<マッチプレビュー>
アウェイゲームが続いた直近2試合はG大阪に0-0で引き分け、神戸には1-2で敗れた。ボールを保持するプレースタイルは浸透してきたものの、相手のプレスを回避できなければピンチに直結する。高度なプレースタイルゆえの課題が現れた内容だった。
神戸戦は試合序盤の球際の争いで後手にまわり、前半だけで2点をリードされた。試合終了間際にレアンドロが一矢報いたが、アルベル監督は「リアクションが遅かった」と振り返った。東慶悟は「もう一度気持ちが入った試合をしないといけない。全員で話し合って、モチベーションの部分も含めてもっと高めていきたい」と、選手間での奮起を呼び掛けた。
今節対戦する京都は曺貴裁監督のもと、ハードワークを武器に勝負強さを発揮している。東京のテーマが戦う姿勢や球際の強さだとすれば、格好の対戦相手だろう。今シーズンの上位進出のためにも、これ以上勝点をこぼすわけにはいかない。
今シーズン2度目となる“聖地・国立”での一戦は、東京が大切にしてきたひたむきな姿勢や、勝負への執着心をピッチ上で示すための戦いでもある。
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[アルベル監督インタビュー]
Q、神戸戦でプレスがかからないという問題がありましたが、ここ数日間で修正できましたか。
A、選手たちに伝えたのは、我々の長所を取り戻そうというメッセージです。神戸戦の序盤は決して悪いプレーをしていませんでした。ですが、最初の失点をした後に長い時間帯、適切ではないプレーが続いてしまったので、それはしっかり改善して明日の試合に臨みたいです。試合には勝ち負けがあり、そしてそれには、いろいろな要素が影響するので我々では完全にはコントロールできない。けれども、我々のやるべきこと、長所を失ってはいけないと選手たちに伝えました。我々が少し失ってしまっている部分を改めて取り戻し、元のチームに戻りたいと思います。それが明日、素晴らしい場での京都戦であることを願っています。
Q、長所というのは強度の高いプレーだと思います。京都もインテンシティの高いチームですが、そこを上回ることが勝負のポイントになりそうでしょうか。
A、もちろん、我々の長所の1つがインテンシティです。そして明日の試合でも同じ強度で臨まなければいけません。高い強度を保ちつつ、我々のスタイル、クオリティの高いプレーというのを表現したいです。
Q、ボールを保持することはできているので強度を取り戻せば、良いバランスで強いチームになれるということでしょうか。
A、まさしくバランスというのは重要です。ただ、まだバランスが保てていないが故に今シーズン不安定な試合があります。ボールを保持することに傾きすぎてゴールに向かわないことが増えてしまう。その逆でゴールに急ぐばかりにボールが保持できないというバランスの悪さもあります。だからこそ、時間をかけて良いバランスが常に保てるように成長していかなければいけません。守備のアグレッシブさ、ゴールに向かう意識、そしてボールを保持するというバランスです。
Q、夏場以降徐々にチームのベースができあがっていき、柏戦や横浜FM戦の後半など、良い試合ができて、ここからやりたいことを具現化していく状態に入ったと思った一方で、ガンバ戦や神戸戦とそれぞれ課題が出てしまったと思いますが、それは成長していく過程のなかでは予想できたことですか。それとも少し予想外だったのでしょうか。
A、2022シーズンというのは成長のシーズンです、現在とシーズン当初では明確な成長があると誰もが理解できると思います。ただ、まだチームは不安定な状態です。1つの試合のなかでも良いプレーができる時間帯とそうではない時間帯があります。それはこの1シーズン目にはもともと予想していましたし、そこは想定内です。チームが成長してきたあかつきにはすべての試合に勝てると勘違いしている人もいるのかもしれませんが、サッカーはそれほど簡単なものではありません。試合に負けたらすべてが最悪だ、と極端な考えに陥る人もいます。もちろんサッカーの魅力の1つとしてはファン・サポーターの情熱だと思います。ですが、我々は選手監督として、プロとして、このスポーツをとらえなければいけないですし、我々がめざしている方向をしっかりと歩み続けなければいけません。もちろん、チームは不安定な状況がまだあります。ですが、それを踏まえたうえでやるべきことに集中しなければいけません。まずは自分自身により多くのことを要求しています。それと選手たちにもより多くのものを要求しています。
Q、明日は国立競技場で試合をしますが、前回試合をした時もたくさんここで試合をしたいと話していましたが、国立で試合をすることについて、そして天候も踏まえて意気込みはいかがですか。
A、国立競技場に関して以前語ったというのは、スタジアムのある場所、そして東京という名前を背負うチームとしては、東京の中心地で試合ができた方がより良いと思ったからです。もちろん、味の素スタジアムでの試合、この地域の方々の支えがあって我々は成り立っていますから、その方々、地域にはとても感謝していますし、我々は満足しています。
我々はプロスポーツの世界にいます。プロスポーツというのは、エンターテインメントだと私は思っています。東京という名を背負っているからには、大都市の中心地で試合をすることがプロスポーツとしてエンターテインメントとして、よりふさわしい場所だと個人的に思っています。当然スタジアムとしては陸上トラックがない方が良いわけですが、もちろん、短期的に場所を変えられるとは私も思っていません。ただ、長い目で見た際にFC東京の将来、未来というのは東京の中心地にあるべきなのではと個人的には思っています。ただ、時間と忍耐が必要だと思います。
[選手インタビュー]
<長友佑都選手>
Q、ガンバ戦後にチームとして積み上げは間違いなくできているという話があった一方、神戸戦のように今シーズンまだ波があると感じますが、リーグ終盤に入ってきて今のチームの状態はいかがですか。
A、ガンバ戦後にも言いましたが、チーム全体は確実に開幕当初よりもベースはできていますし、確実に良くなっていると思います。ただ、サッカーは難しいもので、神戸も相当な気合が入っていましたし、ホームということで大きな声援があり、すごくアグレッシブにきました。前半2失点してしまい、なかなか難しい試合になったと思います。ただ、僕らのサッカーのベースは確実にできてきていると僕は感じています。
Q、今シーズンも残り試合が少ないですが、コンスタントに自分たちのやりたいことを表現するために大事になることはなんでしょうか。
A、ボールを保持し、ポゼッションすることはもちろん大事なのですが、ポゼッションをするために前線からプレッシャーにいき攻撃的な守備でボールを奪えないと相手陣地で優位なポゼッションができないという部分を感じています。神戸戦も少し前から行こうとしても連動がなく、そこで行けなかった分、ずるずるとチーム全体が下がってしまいました。ボールを奪っても1人ひとりが疲弊していたり、ゴールまでの距離が遠すぎるのが課題として残っているのでアグレッシブな守備をしながら自分たちの攻撃のポゼッションや良さを出していきたいです。
Q、今シーズン、アルベル監督は成長を大きなテーマに掲げていて、ベースづくりというのを口酸っぱく言っています。一方で具体的な目標を掲げずにきたと思いますが、残りの試合はどんなところをモチベーションに置いて戦っていきたいですか。
A、モチベーションは常に変わらずあるので、まだまだACL圏内も含めて可能性はもちろん残っています。自分たちが作り上げてきたベースをしっかり出せれば、自ずと結果はついてくると思っているので、積み上げてきたものを出すということは簡単なことではないですが、それは大きなモチベーションになるので自分たちが成長する意味でも高い意識で臨みたいと思います。
Q、前回、国立競技場のピッチに立った感想と明日の意気込みをお願いします。
A、ピッチを見た瞬間、本当に絨毯をひいているかのように芝がきれいで、感動したのを覚えています。見た目だけでなく実際にプレーしてみて、プレー中も芝が安定していますし、すごくプレーしやすかった印象が残っています。雰囲気ももちろん最高でした。何度も言っていますが、高校サッカーを経験している自分にとっては夢の舞台ですし、ずっと国立でプレーしたいと思っていたので、そういった意味でも、素晴らしいスタジアムだと感じました。前回のガンバ戦もいいサッカーをして、来てくださったファン・サポーターのみなさんに楽しんでもらえたと自分たちも思っています。明日また、試合前に1500発の花火もあり、エンターテインメントとしても素晴らしいものが用意されているということで後は自分たちのサッカーでしっかり楽しませて、そして勝利を手に入れたいと思います。
Q、クラブとしては最多の観客動員をめざしているわけですが、改めて長友選手にとって大歓声、大観客を前にプレーすることがどう力につながっていますか。
A、今までのプロ生活の僕を見てもらえれば、観客が多ければ多いほど、プレッシャーがかかって大舞台であればあるほど、燃える性格というのはみなさんご存じだと思います。本当に1人でも多くの人が来てくれると、僕自身はすごく大きなパワーになるので、それがJリーグの試合で、そしてまた大好きなFC東京のホームで、5万人を超えるかもしれないので、そこは本当にしびれる展開になりそうですね。楽しみです。
Q、今シーズン両サイドでプレーされていますが、それぞれで心がけていることがあれば教えてください。
A、プロ15年で今シーズン初めて右サイドバックでプレーをしています。右サイドバックもすごく楽しくプレーできています。右をやることで学んだことが、左でプレーする際に今までの自分ではないようなプレーだったり、そうした自分のなかで成長を感じているので、右をすることによって左もまた良くなっていると感じています。後は組み合わせの問題で周りの選手たちの特徴によって自分のポジションを変えたり、試合内容や状況によって中に入るのか外に張るのかなどの選択の幅がすごく広がっているので、試合が非常に楽しいです。
Q、右と左で特に意識の違いはないでしょうか。
A、意識の違いはないですね。別にそんな大きな違いはないかなと感じています。いる選手、その時の状況によって自分のポジションが変わるぐらいで、後はそこまで自分のなかで違和感はないですね。
Q、首都クラブのFC東京が国立競技場で試合できることの意義は何ですか。
A、サッカー選手だけでなく、アスリート全体、そして日本を代表するスタジアムである新国立競技場で、そして首都クラブであるFC東京がプレーできることは非常に喜ばしいことです。そこでプレーすることはもちろん大事なのですが、素晴らしいサッカーをして東京のファン・サポーターだったり、Jリーグの、そしてサッカーのファン・サポーターに魅せるプレーをしていきたいと思っています。
<松木玖生選手>
Q、前節神戸のように高い強度でプレスを掛けてくる相手をいなしてゲームをコントロールするために必要なことはなんですか。
A、ポジショニングだけではその強度は掻いくぐれないこともあるので、やはり個の適応や相手のマークを剥がす動きが大事になってくると思います。神戸戦でも実際に前進できなかったところがあるので、相手の間にしっかり人が立つというところと、前への厚みを持てれば、良かった時のチーム状況になるかと思います。
Q、松木選手のところから前線への縦パスや攻撃の起点になることも重要になると思います。
A、インサイドハーフとして、守備のスイッチや攻撃のスイッチを入れるのは自分の役割だと思っています。ただ、もう少し自分のところで時間をつくれれば攻撃の厚みも増すと思うのでそこを積極的に残りの試合やっていきたいです。
Q、明日の相手は京都となりますが、どのような準備をして臨みますか。
A、ホームゲームとして、相手をリスペクトしすぎないで、慢心もせずにしっかりと自分たちのサッカーをしていければと思います。
Q、相手は残留争いに入っていることもあり、東京と同じく3連戦で1敗1分ときています。気持ちを全面に出してプレーしてくることが予想されます。
A、もちろんプレスのところだったり、気持ちの面ではいつも以上にプレッシャーを感じると思いますし、それに負けないようなメンタリティを持ってやらないと当然勝てないです。直近の試合ではうまくいっていないのでこの試合でしっかりと勝って弾みをつけて、残りの試合勝ち続けたいと思います。
Q、今回、サードユニフォーム着用やイベント・演出が多くありますが、選手にもたらす影響はいかがですか。
A、昨シーズンはアウェイで3試合着用し、今シーズンは京都戦の1試合と聞いています。ユニフォームの価値や重さをより自分たちが体現しながら、試合できる喜びがあります。ファン・サポーターのみなさんもいつもと違う光景でサッカーを見られると思いますし、自分たち自身もそのユニフォームを着てサッカーをするのがすごく楽しみです。
Q、あらためて、明日の試合への意気込みとファン・サポーターのみなさんにお願いします。
A、ホームでの試合なのでしっかり勝って、残りの試合にいい弾みがつけられるように、いつも言っていることですが、いつも以上の気持ちを持って臨みたいと思います。