4/20 C大阪戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2025.4.20

4/20 C大阪戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

<マッチレビュー>

アウェイのヨドコウ桜スタジアムに乗り込んでのセレッソ大阪戦。東京はミッドウィークに行われた2025 JリーグYBCルヴァンカップ1stラウンド第2回戦で延長戦の末にRB大宮アルディージャを3-1で撃破し、マルセロ ヒアン選手が青赤での移籍初弾を含むハットトリックの活躍を見せて勝利を手にした。その勢いに乗ってリーグ戦8試合ぶりの白星を手にしたい一戦。RB大宮戦での120分間という激戦からの回復、そしてしっかりとゴールを決めて勝ち切るというミッションをクリアし、プラスのスパイラルに持ち込みたいところだ。

チームはRB大宮戦からスターティングイレブンを9人変更。ゴールキーパーには野澤大志ブランドン選手が戻り、最終ラインは右から土肥幹太選手、岡哲平選手、そして左ストッパーには安斎颯馬選手が入った。ボランチは橋本拳人選手と高宇洋選手がコンビを組み、ウイングは右に白井康介選手、左には俵積田晃太選手を初めて起用。インサイドハーフは北原槙選手がリーグ戦初スタメンで佐藤恵允選手と並ぶ。そして1トップには仲川輝人選手という布陣。新しいポジションと役割を託された選手、初めての挑戦となる選手がどんなプレーを見せてくれるのかに注目が集まる。

初夏を思わせる温暖な気候のなか、試合は15時03分にキックオフを迎えた。

1stHALF—開始早々に失点を許すも、ケインゴールで後半へ

状況に応じて白井選手が右サイドバックに落ちて4バックになる可変システムで戦いを進める東京。ボールをつないで攻め手を探っていこうとしていた前半6分、最終ラインでのビルドアップがズレたところでボールを失って相手の厚みある攻撃を食らい、左右に振られて最後はハットン選手に押し込まれて失点。早い時間に1点のリードを奪われてしまう。

その後も最終ラインからのパスワークに乱れがめだつ東京。再三にわたって自陣でのロストから決定的なピンチを作られるシーンが続く。

まずは同点としたい状況で試合を動かしたのは、リーグ初スタメンの北原選手だった。左サイドからドリブルを仕掛けて中央に折り返すと、これを受けた佐藤選手が一人をかわしたところで倒され、ペナルティキックを獲得。そのままキッカーを務めた背番号16はペナルティスポットで大きく息を吐いて集中し、相手ゴールキーパーの逆を突き左下へ冷静に蹴り込む。同点のチャンスをキッチリと沈め、試合を1-1のタイスコアに戻すことに成功した。

その後も押し込まれる時間帯が続く前半。相手のクロスをサイドで、中央で懸命に弾いて耐えていく。ボールの奪いどころがハッキリせず、思うように良い守備から良い攻撃につなげられない。

前半34分には北原選手が流れを変えようとハーフウェイライン付近から左サイドを果敢に持ち上がり、長い距離のドリブルからペナルティエリア内まで進入していくが、これは相手に挟まれてチャンスを作りきれず。惜しくも決定機には至らなかったが、積極性が光る仕掛けだった。

同39分には最終ラインに落ちてビルドアップに加わっていた橋本選手の縦パスを起点に俵積田選手が左サイドからカットインして右足でクロスを上げると、ファーサイドに飛び込んだ高選手がタイミングよく合わせるも、わずかに右へ外れて勝ち越しゴールとはならなかった。

少しずつリズムをつかみ、長短のパスを織り交ぜていく東京。相手の3トップが幅を取って攻めてくる形に対し、白井選手を右サイドバックに落として安斎選手を左サイドバックにスライドする4バックで対応していく。試合は一進一退の展開から3分間のアディショナルタイムを経て前半が終了。立ち上がりの難しい状況から何とか巻き返したが、主導権を握るまでには至らず。攻守に課題を残したままハーフタイムを迎えた。

2ndHALF—勝ち越し点を狙うべく交代カードを切るも、8試合ぶりの勝利ならず

ハーフタイムはともに交代なし。

何とか先手を取りたい後半、積極的に仕掛けたのは東京だった。開始直後、俵積田選手が左サイドを抜け出してドリブルで独走。そのままゴール前まで持ち運んでゴールを狙ったが、これは惜しくもゴール右に逸れてしまう。


後半7分には自陣で持ち上がろうとした土肥選手がペナルティエリア付近でロスト。ここから絶体絶命のピンチを迎えたが、野澤選手がハットン選手との一対一をビッグセーブ。チームを救う守護神のスーパープレーで何とか難を逃れた。

先に動いたのは、状況打破を狙う東京だった。松橋力蔵監督は白井選手から長友佑都選手に、北原選手からマルセロ ヒアン選手にスイッチ。ヒアン選手を最前線に置き、仲川選手と佐藤選手が2列目で並ぶ形に移行する。

後半21分には右サイドで橋本選手が前方のスペースへパス。ここに抜け出したヒアン選手がスピードと巧みな身のこなしでマイボールにしてゴールに迫ると、東京が一気に攻勢を強める時間に。続く同24分には右サイドの長友選手から前方へ展開し、佐藤選手が落としたところからヒアン選手が右足シュート。これはゴール右に外れたが、ミッドウィークのRB大宮戦でハットトリックを達成したストライカーが続けざまにチャンスをもたらしていく。


後半29分には俵積田選手、橋本選手を下げて小泉慶選手と東慶悟選手がイン。そのまま同じポジションに入った。さらに同37分には仲川選手に代えて野澤零温選手を投入。5つの交代枠を使い切ってピッチ内の選手に試合の行方を託した。

4分間と表示された後半アディショナルタイム。勝点3をめざして前線から積極的なプレスを仕掛けてゴールを狙っていく青赤だったが、無情にもタイムアップのホイッスル。試合は1-1のドローに終わり、リーグ戦8試合ぶりの勝利を手にすることはできなかった。 

MATCH DETAILS

<FC東京>
STARTING Ⅺ
GK 野澤大志ブランドン
DF 岡哲平/土肥幹太/白井康介(後半16分:長友佑都)
MF 安斎颯馬/高宇洋/橋本拳人(後半29分:東慶悟)/俵積田晃太(後半29分:小泉慶)/北原槙(後半16分:マルセロ ヒアン)
FW 佐藤恵允/仲川輝人(後半37分:野澤零温)

SUBS
GK 波多野豪
DF 木本恭生
MF 常盤亨太
FW エヴェルトン ガウディーノ

MANAGER
松橋力蔵

GOAL
前半19分:佐藤恵允

<セレッソ大阪>
STARTING Ⅺ
GK 福井光輝
DF 進藤亮佑/登里享平/奥田勇斗/西尾隆矢
MF 田中駿汰/中島元彦(後半26分:香川真司)/北野颯太(後半41分:ヴィトール ブエノ)
FW ラファエル ハットン/チアゴ アンドラーデ(後半33分:阪田澪哉)/ルーカス フェルナンデス

SUBS
GK キム ジンヒョン
DF 舩木翔/髙橋仁胡
MF 柴山昌也/喜田陽/上門知樹

MANAGER
アーサー パパス

GOAL
前半6分:ラファエル ハットン 


[松橋力蔵監督インタビュー]


Q、試合の総括をお願いします。
A、連戦のなか、本当に選手は最後まで諦めることなく走り切ってくれたと思っています。勝点1という結果にはなりましたが、また次に勝点3をとれるようにしっかりと準備をしていきたいです。ゲームに関しては、最初の失点が非常にもったいないなと。やはりああいう隙をつくってしまうようでは、なかなか勝点3というものは転がってはこないと思います。そのあと早い時間帯で追いつくことができたことで多少はゲームを安定させることはできましたが、攻撃のところでの技術的なエラーであったり、関係性のエラーであったり、判断のエラーというものが今日のゲームでは多くありました。後半は少し大味にはなりましたが、そのなかでもいくつかチャンスを作ることができていたので、内容が悪いゲームなりにそこを仕留め切ることができていれば、勝点3をとることも可能だったと思います。最後は相手に押し込まれ、いくつかチャンスを作られるなか、最後まで守り切った勝点1をポジティブに受けとって、次に必ず勝点3がとれるようにしっかりとやっていきたいと思います。

Q、コンディション不良などの影響で急造3バックだったこともあり、守備がはまらなかったと思いますがそのあたりはいかがでしょうか。
A、守備というよりも攻撃のほうがはまらなかったと思っています。その裏返しが守備になるので、そこで後手を踏んでしまった部分はあったと思います。あとは少し景色が違うなかで、選手のコンディション部分での噛み合わせが上手くいかなかった部分はありました。狙おうとしていたところはありましたが、その左右差が我々のスペースをつくり出してしまう。相手に行ける時と行けない時は必ずあると思いますし、ましてや連戦だったので全部が全部というのは難しいと思っていました。ハーフタイムにその話はしましたが、なかなか良い形はできませんでした。そのなかでもボールを相手ゴール前まで押し込むこともできていたので、それが決まればとも思っています。

Q、ルヴァンカップに続いて北原槙選手をスターティングメンバーで起用しました。
A、しっかり爪あとは残したのではないかと思っています。まだまだ若いですし、もちろん彼には高い要求をどんどんしていきたいと思っていますが、まずはこの連戦でしっかりとやりきってくれました。見ている方も、僕もそうですけれど、もっともっとできる選手だと思っているので、またコンディションを整えて良い準備ができればさらに彼の力も発揮できると思います。この2戦は十分にやってくれたと思っています。

Q、個人のミスをチームで挽回するようなシーンやチームとして戦う姿勢が見られたと思いますが、選手たちの責任感というものは監督にはどのように見えていますか。
A、彼らは本当に今持っているものはすべて出してくれていると思います。セレッソ大阪も同じように(水曜日に)延長まで戦って今日の試合を迎えていますが、そのなかでコンディションも考慮して代えることが難しいポジションや、誰を起用するかということを含めて考えてやっているなかで、ゲーム内容はたしかに良くはないですけれど、甘いかもしれませんが、褒めてあげたい部分もあります。ただ、勝点3をとっていないので、そのまま単純に褒めるというわけではなく、今の状況でタフに戦ってくれたことは誇りに思いますし、みなさんにもそう映ったのではないかと思います。足りない部分は彼らの伸びしろだと思います。そこから目を背けることなく自分の能力も選手としての質も上げながら、タフに戦える選手になっていくことが見えたゲームでもありました。この上をもっとめざしていこうという意味で、僕は選手を褒めてあげたいと思います。

Q、左のストッパーに安斎颯馬選手を起用した狙いと、実際にやってみてどうでしたか。
A、十分に彼の良さを発揮してくれたと思います。相手の右のウインガーは個の力のある選手ですし、そこの対峙が多くなる想定でのプレスの行き方でした。そういう意味では、勝ち越していたと思っています。攻撃のところで上手くできなかった部分はありましたし、本人も終わってからかなり悔しい表情を見せていました。充実感よりも、もっと何かできるというような目つき、ギラつきを感じたので、まだまだ上をめざせる選手だと思います。パワーやスピードだけではなく、いかに的確な技術や判断を伴ったスキルを発揮できるかというところがさらに大事だと思いますので、そこを求めながらやっていければと思っています。


[選手インタビュー]
<佐藤恵允選手>


Q、非常に難しい試合内容だったと思いますが、振り返りをお願いします。
A、もっとボールを握りたかった試合でした。後ろからつないで、相手を食いつかせて前進していく狙いはチームとしてありましたが、相手のハイプレスにハマってしまうシーンが目立ってしまいました。それでも、チームとしてやり続ける意識はありましたし、そこを剥がして何回かチャンスもありました。反対に自分たちがハイプレスをかけて奪ってショートカウンターという、そういうシーンや時間帯をもっと増やすことができれば絶対に勝てると思います。ペナルティキックを獲得したシーンもそうでした。ただ、試合終盤は相手がやりたいサッカーをされる時間が多かった印象です。90分通して、もっと走って、もっと戦わないと勝てないと率直に思います。

Q、ボールを握る時間を増やすためには何が必要ですか。
A、もう少しチームとしてボールに関わる時間を増やすことだと思います。ボランチの選手をはじめ、ディフェンスラインの選手がボールを持った時の選択肢を増やしてあげることもあると思います。そこで相手が食いつけば、そこから初めて一つ飛び越えてシャドーの選手や前線の選手にボールを当てていくことにつながります。東京には一対一の局面で能力を発揮できる選手は多いですし、良さをうまく引き出すためのプレーが必要です。

今日は中盤やボランチに当てて展開することなど、いつもできているシーンが出せませんでした。ボランチへのマークがタイトだったこともありましたが、そのなかで、一個前のシャドーの僕らが受けてボランチに落として前向きなプレーを促すシーンもありました。そういうシーンも増やしていきたいです。

Q、ショートカウンターがきっかけで得たペナルティキックもありました。
A、仲川輝人選手がニアで潰れてくれましたし、北原槙選手とも目が合っていました。北原選手はあのような局面で狙ったところにパスを出せる選手です。とても良いボールが来ましたし、対峙した西尾選手もボールに対してガツガツ来るタイプだと知っていたので、ワンフェイク入れて抜けた場面でファウルを受けた、というところです。ペナルティキックについては、自信を持って蹴り込みました。

Q、インサイドハーフの位置で北原選手と並びでプレーしました。意識したことはありますか。
A、北原選手はライン間でボールを受けるのが上手な選手です。ボールも持てますし、ポジション取りも良い。僕はシンプルに北原選手に預けて、そこからの動き出しなどで相手をかき乱して、北原選手のプレースペースを確保してあげることを意識していました。ペナルティキックを獲得したシーンもそうですが、ラストパスも良いパスが来ます。ゴール前での受け方も特に意識していた部分です。


<俵積田晃太選手>


Q、今節は左ワイドの位置でスタメンでした。どういう部分を意識していましたか。
A、守備のところでしっかりと一対一で負けないことと、攻撃の部分でなるべくウイングのようなポジション取り、なるべく高い位置でボールをもらう意識でプレーしました。

Q、チームにとって厳しい状況が続いていますが、俵積田選手としては今日のポジションでひとつ変化をつけたかったんじゃないでしょうか。
A、サイドの高い位置でボールをもらうことができれば、より自分の本来のプレーが表現できると思います。少しは掴んできた感覚もあります。少しポジションは低い位置でしたが、サイドバックのようなポジションを取りつつ、パスで叩いて、高い位置で仕掛けるような意識でした。慣れない部分もありますが、頑張っていきたいと思います。

Q、北原槙選手がボールを持った時に、二人の関係でいろいろ工夫みたいなものも感じられましたが、どのように意識していましたか。
A、シャドーがボールを持った時に、自分が走ればボールが来て、より自分の理想的な状態に持っていけると思っていました。シャドーをやった経験を少しでも生かせればと考えていました。クロスがアシストにつながるような場面もありましたし、得点のところもチャンスはありました。しっかりと掴んでチームが勝てるように貢献するだけです。