4/25 G大阪戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2025.4.25

4/25 G大阪戦 MATCH REVIEW & INTERVIEW

<マッチレビュー>

国立競技場で開催されるフライデーナイトJリーグ。ガンバ大阪を迎えた2025明治安田J1リーグ第12節は、試合前にLittle Glee Monsterのライブが行われ、花火やLEDビジョンを使ったドローンなどによる特別演出が展開されるなかで選手入場からキックオフを迎えた。


リーグ戦では第3節以来となる勝利をめざす東京。試合に臨むメンバー編成にも動きがあり、前節から4人を変更した。ボランチは浮き球パスで攻撃にスイッチを入れる東慶悟選手と、この試合がJ1通算300試合出場となる小泉慶選手のコンビ。

ウイングバックは果敢に上下動できる遠藤渓太選手を左に、長友佑都選手を右に配置し、左インサイドハーフは北原槙選手が公式戦3試合連続でスターティングイレブンに名を連ねた。また、1トップにはリーグ戦初ゴールが待たれるマルセロ ヒアン選手を起用。ベンチには寺山翼選手が今シーズン初となるメンバー入りを果たしており、途中出場での決定的な仕事が期待されるところだ。


やや肌寒い国立競技場で、19:33にキックオフを迎えた。

1stHALF—優勢に試合を進めるも得点にはつながらず

一進一退の序盤から東京が一気に攻勢に出る。まずは前半7分、東選手の積極的な寄せから連動したプレスを仕掛けて高い位置でボールを奪うと、ヒアン選手が前方へ持ち運んでシュート。いきなり決定機を作ると、同10分には遠藤選手が強烈なミドルシュート。一旦はボールを失うも、小泉選手が果敢なスライディングで相手のパスをカットするなどスタジアムを沸かせていく。

さらに前半13分には佐藤恵允選手の縦パスから右サイドのポケットに抜け出した小泉選手が右足で強烈なシュート。これで得た右コーナーキックを北原選手が蹴ると、ファーサイドの佐藤選手がダイレクトボレーを放つなど、素早く攻守を切り替え、ゴールに矢印を向けて相手陣内に押し込みながら試合を進める。

チャンスを決め切りたい東京だったが、ヒヤリとする瞬間を招く。前半22分、G大阪に鈴木選手のフィードから最終ラインの裏へ半田選手の抜け出しを許してしまい、ジェバリ選手にループシュートを決められたかと思われたが、VARのサポートによりオンフィールドレビューを経てオフサイドの判定でノーゴールに。先制を許したかと冷や汗をかかされたが、ここは難を逃れた。

一瞬のスキからピンチを招いたが、その後も主導権を握って戦うのは青赤だった。安斎颯馬選手、遠藤選手が直接フリーキックでゴールを狙えば、守っては相手のパスコースを的確に消す守備で対応。G大阪にポゼッションを許さず、ロングボール一辺倒の攻撃にさせてチャンスを作らせない。ピッチを広く使って長短のパスを織り交ぜながら、ヒアン選手の突破力を活かして試合を進めていく。



VARのサポートとオンフィールドレビューが入ったこともあって前半のアディショナルタイムは8分間の表示。前半45+4分には左サイドから遠藤選手、小泉選手、佐藤選手でチャンスを作って最後はヒアン選手が狙うもボールは惜しくもゴールの上。相手の持ち味を消しながら優勢に試合を進めた前半だが、ゴールネットを揺らすことはできずにタイムアップ。スコアレスのままハーフタイムを迎えた。

2ndHALF—タワラの今シーズン初ゴールをきっかけに3得点のゴールラッシュ

決定機を決められないうちに苦しい展開を強いられる経験は何度もしてきただけに、早い時間帯に先制点を決めて試合を優勢に進めたい東京。後半は選手交代なくゴール、そして勝利をめざすことになった。

最初にチャンスを作ったのはG大阪。セットプレーから最終ラインの裏でジェバリ選手に合わされたが、柔らかいタッチのシュートは枠を捉えず。

お互いに流れをつかめないなか、15歳の若武者が流れを変えるべく仕掛けていく。後半14分、左サイドでボールを受けた北原選手が持ち上がって一瞬のストップで相手ディフェンダーを翻弄し、再びドリブルで運んで右足から縦変化する無回転シュート。これは相手ゴールキーパーの正面を突いてしまったが、大きな可能性を感じさせるシーンとなった。

続く同17分には北原、長友、東の各選手に代えてインサイドハーフに俵積田晃太選手、右サイドに白井康介選手、そしてボランチに古巣対決となる高宇洋選手を投入。さらに同25分には遠藤選手に代えてボランチに橋本拳人選手を起用し、小泉選手を左ウイングバックにポジションチェンジ。チャンスメイクとフィニッシュへの絡みを期待してフレッシュな選手をピッチに送り込んでいく。

積極的にゴールを狙い続ける東京。後半29分には押し込んだところから相手ゴールキーパーのクリアが中途半端になったところを佐藤選手が素早く狙って後方から飛び出すと、ペナルティエリア内まで進入し、一人をかわしてシュート。全速力のカットから勢いに乗ってゴールに迫ったが、相手ゴールキーパーのファインセーブに阻まれて先制点には至らない。

少しずつG大阪に押し込まれ、ボールをつないで攻撃の形を作れない時間帯が長くなってきた東京。苦しい展開になりかけたところで、ここまで苦しんできた背番号33の右足がついに火を吹く。

後半41分、俵積田選手がハーフウェイライン付近からドリブルで持ち上がると、スピードアップしながら相手ディフェンダーの間をこじ開けてペナルティエリア内へ突き進んで右足一閃。苦しんでいたアタッカーがついに今シーズン初ゴールを叩き込み、ついに東京が先制に成功する。

これで動きが軽くなった東京は、後半45分、相手陣内深くまで押し込んだところから右サイドを経由して中央へつなぐと、高選手がダイレクトで狙いすましたスーパーコントロールショットをゴール右上に沈めて追加点。


さらに勢いが止まらない青赤軍団はアディショナルタイムに入った後半45+4分、高選手の縦パスから俵積田選手が抜け出してシュートを放つと、セーブされたボールが相手にあたってオウンゴールを誘発して3点目をゲット。後半41分という終盤の時間帯に突入してからゴールラッシュで一気に試合を決めた。


青赤にかかわるすべての人々が苦しみ抜いた時期を耐え、大きな壁を乗り越え、一丸となって手にした白星。勝利の凱歌、「眠らない街」が国立競技場に響き渡り、実にリーグ戦9試合ぶりとなる歓喜を手にした。

MATCH DETAILS

<FC東京>
STARTING Ⅺ
GK 野澤大志ブランドン
DF 長友佑都(後半17分:白井康介)/安斎颯馬/岡哲平/土肥幹太
MF 東慶悟(後半17分:高宇洋)/遠藤渓太(後半25分:橋本拳人)/小泉慶(後半44分:野澤零温)/北原槙(後半17分:俵積田晃太)
FW 佐藤恵允/マルセロ ヒアン

SUBS
GK 波多野豪
DF 木本恭生
MF 寺山翼
FW 仲川輝人

MANAGER
松橋力蔵

GOAL
後半41分:俵積田晃太 / 後半45分:高宇洋/ 後半45+4分:オウンゴール

<ガンバ大阪>
STARTING Ⅺ
GK 一森純
DF 福岡将太/半田陸/黒川圭介/中谷進之介
MF 鈴木徳真/美藤倫(後半35分:倉田秋)/ファン アラーノ(後半25分:宇佐美貴史)
FW イッサム ジェバリ/山下諒也(後半35分:岸本武流)/満田誠(後半44分:デニス ヒュメット)

SUBS
GK 東口順昭
DF中野伸哉/三浦弦太
FW 南野遥海/食野亮太郎

MANAGER
ダニエル ポヤトス

GOAL



[松橋力蔵監督インタビュー]


Q、試合の総括をお願いします。
A、もう総括というよりも本当に久しぶりに勝つことができて、応援に来てくださっている方々にも勝ちを届けることができて、非常にうれしい気持ちでいっぱいです。以上です。

Q、試合展開において、俵積田晃太選手のワンプレーで流れが変わったと思いますが、どのように捉えていますか。
A、どのタイミングでというところまで計算できれば良いのですが、そこまで計算をしているわけではなく、交代でフレッシュに入っていく選手の個々の特長が出れば、しっかりかみ合う一瞬があると思っています。あとはセカンドボールやルーズボールが我々に転がってくるケースも多くなってきていたので、ショートカウンターとして成立するという部分が頭のなかにはありました。それがすべてではなかったかもしれませんが、そこで良い流れを作ることができたこと、俵積田選手の得点がこれまで何か固い感じになってしまっていたものを解きほぐしたような感じを受けました。あのようなシュートが打てるんだとか、あそこが見えるんだとか、中央のコンビネーションであったり走っている選手に合わせるタイミングであったり、そういうものが一気につながって、ゴールというものの大きさを感じました。

Q、今後の流れを変えるような契機になるでしょうか。
A、そうしなければいけないと思っています。

Q、3人を同時に交代したり、スターティングメンバーを入れ替えましたが、このメンバーでどのように戦うイメージだったのかを教えてください。
A、もちろん全員が良い準備をしていますし、試合の展開やガンバ大阪の攻撃的であるという特長に対して、我々がどのようにテリトリーを取りに行くような形から拾って素早く攻撃する、もしくはボールを引っかけた瞬間のショートカウンターの画をしっかり持っていました。しっかりとボールを動かしながらのビジョンというものも、もちろん持ち合わせているなかで、今日は大前提として相手の背後をどんどん突いていこうと。そのセカンドボールを回収していこうと。そこからのショートカウンターはある程度、画のとおりにつながったと思います。あとは選手がしっかりとプレーのクオリティを発揮してくれたことがこういう結果につながったと思っています。

Q、前日にはやり続けることが大事だと話されていましたが、勝てないなかで選手たちにどのような声をかけていましたか。
A、勝てないなかで、本当にみんなもがき苦しんでいるというか、なかなか受け入れづらい部分も長い期間ありました。それでも、選手たちは素晴らしい取り組みをしっかりとしてくれていましたし、必ずこういう日が来ると思っていながらも、本当に素晴らしい勝利を手に入れてくれたと思います。選手には本当に一戦一戦いろいろなことを語り掛けますが、「今日の一戦に何ができるんだ」と一人ひとりに聞いてまわって、彼らもそれぞれの想いをぶつけてくれたミーティングが今日の試合前にありました。そのミーティングで彼らが発言したことを今日はしっかりとやってくれたと思いますし、そのうえで今日のゲームは、「自分に何ができるかというところをしっかりとやらずに次のゲームは無しだよ」と。まずは今日の一戦に今の想いを全力でぶつけようと。そういう意味で全員で戦おうと送り出して、彼らも本当に良い雰囲気を作り出してくれたことで、気持ちのこもっているほうにボールは転がってくるんだなと、そんな印象を受けました。

試合前のミーティングで、気持ち的な部分、メンタルであったりそういった刺激や問いかけは毎回言っていますが、今日は一人ひとりに発言をしてもらって、「今日、このゲームで何ができるんだ」と。そして彼らがそれをやってくれたからこそ、この結果が出たと思っています。


Q、後半に攻められる時間が長かった中で、若いセンターバックの選手たちの評価をお願いします。
A、大黒柱的な存在であり東京の中心選手である森重真人選手がいないなかで、彼らがどれだけチャンスだと思ってやっているのかという部分で、我々だけでなく他の選手たちやコーチからも強烈に発破をかけられてやっているなかで、彼らの持っている力をしっかりと発揮してくれていると思います。やはり前節は初めて景色の違う選手が何人かそういうポジションをこなしていかなければならないなかで、彼らの不安材料をどれくらい取り除けるかというところも大事なポイントでした。今日に関しては2戦目ではありましたが、前節の課題に取り組んでそれが勝利に結びついたということは彼らにとっても大きな自信になると思いますし、本当に素晴らしいパフォーマンスを発揮してくれていると思っています。

Q、現有戦力の良さを引き出して活かすというチームづくりの大変さを感じられているのでしょうか。
A、それは尽きません。ここでほっとしているわけでもありませんし、またすぐに次の試合もあります。いつどんなタイミングでも自分の頭をフル回転させて、自分にできること、自分の考えられること、自分の持てるアイディアをどう選手たちにうまく伝えられるか。そこの僕のエネルギーがなければダメだと思いますし、そのエネルギーがなくなってしまうようなことだけはしてはいけないです。選手はいろいろな意味で僕をサポートしてくれますし、プッシュしてくれます。お互いでそういうものをなんとか一回乗り越えることができたのかなという気持ちです。


[選手インタビュー]
<俵積田晃太選手>


Q、9試合ぶりの勝利、国立競技場の雰囲気も最高だったと思いますが、いかがでしたか。
A、お客さんがたくさん入っていてとてもありがたいことですし、こういう雰囲気のなかでチームとして3点もとれて、しかも無失点という試合ができたので、非常に良かったと思います。ここまで1点もとれず、自分がチャンスをつぶしてしまったシーンもたくさんあったので、本当に苦しい想いをしていましたが、チームのみんなが助けてくれて、本当にみんなで勝ちとった試合だと思っています。

Q、ベンチではどのように試合を見ていましたか。
A、前半はちょっとスペースのないなかでの窮屈な試合だと思っていたので、そういう時には自分の経験では後半はオープンになる予感がしていたので、自分が後半から出た時にはオープンになってスペースがあるので、自分の特長が生きるかなと思っていました。そのために前半から準備をしていました。

Q、交代で入ってすぐにドリブルで駆け上がって歓声で沸きましたが、そこもひとつの狙いでしたか。
A、試合中は何も考えずに自分のプレーを出すだけで、監督からもそう言われていました。まずは自分のプレーを出すことだけを意識してやっていました。入ってすぐに遠藤渓太選手がボールを持って、自分が外を回ってクロスを上げたシーンで、自分の前にスペースがあったので「今日はいけるな」という感覚がありました。

Q、ゴールシーンを振り返ってください。
A、非常にうれしい、気持ちの良いゴールでした。前にスペースがあったので自分でいってやろうと思いました。相手が二人できた時には間を抜けるイメージが自分にはあるので、イメージ通りに抜けることができて気持ち良かったです。決まった瞬間は「やっと入った」という感じでした。みんなのおかげでとれた1点なので、本当にみんなに感謝しかないです。

Q、ゴール後にはファン・サポーターのほうに走って行って吠えていましたが、その時の気持ちを教えてください。
A、今までの気持ちが全部吹き飛んだような気持ちでした。ここから自分もチームも勢い付くことができる1点になったのではないかと思います。ゴールの後もみんなに頭を叩かれて痛かったですが、本当にみんなのおかげなのでうれしい痛みでした。

Q、次節に向けての意気込みをお願いします。
A、この勢いをそのまま次の試合に持っていって、連勝したいと思います。個人的にもこれに満足せず、反省してどんどん進化していきたいと思います。


<高宇洋選手>


Q、得点シーンを振り返ってください。
A、練習通りに決めることができました。昨日もたくさん練習していましたし、内転筋が痛いぐらいだったので、ようやく決めることができて良かったです。

Q、途中出場となりました。試合に入る際にはどのようなことを意識しましたか。
A、今シーズン初の途中出場で悔しさがありました。その悔しさを力に変えることと、スコアレスの展開だったので自分が出場して流れを変える、試合を決めるという強い気持ちで試合に入りました。小泉慶選手とのコンビネーションでも、小泉選手が後ろにポジションをとって、僕が前にいくというコミュニケーションをとりました。今日は得点をとりにいきたいと思っていたので、そこを小泉選手も理解してくれていましたし、少ない時間でしたが久しぶりに隣に立って落ち着く感覚もありました。

Q、なかなか勝利ができない期間が続いていました。この勝利をどのように次につなげたいですか。
A、次につながるきっかけになると良いと思います。この1勝だけでは足りないですし、これをいかに継続していくかが大事です。またすぐに試合があるので、今日の良かった部分を継続しながら、絶対に課題もあると思うので全員で共通意識を持ってしっかりと改善していきたいです。

Q、平日にも関わらず多くのファン・サポーターの方が訪れてくれていました。
A、良い雰囲気で試合ができましたし、東京のファン・サポーターだけではなく、ガンバ大阪のファン・サポーターの方も、平日にも関わらず多くの方に来場いただけたので、非常に良い雰囲気のなかで試合ができました。そのなかで試合ができたことに感謝したいです。やはり東京のファン・サポーターのみなさんと久しぶりに勝利を喜び合えたことが良かったと思います。

Q、次節、清水エスパルス戦に向けてどのように準備して試合に臨みますか。
A、またすぐに試合があるので、まずはしっかりと回復することが必要です。良い部分と改善すべき点を意思統一して連勝できるように頑張ります。


<小泉慶選手>



Q、9試合ぶりの勝利を手繰り寄せるハードワークが光っていました。
A、しっかりと勝つために戦うだけでした。もちろん、チームとして久しぶりの勝利をホームで手にできたのは嬉しいですが、修正点もたくさんあります。勝って次節に向けて修正できることをプラスに捉えたいと思います。

Q、チームとして課題にもあった強度や集中力の持続性という点もクリアになった印象でした。
A、全員が危機感をもってプレーできていましたし、ピッチ内でも多くのコミュニケーションがありました。ピンチや相手に立て続けにセットプレーのチャンスを与えてしまうシーンもありましたが、集中力高くプレーできていました。前半はVARに助けられた部分もありましたが、総じて無失点で試合を終えられたことは良かったです。ただ、攻撃も守備も多くの反省点があります。しっかり振り返り、次節につなげたいです。

Q、J1リーグ通算300試合出場達成の試合を勝利で終えられた点はいかがですか。
A、これは東京だけではなく、アルビレックス新潟や柏レイソル、鹿島アントラーズ、サガン鳥栖での出場を経て達成できた記録ですし、ここまで関わってくれたすべてのみなさんに感謝をしています。300試合という節目の試合を東京で迎えられたことも嬉しく思います。

Q、小泉慶選手自身、リーグ戦久しぶりのスタメンで勝利に貢献しました。次節は火曜日に清水エスパルスとの一戦を控えています。意気込みをお願いします。
A、連勝しなければ何も変わらないという危機感があります。この一勝で浮かれている選手は誰一人いません。何よりこの次にどう戦うかがポイントだと思っています。次勝たなければ、今日の勝利は意味がないくらいに思って、清水戦に臨みたいと思います。