<マッチプレビュー>
代表活動期間に入って中断したJ1リーグが再開する。この17節は34試合あるリーグ戦の前半戦最後の一戦となる。相手は湘南ベルマーレ。ルヴァンカップのグループステージでも対戦しており、今シーズンは公式戦3試合目の戦いだ。ルヴァンカップでは、リーグ戦にも出場していた選手たちを起用したホームゲームで勝利。
若手選手を中心にメンバーを選考したアウェイゲームでは敗れた。
松木玖生選手がU-21日本代表の海外遠征で不在だが、長友佑都選手が日本代表から戻り、また怪我で離脱していた選手たちもチームに合流し、主力メンバーが揃ってこの一戦を迎える。若手選手を積極的に起用してきたルヴァンカップとは違った戦いを見せることになる。
特にリーグ戦では直近の2試合で連勝しており、特に清水エスパルス戦ではアルベル監督が「選手たちにも直接伝えましたが、今日はFC東京のプレースタイルが変わり始めたスタートの日であったと思います。(中略)ボールを愛するサッカーがどのようなものであるかを、しっかりと実感できたという意味でも大きな一歩になりました」と手放しで賞賛したように、内容の面でも相手を圧倒して勝利という結果を両立させた。
また首位の鹿島アントラーズとの一戦では、右ウイングで起用した渡邊凌磨選手が中央エリアに入ってきて攻撃の組み立てに参加する形がはまり、コンパクトな陣形から素早く攻守を切り替えるサッカーでゴールを積み重ねた。また「ボールとともに守備をする」とアルベル監督が表現する、ボールを保持しながらリードを維持する試合巧者ぶりも発揮。チームの成長と取り組むサッカースタイルの浸透を証明した。
とはいえ、安定して自分たちのスタイルを展開し、さらに結果にもつなげるには、さらなる研鑽が必要な段階でもあるのは事実。今節では、ルーキーながら中盤の核を担ってきた松木選手の不在に、アルベル監督がどのような選手選考と選手配置をチョイスするかに注目したい。
特に中盤では、東慶悟選手がアンカーで起用されて力を遺憾なく発揮しており、オプションが増えつつある。誰が出場してもクオリティを落とさずに、「ボールとともにプレーする」ことができるか。後半戦も成長しながら勝利を積み重ねていくために、サッカースタイルのブラッシュアップとともに、選手起用の幅も広げていく。
[アルベル監督インタビュー]
Q、リーグ戦は2週間空きましたがこの間に取り組んだことは何ですか。
A、戦術的な部分のトレーニングにしっかり時間をかけることができました。怪我をしていた複数の選手が戻ってきたのも嬉しいニュースです。この2週間のチームの成長にとても満足しています。チームは順調に成長を遂げています。ポジティブな部分しかない2週間でした。
Q、2週間で具体的に成長した部分はどこですか。
A、特に攻撃面です。ボール保持者に対してボールを持っていない選手たちが常に様々な選択肢を提供し続ける。その流動性のトレーニングをしていい方向に進んでいっています。それを取り組む時期がやっと来ました。なぜならば選手たちはすでに自信を持ってプレーできているからです。自信を持ってプレーできるようになったのでそこからまた次のステップへ進んだ形です。
Q、その練習の成果を明日の試合で発揮すると思いますが、湘南に対してはどのようなイメージを持っていますか。
A、とてもボールを大切にする印象があります。プレーの質からすると今の順位というのはプレー内容がうまく反映されていないと思います。そういう意味でもボールを奪い合う試合になると思います。ですので、我々の守備の部分が大事になりますし、相手のしたいサッカーをさせないというのが重要になってきます。ルヴァンカップで対戦した際に湘南にボールを譲ってしまうと苦しい試合展開になることはすでに経験済みです。
Q、その経験を踏まえて明日大切になってくることはなんですか。
A、いつもの通り相手よりも多くのゴールを決めることが一番重要です。サッカーというのはゴール数を競うスポーツなのでやはり重要になってきます。そして試合に勝つためには相手よりも自分たちのプレースタイルをしっかり表現することです。表現できるチームはやはり勝つ可能性が高くなります。
Q、選手たちに自信が出てきたと言っていましたがどんなところからそう感じたのですか。
A、シーズンが始まった時のプレーと今の彼らのプレーを比較すればどれだけ自信がついてきたか簡単に理解できると思います。シーズン開始当初、選手たちはボールが来ることに怯えている状況があったと思います。逆に今はボールを受けることに喜びを感じています。誰もがボールを受けたいという形でピッチに立っていると思います。ボールを持ちたいという自信や希望があれば、やはり攻撃でより良い判断を下せると思います。何度も言っていますが今シーズンはチームの選手たちとベースを構築するシーズンです。そのベースをもとに次のシーズンではさらにチームは飛躍していってくれると思います。いずれにしてもいい方向に進んでいることは間違いありません。選手たちが自信を持ってプレーできていることを嬉しく思いますし、さらに選手たちは成長してくれる感覚があります。
Q、選手たちが自信を持つようになったことで今後どんなことが期待されますか。
A、また改めてあらゆる要素の部分でさらに成長することが期待できます。今まで別のプレースタイルを数シーズンプレーしていたチームでした。ボールを今ほど大切にしない別のプレースタイルです。もちろん結果も出してタイトルも取っていましたが、徐々に下降線を辿っていたような印象があります。その流れをさらに上向きにするということが今シーズンできていると思います。選手たちに改めてモチベーションを与え、そしてプレースタイルを変えて良い方向に進んでいると思います。ただ、このプロジェクトは始まったばかりであることは間違いありません。まだまだ道のりは長いです。
Q、松木選手が代表に行っていますがインサイドハーフのポジションはどのように考えていますか。
A、良い選手が揃っており、彼の不在をしっかり埋める選手はいるので全く心配はしていません。あらゆる選手が今シーズンの頭から成長してきています。そういう意味でも選手を選択するのはシーズン頭ほど難しくはありません。監督として私に唯一義務があるとすれば、全選手を成長させることだと思っています。試合に勝つか負けるかというのは様々な要素が影響を及ぼすので、私にはコントロールすることができません。一方で監督として選手の成長を促すのが義務だと思いますし、今いい形で選手は成長しています。そのなかから良い状態の選手を選びたいと思います。
[選手インタビュー]
<渡邊凌磨選手>
Q、天皇杯を挟みましたが、リーグ戦は前節から間が空きました。どのような準備をしてきましたか。
A、連戦が続いたなかで休みがあり疲れはとれました。良い状態で動けていたので、完全に休むのではなく意識して体を動かしたりしていました。リーグ戦は久しぶりですがいい準備ができています。
Q、チームは2連勝でボールを保持しながらシュートまで持ち込む場面が増えて得点も取れてきていると思います。
A、まだ得点が取れるようになったのもここ数試合ですし、天皇杯は勝ちましたが上手くはいかなかったのでそこは改善していかなければいけないと思います。
Q、そのなかで渡邊選手も得点が取れてきています。ゴールへのイメージや相手の動きが良く見えている状態で試合ができていると感じているのですが、何か変化のきっかけがあったのですか。
A、きっかけは特にはありませんが、練習後のシュート練習をしていて、良い感覚が残ったまま試合に臨めているのが結果を出せている要因だと思います。そこは試合を通してもっと成長していきたいです。まだまだ得点もアシストもしたいですし、チームが勝つためのプレーをしつつ自分の結果にも常にこだわっていきたいです。
Q、新しいサッカースタイルを築くなかで今後鍵になってくるポイントはどこでしょうか。
A、全員が共有理解を持つことがまずは大事だと思います。1人ができなくなるのも良くないですし、みんなが体現できないと意味がないのでそこは意識していかなければいけないと思います。
Q、湘南に対してはどんな分析をチームでされていますか。
A、ボールを奪った後のカウンターが鋭いので、そこは気をつけていきたいです。
Q、今シーズン湘南とは多く対戦していますがどんな個人としてはどんなプレーを心がけていきたいですか。
A、相手のフィジカルに負けないように球際でしっかり勝ってボールを保持する時間も増やしていきながら結果にこだわっていきたいです。
Q、3連勝に向けてファン・サポーターに向けて意気込みをお願いします。
A、これからすごく大事な試合が続きますし、ファン・サポーターの後押しが必要になってきます。7月6日の札幌戦は声出し応援ができるということで選手たちはパワーをさらにもらえると思います。結果で恩返ししようとみんな努力していますので、後押しを最後までよろしくお願いします。