<マッチプレビュー>
代表活動による中断期間を挟んで、J1リーグはいよいよシーズンの最終盤戦へと突入していく。東京は台風による延期試合を含めて5試合。ホームゲーム3試合とアウェイゲーム2試合を戦う。
中断明けの相手は鹿島アントラーズ。東京とは勝点4差で5位につける相手とあって、上位陣に食らいついていくには非常に大事な一戦となる。
前半戦ではリーグ戦折り返し目前の16節で対戦し、渡邊凌磨選手の2ゴールの活躍などもあって3-1で勝利した。立ち上がりこそ球際でのインテンシティの強さで鹿島に押し込まれる場面もあったものの、先制点を奪ってからはボールを保持しながら相手をいなし、チーム全体が連動したビルドアップで守備網をこじ開けて追加点を決めた。
アルベル監督にとってJリーグを指揮して100試合目という節目のタイミングで、チームとしてもJ1リーグ通算300勝という記録を達成。サッカーの内容の面で大きな手応えを得て、結果も残した一戦となった。
この一戦から多くの試合を経て、鹿島はシーズン途中に岩政大樹新監督が就任するなどチーム状況が変わり、リーグ戦ではここ5試合で4分1敗と勝利から遠ざかっている。約1か月ぶりのホームゲームとあって、東京との一戦に懸ける意気込みは非常に強いはずだ。
東京は、前節、クラブ最多ホームゲームご来場者数を更新した国立競技場での一戦で、京都サンガF.C.に2-0で勝利。球際でのインテンシティが高く、スピード感のある攻撃が特長の相手に対して、慌てずにボールを保持しながら相手のプレッシャーをいなし、相手のバランスを見ながら攻撃のスイッチを入れてフィニッシュまで持ち込むなど、自分たちのペースで試合を運ぶことができた。
注目は、得点ランキング上位を争いJ1リーグ通算50ゴールに王手をかけているアダイウトン選手の記録達成と、J1リーグ通算1000ゴールに王手をかけているチームの節目のゴールを誰が決めるか。今シーズンのリーグ戦で、東京は先制点を決めた試合の勝率100%という数字を残している。東京のスタイルを貫き、かつ積極的に先制点を狙っていきたい。
[アルベル監督インタビュー]
Q、少し間があきましたが、鹿島との試合に向けてどんな準備をしてきましたか。
A、いつも通り戦術的な細かい部分の修正を重ねる形でこの2週間取り組みました。戦術面、技術面のあらゆる細部のところにこだわり修正を続けています。いまは成長段階ですし、成長を感じ取れる良い時期、状況だと思います。選手たちは、日に日に自信を持ってプレーすることができています。明日の試合もとても難しい試合になると思いますが、良い形で臨めればと思います。
Q、あと1か月でシーズンが終了となります。ここまでの積み上げは順調ですか。
A、ある程度時間が経った今は、スタイルを変えたと過去形で表現できるかと思います。今シーズン、色々なテーマで目標がありましたが、1つはプレースタイルを変えるところ、あとは若手選手に出場機会を与え、彼らの成長を促すというところです。そして、チームにベースを構築するというところ、未来に向けてのベースつくり、その3つをしっかりと今できていると思います。私にとっては、3つの目標設定としていましたが、それは十分成し遂げられているかと思います。そしてここから5試合あります。当然そのなかで、より成長してシーズンを終えたいと思います。多くの選手が、この変化に対応するのが難しかったと思いますが、うまく変化に適応してくれたことに満足しています。より良い形で残り5試合を戦い、より良い試合結果を残し、シーズンを終えたいと思います。
Q、今シーズンここまでの試合を通してプレースタイルは明確に変わりましたか。
A、今のチームのプレーを見ていただければ明確に昨シーズンのチームとは違う形でプレーしていることが伝わると思います。数字のところでも、ポゼッション率のところでもリーグのなかで上位を争う数値を出しています。ポゼッション率で負けた試合を思い出すほうが苦労します。当然、スタイルの変更というのは継続されるわけで、成長が常に必要なのがサッカーの世界です。ただ、今まで守備ブロックを下げて、よりカウンターアタックを重要視したチームから、スタイルを変えてプレーしていることは誰にとっても明確かと思います。低い位置からのビルドアップや攻守の切り替えのスピードにも明確な差があるかと思います。スタイルに関しては好き嫌いがあるのでそれは議論の余地というか意見が分かれるところです。ただ、それと同時にスタイルを変えたから必ず試合に勝てるかというと必ずしもそうではないのがサッカーの難しいところです。まだまだ長い道のりが残されています。まだ、長いスパンで見るとチームは成長段階です。
Q、森重選手が試合に出られませんが、考えているプランは何ですか。
A、当然ながら彼の不在は、明日の試合にとって重要なポイントです。ただ、こういう時は別の視点から見ると、他の選手、特に若い選手にとってはチャンスだととらえることもできます。そういう意味でも、彼らがそのチャンスをうまく活かして良いプレーをすることを期待しています。
Q、選手は今シーズン新たな学びや発見があったと思いますが、監督時自身も新しいクラブでの指揮でした。
A、まずは選手たちの学ぶ意欲が強くあり、選手の成長が早く進んだことにすごく驚かされました。そして私自身も選手一人ひとりの特徴に適応するという部分で学びがありました。スタイルを変更するにあたって、ドラスティックな変更ではなく段階的に変える試みをおこないました。それもうまくいったと思いますし、勝点もしっかり重ねながら変更できたということも重要だったと思います。なぜなら、勝点を重ねないとシーズン終盤に苦しんでしまう状況が起こりえたからです。J2以上にJ1の方が拮抗したリーグだと思います。そういう意味でも、どの試合もとても難しい試合ですし、どのチームにも降格する可能性があるのがJ1だと思います。勝点を重ねられないと、危険な状態に陥ることもあったので、そういう意味でも、段階的な変更がうまくいったと思います。我々以上に経営規模の大きいクラブが残留争いに複数苦しんでいるというのが、まさしくその証だと思います。このような拮抗したリーグなのでドラスティックな変更というのはとても危険だと思います。そういう意味でも私自身も選手たちに適応し、選手たちも私と新しいスタイルに適応して段階的にスタイルの変更を進められたことはとても評価に値すると思います。
[選手インタビュー]
<東慶悟選手>
Q、これまで鹿島と対戦してなかなか良い結果が出ないなかで、今シーズンはホームで3-1と勝利しました。今回はカシマスタジアムでの試合になりますが、アウェイで戦う印象はいかがですか。
A、鹿島は毎年監督が変わってもプレースタイルは変わらないですし、鹿島の伝統のスタイルをみんなが引き継いでプレーしているイメージがあります。僕も東京に在籍して長いですが、印象的には勝っているイメージが少なく、良い印象はないですが、スタジアム自体は本当に素晴らしいサッカー専用のスタジアムで、そういったところでプレーできるのは本当に選手としては幸せなことですし、思い切ってプレーしたいと思います。
Q、中断期間を挟んで通常より1週間インターバルが長かったですが、チームとして積み上げられたのはどんな部分でしょうか。
A、今シーズンからアルベル監督が指揮をしていて、後ろからのビルドアップにチャレンジしているところで、ボールを大事にすることに関してはできてきている部分もあり、今後も積み上げていければと思います。難しいスタジアムでのアウェイの試合ですが、そういった相手でも自分たちのやりたいことがやれるかどうかがすごく重要になってくると思います。
Q、前節の京都戦では前線からの守備やボールを保持しながらフィニッシュまでいくことができていたと思います。
A、ボールを大事にするといっても、回すだけではなく、やはり東京の良さでもある、早い攻撃というのも重要になってくると思いますし、強度や走力も大事なので、そこを同時にやっていかないといけない印象があります。
Q、ここで勝利できればACL(AFCチャンピオンズリーグ)圏内も見えてくるのではないですか。
A、可能性がある限りめざしていますし、このチームにいる限りは常に目標だと思います。そういった大事な試合にみんなで一つになって戦っていきたいです。
Q、後半戦を戦うなかで東京のスタイルが相手に分析されてきた感覚はありますか。
A、後半戦になるとやり方が固まってくるので、ある程度分析されてしまいます。それは僕たちも同じですが、そういう意味でも拮抗しやすいというか、Jリーグは18チームあって簡単に勝てる相手はいないので、どのチームでも難しい戦いになると思います。
Q、前節の京都戦では、シュートまで持ち込めるシーンが多く見られましたがそこから得点も生まれたと思います。
A、打てるときには打たないといけないですが、適切なタイミングでシュートを打ったほうが良いときと横にフリーな選手がいれば、そこを使った方が良いです。そこは個人の判断になるので一概に言えないですが、チャンスは多く作っていきたいと思います。
Q、鹿島戦に向けて意気込みをお願いします。
A、連勝してどんどん勝点を積み上げていかないといけないので、そういう意味でも本当に大事な試合なので、なんとか勝点を持って帰りたいと思います。