大きいものになったであろう。この試合では、ケリー、喜名、伊藤哲也が予想以上に早い復帰を果たすなど、明るい材料も多かった試合であり、残り2試合に向けて気持ちを入れ替えたい。
【大熊監督コメント】今日はこちらから勝負を賭けたが結果が出なかった。相手の勝負どころは本山選手の投入であることを試合前から選手に伝えてケアしていたが、結局(本山選手に)前線で掻き回されてしまった。気持ちを切り替えて、残り2試合で勝てるようにしていきたい。