INTERVIEW2022.5.28

5/29 鹿島戦 MATCH PREVIEW & INTERVIEW

<マッチプレビュー>
前節は清水に3-0で勝利し、4試合勝ちなしのトンネルを抜け出した。試合後、アルベル監督は勝利の喜びとともに、プレー内容を次のように称えた。「期待するプレースタイルを表現して勝利した初めての試合となった。この4カ月の間にしっかりと学び、我々がめざす攻撃的なスタイルを表現してくれた」

特に後半は高いボール保持率で次々と決定機をつくりだし、清水を圧倒した。指揮官は改善点を口にしながらも「大きな一歩を踏み出した」と、チームの成長に手応えをつかんでいる。

今節の対戦相手となる鹿島は、今シーズンからクラブ初となるヨーロッパ出身監督を招き、従来のブラジル路線から方針転換を図った。スイス人のレネ バイラー監督が掲げるのはハイプレスとショートカウンターを組み合わせた、スピーディーなサッカーだ。ここまでは前線の上田綺世と鈴木優磨が得点を量産。成長途上ながら開幕から順調に勝点を積み上げ、今シーズンのタイトルを争う有力候補の一角となっている。

“変革と革新”の一戦。東京にとっては「大きな一歩を踏み出した」成果を見定める試金石となるはずだ。

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[アルベル監督インタビュー]

Q、小川諒也選手の移籍が決まりましたが、寂しくなりますね。
A、影響は大きいと思います。ただ、ヨーロッパで勝負したいという彼の夢があり、チャレンジできることは素晴らしいことですし、この数か月で学んだことがヨーロッパで活躍するために好影響を与えられていたら嬉しいです。シーズンがスタートした時と比べたら、間違いなく成長できていると思います。彼の活躍を心から願っています。ヨーロッパで活躍するのは簡単ではありません。ヨーロッパの中で比較すると、ポルトガルやベルギーはトップリーグではありません。しかし、活躍することで次のステップを狙っていくにはとてもいい場所だと思います。日本代表チームもしっかりと追いかけてほしいと思います。

Q、アルベル監督のもとで新しいスタイルに取り組んだことで、具体的にはどのような部分で成長していると考えていますか。
A、状況判断の部分、ボールを持つことの大切さ、しっかりと自分がイニシアチブを持って局面の解決策を見出すこと。さらにポルトガルと似たようなトレーニングの仕方をしていると思うので、トレーニング方法に慣れていることも重要だと思います。彼にも直接アドバイスしましたが、溶け込むことが重要になってきます。おそらく多くの日本人が向こうで挑戦する際に抱える同じ課題だと思います。どこか別の場所にいった際に、その場所に溶け込もうとしない姿勢は、どこの国の人であっても誤りだと思います。代表的な例は、長友佑都だと思います。どの国にいこうとも、その街に、その場所に溶け込んで活躍してきました。海外に行く日本人だけでなく、日本にくる外国籍の選手たちにとっても同じです。すべてを理解することは難しいでしょうが、その場所の文化を理解するように試みる、または溶け込む努力をすることは重要ですし、周りの人にも伝わると思います。

Q、明日は首位鹿島との試合です。
A、彼らの最大の長所は、インテンシティの高いプレーをしてくることだと思います。アグレッシブな守備をしてきて、ボールを持った時にはまずはダイレクトに相手ゴールに向かう意識が強いチームだと思います。首位に立つにふさわしい戦いをしてきています。我々は、毎試合チームがしっかりと成長し続けることにフォーカスして明日の試合を戦いたいと思います。試合によって我々が打開しなければいけない課題は変わります。そうした課題の打開を試みることがチームの成長につながると思います。

Q、ご自身のTwitterで「夢のはじまり」という投稿がありましたが、それが指すことはなんでしょうか。
A、清水戦の後半45分は、我々が期待するプレーが継続的に表現された初めての試合だったと思います。我々が辿り着きたいレベルに対してはまだ差がありますが、ボールを支配してより多くのチャンスを作ってより多くのゴールを決めるというめざす方向性を表現できていた45分だったと思います。先制点が我々の不安を取り除いてくれたと思います。先制点が決まったこともあって、後半は選手たちが自信を持って、ボールとともにプレーすることを満喫する姿がありました。シーズン当初は、ボールをなかなか保持できず、相手ゴールに直線的に向かう試合が数試合続きました。その後、ポゼッション率は上がっていきましたが、あまりチャンスが作れない試合が続きました。一方で清水戦は、ボールを持つことを満喫していました。あれだけ長い時間、継続的にボールを支配してチャンスを作り続けるプレーを満喫したのは、選手によっては初めての経験だったかもしれません。毎試合、あのようなプレーを表現できるかというと、サッカーはそこまで簡単なものではありません。ただ、一度でもあの経験をしたことは、選手に大きな自信を与えてくれたと思います。当然、上手くいく試合もあるでしょうし、その逆もあるでしょう。ただ、長い目で見て、右肩上がりに継続して成長していくことが重要です。

Q、渡邊凌磨選手をウイングで起用しました。これまでウイングはサイドに張るプレーが多かったですが、渡邊選手が中に入ってプレーする機会が多くありました。求める役割が変化してきたのでしょうか。
A、チームの成長段階のプロセスとして、両方のウイングが幅をとると中央のエリアで数的優位を作りづらい局面が出てくる可能性が高まります。清水戦では、凌磨があらゆるゾーンに顔を出し、数的優位を作る役割を担ってくれました。同時にディエゴも色々なゾーンに顔を出して同じことに貢献してくれました。サイドバックも状況に応じて数的優位を作る役割を担わなければいけません。それをチームとして上手く流動的にできるようになったとしたら、チームが一緒に旅をするプレーになってきます。ただし、みんなが足元でボールをもらおうとすると相手としては守りやすくなるので、当然背後のスペースへ飛び出す選手も必要になってきます。

Q、渡邊選手が、流動性をもたらすのに適任だと考えられているということでしょうか。
A、レアンドロがいた時には、同じような役割を担ってもらっていました。彼のような特徴を持った選手というのは決して多くありません。選手一人ひとりの長所を引き出すことが大切になってきます。紺野は幅をとるウイングタイプの選手だと思います。まだ若い(安田)虎士朗は、より多くのことを学んで、より多くの選択肢を提供してくれると思います。自分の目の前にいる選手の長所を踏まえたうえで、良い組み合わせで試合に臨むのが私の役割です。良い方向に進んでいるので、クラブもファン・サポーターも安心していただいて大丈夫だと思います。より多くの選手が、このクラブを担うベースへと育ってくれることが今シーズンの重要なポイントのひとつです。そして若手選手の成長を促して、このクラブを担う選手へと育ってくれることを願っています。


[選手インタビュー
<小川諒也選手>

Q、海外移籍が決まりましたね。
A、今シーズンが始まる時から、アルベル監督とは夏に挑戦したいという話をしていて、自分がやりたいことを後押ししてくれたのでとても感謝しています。自信がないことはないですし、FC東京をシーズン途中で抜けることもそうですし、向こうで成功してもっと上のステージにいくという思いは強く思っています。

Q、移籍を決断した理由はなんですか。
A、ぼんやりとですが、もともと海外でプレーしたいということは思っていました。昨シーズンに日本代表に入って、海外でプレーしている選手と一緒にプレーして、日頃からやっているサッカーの違いというのを感じて、それは海外でのプレーを強く思うきっかけになりました。今のチームを見ていて、もし自分がいなくなっても、他にもJ1リーグで活躍できる選手はたくさんいますし、佳史扶の成長に蓋をしたくないということもあって、このタイミングがベストかなと思いました。

Q、移籍したあとの展望は。
A、より高いレベルのチームに行きたいと思っていますが、まずはヨーロッパに行くことが第一歩でゴールではありません。向こうで活躍して、もっと強いチームにいったり、また日本代表に絡んでいきたいと思っています。

Q、FC東京でどれくらい成長できたと思いますか。
A、プロの世界ではFC東京しか知らないので、プロとしてのあり方だったり、サッカー選手としてだけでなく社会人として必要なことはすべてFC東京で学びました。今の自分があるのは間違いなくFC東京のお陰です。サッカーの部分では、加入したばかりの時とは比べ物にならないくらい成長させてもらえて、J1リーグでしっかりとプレーして海外に移籍するレベルまで引き上げもらえました。すごく感謝しています。

Q、残る試合でどのような姿を見せたいですか。
A、自分がいる間に少しでも勝点を重ねることが重要ですし、移籍が決まったから軽いプレーをしていると思われないように、6月末まではFC東京の選手として1試合1試合で勝点3を積み上げてから行きたいと思います。

Q、小川選手にとっての太田宏介選手のように、バングーナガンデ佳史扶選手にもお手本になりたいですね。
A、佳史扶の手本になるようなプレーをしたいですし、あと1か月くらいしかいないですが、自分が教えられることはすべて教えたいと思います。彼の成長につながるのであれば、彼の悩んでいることも聞いて、できることをしたいです。それがFC東京のためにもなると思うし、佳史扶のためにもなると思います。

Q、前節の清水戦は、自分たちがめざしているスタイルがもっとも表現できた試合だったのではないですか。
A、アルベル監督が言うように、いるべきポジションにいることを徹底したお陰で、相手のプレスを上手くいなすことができて、特に後半はスムーズにストレスなくボールを動かすことができました。その中で決定的なチャンスを作って、ゴールに結びつけることができました。ゴール前でも、無理に行かずに最善の選択ができて、それがゴールにつながりました。全員が落ち着いて良い選択をして、良い立ち位置にいて、良いサッカーができました。

Q、前半は一部の時間帯では少し相手のプレスにはまるようなところもありましたか。
A、どこのチームもスタートは元気で走れるので、プレスもすごく強くなります。それでも自分たちがボールを保持し続けたりすることで、前半の最後には相手の足が止まり始めたので、やるべきことをやり続けることが非常に大事だと思いました。「このチームにプレスをかけても無駄だ」と相手に感じさせることができたので、後半に入ってからはプレスに出てこなくなって、スペースが空いてきて自分たちのやりたいことがはまったように感じています。

Q、鹿島は、これまでに対戦してきたチームの中でも非常に強度の強い相手です。
A、映像をみていても前からどんどん来ますし、自分たちが耐えなければいけない時間帯は絶対にあると思います。そこで耐えた時に、自分たちのやりたいサッカーをブレずにできたら、勝てないチームはないと思っています。

Q、自分たちのリズムになった場合でも、相手の縦に速く強い攻撃を考えると、相手陣内で簡単にボールを失わないように細心の注意が必要ですね。
A、鹿島は前線に強い選手がいるので、ボールの失い方というのはすごく注意しなければいけません。ただ、自分たちが良いサッカーができている時には、選手間の距離も良いので、失った時に即時奪回できる位置にいると思います。だから、自分たちのリズムの時にはチャレンジするボールはどんどん入れて良いと思いますし、ミスを恐れてチャレンジしないことよりも、ミスをしてもすぐにとり返せる位置をとることがすごく大事だと思います。


<長友佑都選手>

Q、前節はアウェイで清水を破り、リーグ戦5試合ぶりの勝利を収めました。
A、3-0で勝てたことで選手が自信をつかみ、チームにポジティブな雰囲気が戻ってきました。これで勢いが出てくればいいですが、良い時間帯もあれば思うようにいかない時間帯もあるので、引き続き危機感をもって戦っています。今節、鹿島を相手にどれくらい戦えるかが本当に重要になると思っています。

Q、清水戦では小川諒也選手が2得点を挙げました。サイドバックが決定機に絡む場面は、今シーズンの東京の特長と言えるのではありませんか。
A、自分もサイドバックとしてより効果的に攻撃参加できるように、タイミングやポジショニング、クオリティを上げていきたいと思っています。ただ、ディフェンダーなので守備をおろそかにすることはできません。求められていることが多いので大変ですが、その分、成長という意味では充実した日々を過ごしています。

Q、若手選手を中心に、長友選手のサッカーに取り組む姿勢に刺激を受けているという声が多く聞かれます。どのようなことを意識してチームメイトに接しているのでしょうか。
A、自分は11年間、海外の様々なクラブでプレーしてきました。その経験を普段から積極的に伝え、チームにポジティブな空気を生み出そうと意識しています。特に厳しい状況の時こそ人間の真価が問われると思っているので、そういう場面でチームを支えられる存在でありたいと思っています。

Q、ファン・サポーターにメッセージをお願いします。
A、この1カ月、チームが苦しいときに後押ししてもらい、みなさんの応援に本当に勇気づけられました。改めて、愛のあるファン・サポーターだと実感しました。みなさんの前でプレーできる幸せを感じていますし、東京の選手であることを誇りに思っています。鹿島は手強い相手ですが、彼らの勢いに負けないように強い気持ちを持って、魂がこもった戦いを見せたいと思います!

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