INTERVIEW2022.5.24

5/25 清水戦 MATCH PREVIEW & INTERVIEW

<マッチプレビュー>
前半戦も残すところあと3試合となった。中3日で戦う連戦の2戦目は、清水エスパルスとのアウェイゲームを戦う。チームは今、リーグ戦では4試合勝利から遠ざかっている状況だ。一方でボールを保持する時間は長くなっており、アルベル監督が掲げるボールを保持して試合を支配するスタイルの浸透は進んでいる。

その分、アタッキングゾーンで相手を崩すアイデアや連携、フィニッシュの精度、カウンターに備えたリスク管理などの課題が浮き彫りになり、チームとして新たなフェーズに進んだからこその悩みに直面している印象だ。あくまでベクトルは自分たちに向いている。相手のサッカーへの対応も重要ではあるが、それ以上に自分たちが何をするか、どうやってゴールを奪って勝利するかを突き詰めている真っ最中だ。

清水の順位や結果を考えれば、相手はホームでなんとしても勝利するために、なりふり構わずに戦ってくることが予想される。相手の勢いを受けることなく、まずは相手のプレスをはがしてボールを保持し、落ち着いて試合の主導権をにぎるところからスタートさせたい。そしてその先、目下の課題であるゴールへの筋道を見出すためにも、チャレンジを繰り返していきたい。

前節の柏レイソル戦では、試合開始早々に鋭い縦パスから少ないタッチでつなぎ、安部柊斗選手が抜け出すチャンスを作り出した。ボールを回しながら相手の出方を窺い、「ここぞ」を見逃さずにテンポを上げる。アルベル監督が口にする「パウサ(落ち着き、小休止の意)」を上手く活用し、テンポの変化でゴールを奪いたい。


[アルベル監督インタビュー]

Q、今回連戦といっても中3日なので回復する選手もいると思います。メンバー構成で入れ替わりはいかがですか。
A、週末には間に合う選手、一方で明日の試合には間に合わない選手が何人かいる状況です。違和感をかかえている選手に関しては、明日ではなく週末に間に合う予定です。一方で先日プレーしたほとんどの選手は明日の試合にも十分間に合うように準備を進めています。

Q、ボールを保持するなかで攻撃については前節の会見で状況に応じて選手たちに考えてほしいとありました。それを踏まえて選手たちに最も大事にして欲しいことはなんですか。
A、まさしく考える事を求めています。そして、だからこそ新しいプレースタイルは難易度が高いと思っています。選手たちのクオリティの高い判断が重要になってきますし、成熟度を高めるには時間がかかるプレースタイルでもあります。それ故に指導者のなかにはこのプレースタイルを採用しないという判断をしている人もいると思います。それは理解できます。プロの監督には初日から試合結果が求められます。選手に、状況に応じて適切な判断を求めるにはやはり成長の時間が必要です。テクニックのレベルも改善しなければいけません。ここ最近、ボールを保持できる時間は長くなっています。ポゼッション率を高められていることが相手のチャンスを減らすことに繋がっているのである意味その分はプラスです。ただ、ポゼッション率が高いものの我々がチャンスを多くつくることに繋がっていない面があります。そこへの改善をめざしています。

Q、柏戦は中央を閉じられてしまった印象です。今後そのような相手がでてくると思います。その時の解決策はどのように考えていますか。
A、もちろん相手が中央のスペースを消してきた場合、相手守備の背後にあるスペースへの飛び出しをより活かして相手を押し下げるというのが重要になってきます。そして、先制点を取ることができれば、それに対して相手のゲームプランが変わり対応策が変わってくるという流れになるので、我々にとっては有効になります。そういう意味でもチャンスをつくり先制点をなるべく早く取るというのが重要になります。例えば、早い段階で先制点を取ることができればより相手チームはリスクをおかしてより攻撃的に戦わざるをえない展開になります。そうすればより我々のポゼッション率は下がるかもしれないですが、相手が攻撃に出てくるが故に我々の攻撃がよりしやすくなるという試合の流れになる可能性があります。磐田戦でもとても守備的に戦われてしまい、我々はなかなか良い攻撃ができず最終的にはより守備的に戦っていた磐田が勝利を収めるという流れだったと思います。毎試合そういうことは起こり得ます。長い1シーズンを考えるとより攻撃的に相手に向かうチームが順位をあげるという繋がりがあると思います。同じ理論で我々はこのプレースタイルに時間をかけて成長させていきたいと思っています。なぜならばこのプレースタイルの完成度が高まればチームは長い期間上位争いをし続ける基盤ができるからです。そのベースをいま構築しています。

Q、ここ最近練習でできていることが少しずつ試合にも出るようになっているとのことでした。一方で結果が伴っていないという、手応えと現実のギャップを感じている部分はどこですか。
A、とても簡単です。例えば怪我をしている選手、あるいはしていた選手が万全の状態で戦っていればここ数試合の連敗というのは本当に起こったのでしょうか。福岡戦、磐田戦も、もしかすると違った展開だったのではないでしょうか。鳥栖戦でも試合終盤に失点してしまいました。当然試合結果が伴わないと自信は失われて疑問は増えていくという流れがあると思います。やはり、勝利を収めることができていれば追い風というのが吹き、全ての物事がスムーズに進むと思います。一方で良いプレーができていたとしても結果が伴わない場合には選手たちにもファン・サポーターにも自信を持つことを促す行動がより必要になってきます。ここ数試合であと勝点3を取っていたとしたら、人々の反応は大きく変わっていると思います。ただ、私はいま落ち着いています。なぜならいま我々が歩んでいる道がこのクラブにとってとても重要であり、適切な方向だと明確に分かっているからです。誰も疑問を持たないレベルに達するまでは耐え忍んで進むことが必要です。良いプレーが継続的にできるようになる際には誰もがそこまでに辿り着くプロセスを思い出さないと思います。トップのクラブというのは4位で終わっても大失敗だったと評価されます。一方我々にとって4位で終われば悪くはない結果だと評価されることでしょう。


[選手インタビュー
<ヤクブ スウォビィク選手>

Q、なかなか勝てていない状況ですが、守備の部分では大きく崩れていない印象があります。どのように感じていますか。
A、まずは自分たちが勝利する瞬間が来ることを確信しています。ただ、やはり必要なのは結果が出るまで信じてやり続けることだと思いますし、全員が勝利に向かって進んでいくことでしか勝点3を得ることができないと思っています。清水は簡単な相手ではありませんし、自分たちが何もしなくても簡単に勝点3を与えてくれるチームはありませんから、自分たちが勝利を望んで、そのためにこのプレースタイルをやり続けることでしか状況は好転しないと思います。しっかりと結果が出るまで自分たちのプレースタイルを信じ続けることが大事だと思っています。自分たちには攻撃面で素晴らしい選手がいますから、点が取れる瞬間は近いと思いますし、チーム全体で仲間を信じてやり続けるだけです。

Q、チームがボールを保持する時間が長くなってきていますが、その分、相手にカウンターを狙われる場面も増えてきています。その対処について、ディフェンダーとはどのようなコミュニケーションをとっていますか。
A、自分もそうですし、フィールドプレイヤーとしても、チームとしてボールを保持する時間というのは非常に大事にしています。ただボールを保持していれば、失う時もあります。自分たちは、失った瞬間に素早い攻守の切り替えでボールを奪い返すことを意識しています。それはカウンターアタックを防ぐひとつの方法になります。もうひとつは、攻守の切り替えでボールを奪い返すために、より相手と近い位置でマークについたり、次のカウンターに備えることを常日頃から心がけています。

Q、シーズンの序盤ではスウォビィク選手のビッグセーブに助けられる場面が1試合の中でも多くありましたが、ボールを保持する時間が長くなってきた今は、どちらかというとビッグセーブが必要な決定的なシーンが減ってきているようにも感じます。それはゴールキーパーに限らず、チーム全体にシュートを打たれる前の事前の守備の構築が上手くいっているからですか。
A、試合前に相手チームを分析することも非常に大事だと思いますし、試合中に些細なことでもひとつずつプレーが終わった後にディフェンス陣とコミュニケーションをとることも大事だと思います。そうした小さなことの積み重ねで、相手のチャンスは少なくなってきていると思いますし、自分のセービングが減ってきていることの要因のひとつです。さらに森重選手は非常に多くのものをチームにもたらしてくれますし、経験があり、その経験をチームに良い形で還元してくれている選手なので、彼の存在そのものがチームの守備にとって非常に大切です。個人的な意見を言わせてもらえれば、彼は間違いなく日本代表でプレーすべき選手だと思います。 大事なのは、全員で守備をすること、全員で攻撃をすることです。自分は守備においては最後のひとりですが、攻撃においては最初のひとりとしての役割も意識してプレーしたいと思います。