4/29 清水戦 MATCH PREVIEW & INTERVIEW

INTERVIEW2025.4.28

4/29 清水戦 MATCH PREVIEW & INTERVIEW

<前節・ガンバ大阪戦のレビュー>

国立競技場に44,519人の観衆を集めて行われたホームゲーム。第3節以来となる明治安田J1リーグでの勝利をめざし、ピッチの選手たちが気迫溢れるプレーを披露した。

立ち上がりから数多くのチャンスを作り、積極的なプレスと素早い攻守の切り替えで相手陣内に押し込みながら試合を進める。前半にはVARのサポートでガンバ大阪のゴールが取り消しになる判定もあったが、各選手がそれぞれの持ち味を発揮しながら、しっかりと矢印をゴールに向けて躍動。青赤のファン・サポーターが作り出すスタジアムの空気もチームを後押しした。

前後半を通じて試合を優勢に進め、チャンスを作りながらもゴールネットを揺らせない時間が続いていた後半41分、ついに試合が動く。

自陣でボールを受けた俵積田晃太選手が前方へ持ち出すと、一気にスピードアップ。「スペースがあったので、前を向いた瞬間から一人でいってやろうと思っていた」という背番号33が左サイドを独走すると、懸命に戻った相手ディフェンダー二人の間をこじ開けながら中央へ切れ込んで右足を振り抜くスーパーゴール。ここまで多数のチャンスに絡みながら目に見える結果を残せず、「責任を感じていた」と苦しんできた二十歳のアタッカーが、約70メートルというドリブルから右足弾を叩き込んでチームに歓喜をもたらした。

これで勢いに乗った東京。続く同45分には右サイドからつないだグラウンダーパスを中央の高宇洋選手が右足ダイレクトでゴール右上を射抜くコントロールショット。さらに後半アディショナルタイムには俵積田選手のシュートが相手のオウンゴールを誘発し、短い時間で一気に3ゴールを奪取して試合を決めた。

国立競技場の至るところで笑顔が弾けたリーグ戦9試合ぶりの白星。青赤がついに長いトンネルを抜けることに成功し、見事に完封勝利を収めた。



<今節のプレビュー>

前節で手にした待望の勝利には、これまでの困難な流れを吹き飛ばしてくれる予感が漂っている。

前節のガンバ大阪戦では相手の良さを消しながら、自分たちの強みを出し、目の前にいる相手に負けずに球際の勝負を制した。良い守備から、良い攻撃へ。勝利に必要なものを思い出したかのように青赤イレブンがピッチで躍動した。

今シーズンはチャンスを作りながら決め切れずに勝点を落とした試合が多く見られたが、同じような展開でもしっかり耐えて無失点で乗り切り、勝利につなげたことはチームとしての成長と言っていい。

3バックの中央に入った岡哲平選手が「気合と気持ちで守りました」と話せば、ボランチの東慶悟選手は「(点が)入らない時こそ我慢が必要。そうすればチャンスは来る」と考えて周りに声を掛け続けた。前線から積極的にプレスを仕掛けて相手の自由を奪い、ロングボールを蹴らせて、球際の競り合いに勝ってセカンドボールを回収。全員がチームのために走り、フォローし、しっかりと前に矢印を向けながら勝利できたことは自信につながるはずだ。

また、この数試合で少しずつ持ち味をリンクさせ始めていた攻撃陣が一気に3ゴールを奪ったことも大きなポジティブ要因と言える。特にこれまで悩める表情を浮かべ続けてきた俵積田晃太選手の笑顔がチームの空気を一気に変えた。彼の苦闘を知るチームメイト、さらには青赤の大観衆が自分ごとのように喜びを弾けさせ、チームとしても溜め込んでいたものを解放したかのようなゴールラッシュ。ボランチの攻撃参加や前線のスピードを活かした攻撃など、選手個々の武器を組み合わせた形で得点が生まれ、マルセロ ヒアン選手の突破力を含めてチームとして“怖さ”を出せるようになってきたのは間違いない。

もちろん課題は残っており、試合運びもまだまだ盤石と言えるものではない。遠藤渓太選手も「勝ったことは大きいけれど、これが今の東京がめざしているサッカーかと言えば、そうではない。自分たちがやらなければいけないことは多い」と試合後に話したとおり、できるだけボール保持の時間を長くしながら時間を進める試合巧者ぶりも発揮したいところではある。

そして長友佑都選手は「(勝利までが)長かった。長過ぎた。でも、ここで気を抜いたら、また厳しくて苦しい時期が来るかもしれない。泥臭く球際で戦うことは体現できたけど、まだ1勝しただけ。もう少し早めに点をとって仕留められるようにならないといけない。すぐに試合があるので切り替えないと」と油断することなく次の試合に目を向ける。

今節、味の素スタジアムに戻ってホームゲームで迎え撃つのは、今シーズンからJ1に復帰してきた清水エスパルス。リーグ戦ではここまで5勝3分4敗で7位につけ、直近の試合では横浜F・マリノス戦とアビスパ福岡戦と立て続けに3ゴールを奪って連勝中。乾選手と中原選手が中盤で違いを生み出し、前節福岡戦では松崎選手が2得点を決めるなど、攻撃陣が好調なチームだ。

東京としては一つの勝利で決して気を緩めることなく、良い守備から良い攻撃につなげるという原点回帰を続けたい。そしてボールを大切にしながら攻撃に怖さを見せ続けるサッカーを展開することで勝利が近付くはず。G大阪戦で明確に思い出した“勝ち方”を、しっかりと今節の清水戦でも実践していかなければならない。

リーグ戦8戦未勝利から一転、前節の勝利で公式戦4戦無敗という記録に切り替わった。油断は禁物だが、中3日での連戦ながら気持ちが身体を軽くしてくれる部分もあるはずだ。まだまだ過密日程が続くだけに、今回も総力戦で乗り切り、連勝を収めることで少しずつ積み上げてきた自信を確信に変えたいゲームとなる。

長いトンネルを抜けた青赤の逆襲が、ここから本格的に始まる。


[松橋力蔵監督 インタビュー]


Q、ガンバ大阪戦で久しぶりの勝利を掴みとりました。
A、久しぶりの勝利でした。次につなげることが大切だと思います。VARのサポートがあったシーンもそうですが、セットプレーでもきちんと合わせられていたらというシーンもありました。そういうものが先に決まってしまっていたら、ゲームの流れが変わってくるということを考えると、やはり自分たちのファーストチャンスをいかにものにするかが大切です。時間帯の問題もあるので今回と同じ結果になっていたかは分からないですが、マルセロ ヒアン選手がファーストチャンスをものにできていれば、より安定して試合をコントロールできたり、リーディングしたりすることができる可能性が高くなると思うので、そういうところは継続して求めていかないといけません。

Q、G大阪戦はかなりアップテンポの試合でした。本来はもう少しボールを保持したいのではないでしょうか。
A、そうですね。ただ、どのように勝っていくのかを考えなければいけません。そこを全く失っているわけではなく、ゴールの形を見ても全部が全部そういうわけではありませんでした。ただ、ゲームの入りでテリトリーをとりに行こうとみんなで共有して、目線を合わせて試合に臨みました。前半は少し背後へのボールが続いたように見えていましたが、背後を狙うことでできたスペースを使ったりもしていました。僕らも、ボールをつなぐことが目的ではないので、ゴールにどのように進んでいくのかを考えた時に、シンプルに背後をとることができれば、それが最初にチョイスするべきプレーだと思っています。その狙う場所が共有できていないと孤立を生んでしまいます。そういう意味でも、最初の時間帯はそういう目線でやっていこうと伝えて試合に入りました。

Q、清水エスパルスに対してどのように試合に臨む準備をしていますか。
A、秋葉監督のエネルギーが映し出されているようなチームですし、非常にテクニカルでタクティカルなチームです。その両方を持ち合わせたなかに、意表を突くことができる乾選手がいたりするなど、非常にバランスのとれた良いチームだと思います。傾向を見ればミラーゲームになる想定ですが、怪我人の情報もあるので、どのようなシステムになるかは分かりません。どのようなシステムできても準備はできています。そのなかで、ゴール前でどのように優位性を作りだしていくのかは目線を合わせてやっているので、それがまた結果につながるパフォーマンスになれば良いと思います。


[選手インタビュー]

<俵積田晃太選手>


Q、今シーズン初得点を決めました。
A、とりあえず、安心しました。みんなのおかげでとれた得点だったので、チームメイトに感謝しかないです。途中出場する時には、後半になるとオープンな展開になるので、そこで自分がチームを引っ張っていくようなプレーをしていこうと思っていました。得点もそうですが、チームが無失点で勝てたことが一番良かったです。

Q、3点目はずっと出したいと思っていた形が出たシーンだと思います。
A、あの形で得点できたことは、自分としては新しい一つの成功体験でした。特に内側でプレーする時は、自分のドリブルは生きづらいことが多いので、あのようにチャレンジしていき、チャンスを作ったり、得点をとり続けることができればいいと思います。

Q、清水エスパルス戦はミラーゲームになる可能性があります。1対1で勝負に勝つことでチャンスが増えると思います。
A、自分のところで勝負に勝ってチャンスを作っていければいいです。

Q、ガンバ大阪戦での勝利をより意味のあるものにするために連勝したいところですね。
A、前節で勝利したからといって浮かれていてはだめだと思います。しっかりと、チーム全員で矢印の向きを合わせて戦うことができれば連勝できるので、勝利したいです。


<土肥幹太選手>


Q、前節のガンバ大阪戦でようやく勝利を掴みました。チームの雰囲気はいかがでしょうか。
A、勝てていない時よりはもちろん良いですが、“まだまだやるぞ”という雰囲気です。順位も僕たちがめざしているところではないですし、1試合に勝っただけで、完璧と言える内容ではなかったので、しっかりと見直していかなければならないと思います。

Q、清水エスパルス戦に勝利することで、よりG大阪戦での勝利の意味が大きくなると思います。
A、自分は守備の選手なので、しっかりと失点を0で抑えたいです。セットプレーなどで危ないシーンもあったので、そこはしっかりと修正していきたいです。前回は失点しませんでしたが、次の試合で同じようなシーンがあれば失点しないとは限らないので、危ないシーンが生まれないように修正していきたいです。

Q、久しぶりに無失点で試合を終えました。安斎颯馬選手、岡哲平選手とはどのようなコミュニケーションをとっていましたか。
A、ラインコントロールなどでうまくいかないシーンがたくさんありました。お互いに試合中からすり合わせをしていました。そのなかで完璧ではないですが、だんだんと良くなってきています。声をかけながらプレーしたり、相手選手を止める時には共通意識を持ってチャレンジ&カバーの関係を築くことでより良くなっていくと思います。安斎颯馬選手も不慣れなポジションでプレーしていると思いますが、気になることがあれば伝えていますし、全員で改善していき、毎試合を失点0に抑えたいです。アカデミー出身の選手が並んでいますが、出場するだけでは意味がないと思っています。やはり勝利という結果にこだわってやっていきたいです。

Q、清水エスパルスの印象を教えてください。
A、J2リーグから昇格してきましたが、J1リーグでも十分に戦えるチームで、どの相手に対してもそうですが、油断できる対戦相手ではありません。うまさも強さもあるとても良いチームだと思うので、それを撥ね返す勢いで臨みたいです。相手が勢いを持ってくるからと言ってラインを下げるのではなく、逆にラインを上げて相手を押し込んでいきたいと思います。