<マッチプレビュー>
8月13日に予定していたセレッソ大阪戦が台風の影響により延期になり、東京としては8月7日以来3週間ぶりの公式戦を迎える。相手は5位の柏レイソル。3位の鹿島アントラーズとは勝点1しか離れておらず、AFCチャンピオンズリーグ出場圏を狙える位置にいるチームだ。
東京の消化試合数が2試合少ない現状で勝点の差は「8」。十分に追いつける射程圏内におり、上位の争いに食い込んでいくには、なんとしても勝利したい一戦だ。5月の前回対戦では、柏の出足の鋭いプレッシングとマンツーマンディフェンスの前にビルドアップがスムースに進まず、ボールを保持するスタイルの練度の部分で課題が出た一戦となった。
新たなサッカースタイルの定着に取り組み始めて約2か月だった前回対戦から3か月を経て、東京のスタイルも進化し、洗練されてきている。柏の猛烈なプレッシングをどのようにはがし、どのように柏ゴールへとボールを運んでいくか。そのヒントは7月30日に戦った広島との試合にある。
この一戦では、キックオフと同時に広島の猛烈なプレッシャーにさらされながら、時間が経つごとに選手間の絶妙な距離やパスの長短を織り交ぜたビルドアップが機能しはじめ、複数の決定的なチャンスを作り出した。また、先制を許しながらも、我慢強くボールを保持して相手を動かし、スペースを作り出してゴールへの筋道を作り出して、アディショナルタイムの逆転ゴールで勝利を手繰り寄せた。
明日の柏との一戦でも、厳しいプレスの網にボールをからめとられる場面もあるだろう。そこで相手の背後を狙うなど、チームとして臨機応変に対応ができるか。我慢強い戦いで勝点3を掴んで、9月3日に控える約1か月ぶりのホームゲームに弾みをつけたい。
[アルベル監督インタビュー]
Q、水曜日に合流したということでよろしいでしょうか。
A、水曜日です。今現在3シーズン目でおよそ1000日、日本で生活しています。その1000日の間で何日間自分の地元に戻れていたかというと驚くほど少ないです。今回、中断期間があったので一時帰国しました。実際に家族と過ごせたのは6日間です。私が不在の間にも、チームはしっかりと信頼しているスタッフ達を中心にトレーニングを重ねてくれていました。今からおよそ2ヶ月前からしっかりとボールを保持してゲームをコントロールする事ができるようになってきています。自信を持ってボールとともにプレーするところはうまく成長できているので、そこをさらに掘り下げてチームの成長を促していますし、そこは良い方向に進んでおり満足しています。アウェイ清水戦での試合が、2つ目のフェーズのスタートと捉えています。そして、2つ目のフェーズである、自信を持ってボールを保持するところも終わりつつあります。
そして、次のフェーズでもある、よりリスクをおかしてゴールに向かうプレーをトレーニングし始めているところです。やはり自信を持っていないと最後のフィニッシュゾーンにおけるクオリティの高いパスを刺すというのは難しいです。そういう意味でも、自信を持ってプレーすることを最初に習得すべきものだったと思います。ここ数日、チームは良いトレーニングができています。先日FC町田ゼルビアとトレーニングマッチを組んでいます。試合感を忘れないように良い形でプレーすることができました。その全てを含めて、今チームの成長にはとても私は誇りに思っています。当然試合というのは勝ち負けがあるわけです。ただ、試合結果に関係なくチームがボールをしっかり保持して、プレーすることの意識を持ち、そして徐々にピッチの上で表現できていることに私はとても満足しています。
そして、ここ最近のスターティングメンバーには多くの若い選手が含まれています。これは数ヶ月、数年前のチームとは大きな違いがあるかと思います。そして、毎試合準備があるわけで、今週もしっかりと明日の試合に向けて良い準備ができたかと思います。相手チームの特徴を考慮するよりも、自分達の特徴を表現することの方が最も重要だと考えています。自分たちが期待するプレーを表現できれば、相手チームにとって、守備をする事がとても難しいプレーができると思います。そういう意味でも、相手チームの特徴を踏まえて対策するよりも、自分たちのプレーしたいスタイルを表現する事が重要ですし、ただそれが難しいこともまた事実です。
Q、スペインではしっかりリフレッシュされたのでしょうか。
A、今回の一時帰国に理解を示してくれたみんなには本当に心から感謝しています。実際になぜ一時帰国しなければいけなかったかという細かい部分は、正直デリケートなものなので説明できないからです。当然、細かく説明すればより理解してくれるとは思いますが、正直説明できる内容ではないので、細かい説明をしないが故に不安や疑いが生まれてしまうことはしょうがないことだと思います。家族に関する重要な件があったから帰国したわけですが、改めて家族と離れて過ごす日々がとても長くなっています。それがどれだけ私たちにとって難しいことなのかは可能であれば理解していただきたいです。そういう意味でも、改めてファン・サポーターのみなさんが理解を示してくれたことに本当に感謝しています。オフが必要だったわけではなく、別のテーマで帰ったことはご理解いただければと思います。
Q、監督が不在のなかでの練習試合でしたが、良い内容だったと思います。スタッフからの報告を受けてどんな感想を持ちましたか。
A、まずは我々のチームには素晴らしい選手が揃っていると思います。そして、今現在4人のキャプテンも素晴らしいプロフェッショナルが揃っていますし、どのチームにとってもお手本になると思います。そういう意味でも、私が不在の間も全く不安には思っていませんでしたし、全幅の信頼を彼らに持っていました。スタッフに関しては、今シーズン頭に初めて一緒に仕事をするメンバーが多かったわけですが、時間をかけて彼らと知り合うことにより、彼らも選手と同様に素晴らしい人物が揃っていることに気づきました。とてもプロフェッショナルな人物達でもあります。誠実でもあります。だからこそ、私が不在でもチームは機能しました。それは素晴らしい人物が揃っていることの証明だと思います。
Q、今シーズン段階を踏んできて、今自信を持ってボールを繋ぐフェーズに入ってきたと言っていましたが、自信を持つために1番大事なことはなんですか。
A、まずは現実を直視することです。例えばマンチェスター ユナイテッドの今シーズンのスタートを例にあげましょう。素晴らしい監督だと思います。そして、素晴らしい選手が揃っていると思います。ただ、シーズンスタートとともに明確にプレースタイルを表現しようと、そこにこだわりを持っているような印象を受けます。間違いなくしっかり時間を与えられれば素晴らしい新しいマンチェスター ユナイテッドを構築することができると思います。けれども、サッカー界というのは良い試合結果が出ないと人々がナーバスになってしまいます。今シーズン、まず選手達に自信をつけさせるために勝点を重ねなければいけませんでした。それが選手達の自信につながると思います。そういう意味でも、シーズンの頭に我々は今まで持っていたチームの特徴をうまく活かしながら勝点を重ねたというのがあります。自信を持ってボールを保持するところに、最終的には向かいたいわけですが、まずは自信を持つために勝点をもたらす必要があります。
今現在、勝点20だったとした場合、選手達の自信はどうなっていたでしょうか。やはり選手達の自信というのを必ずしも勝ち得ることはできなかったと思います。ホームでの清水戦は、正直決して悪いプレーをしていたとは思いません。逆に良いプレーをしていたと思います。ですが、負けてしまうと周りの評価は変わり、それが自信喪失に繋がりかねません。そのようにこだわりを持ってシーズン頭からプレーしたとしても、勝点を重ねなければ自信を勝ち取ることができません。ボールを愛するということを選手達に伝え続けています。ですが、それを伝えたとしても、勝点を重ねられずに自信を持つことができなければ、やはりボールを保持することができず、時間だけが経ってしまっていたと思います。今チームは徐々に自信を勝ち取ってきたが故に試合にどんどん勝てるかというと、サッカーはそんな簡単なものではありません。やはりチームの完成度を高めるにはまだまだ長い道のりが残っています。だからこそ、今シーズンベースとなる部分を構築しています。
[選手インタビュー]
<紺野和也選手>
Q、柏戦に向けてどんな準備をしてきましたか。
A、まずはしっかりコンディションを保ち続けることを考えていました。練習試合があったので、コンビネーションなどは試合が終わった後や練習後に近いポジションの選手と話していてかなり良いイメージがあるので、その成果を試合で出せればと思います。
Q、ボールを保持するサッカーをめざすなかで、そのベースをどれだけ構築することができましたか。
A、練習試合では自分たちがボールを持つ時間が長かったですし、良い形も多くつくれました。得点も奪えたので、みんな良いイメージがあると思いますが、明日の試合で出せるかどうかが重要ですし、それによって結果も変わってくると思います。
Q、前節のセレッソ大阪戦が延期となり、久しぶりのリーグ戦となります。
A、試合の入りは難しい展開になる可能性がありますが、時間が経つにつれてどんどん良くなってくると思います。ですが、試合の入りのところで失点しないことや、しっかり守備から入ることを意識しないといけないと思います。
Q、柏をどう分析していますか。
A、前線に良い選手がいる印象があります。守備は、ブロックを作ってひいて、攻撃はボールを奪ってから素早くカウンターをしてくるのがメインになると思うので、ボールの失い方や、攻撃はシュートまでやり切るところなどはしっかり意識しないといけないです。攻守の切り替えや守備のリスク管理もしっかりしないと相手の前線の選手に自由にやられてしまうので、そこはチーム全体で意識する必要があると思います。
Q、紺野選手が出していきたいプレーはどんなことでしょうか。
A、サイドを張って仕掛けることを求められているので、そこからのチャンスメイクや最近はサイドバックやインサイドハーフやセンターフォワードと良い距離感で、良いコンビネーションが増えてきているので、そういうのも織り交ぜながら特徴を出せればと思います。
Q、得点も欲しいですね。
A、まだ今シーズン2点しか取れていないので全然足りないと思います。得点でもアシストでも良いので、とにかく点に繋がるようなプレーを増やせればと思います。
Q、意気込みをお願いします。
A、全員がしっかりと良い準備ができていると思います。アウェイの試合では、ファン・サポーターのみなさんの応援が力になりますし、全員で一緒に戦っていただき、勝ちたいと思います。